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第 157 話

Author: 一笠
「......」

凛?

そんなに親しいのか?

煌の顔色はさらに悪くなった。二人で一緒にプレゼント?聖天はわざとだ。

「ああ、持って行かせろ」

大山は手を振り、そばにいた使用人に、煌の後について行くように指示した。

大山に言われては、煌も逆らえず、不満そうな顔で書斎を出て行った。

「霧島さん、おじい様から話を聞いたが......」良平はためらいがちに尋ねた。「このところ、ずっと霧島さんが凛の面倒を見てくれているそうだが、凛の容態はどうなのか?」

「ああ、元気だ。心配はいらない」

聖天が詳しく話す様子がないのを見て、良平はそれ以上聞かなかった。確かに、佐藤家と凛の関係は微妙だ。誰が凛の容態を尋ねて
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