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第 673 話

Auteur: 一笠
「今回の社内公募は、公平・公正・公開で行われるべきです。今日、荒井さんのご要望を受け入れることは、私の信条を踏みにじることになります。そうなれば、おじい様の前に出ても、胸を張っていられません」

凛は軽く頭を下げ、一語一句はっきりと言った。「ご理解いただけると嬉しいです」

「あなたは......」

湊は言葉を失い、最後にはため息をついた。「さすが、大山が目をかけるだけのことはありますね。この口の堅さは、まさに彼にそっくりです!

まあ、いいでしょう......」

湊は手を左右に振りながら言った。「たとえご承諾いただけなくても、無駄足ということにはなりません。大山の人を見る目は確かです。それが確認で
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