Masuk静まった部屋には時々星がズズッと鼻を啜《すす》る音が聞こえた。
夕真は星の肩に、慰めるように手を掛けたが、きっとそれだって自分を支えるためだったのかもしれない。 そして夕真は今知ったばかりの、ありのままの自分を伝えた。 「…僕は、何よりも誰よりも星のことが大好き…。でも、これが恋愛感情だとかわからないままずっと過ごしてしまってた。きっと好きを『大切』『守りたい』そういう気持ちに置き換えてここまできてしまったんだ。僕が守らなきゃいけない存在なんだと思ってしまってた。それなのに、こんなにセイを傷つけてしまっていたのは僕だった…」 星は、俯いたまま聞いていた。 「…僕がいなくても、セイは全部自分で考えて、行動して来たんだよね。それなのに僕は、いつまでも守らなきゃいけない存在だと決めつけて…、それはセイをちゃんと信じきれていなかったのもしれない。いつの間にか、こんなに大きくなっ夕真は星の腰を引き寄せ、自分の昂《たかぶ》ったモノを星の窄まりにあてた。 気持ちを抑えながら慎重に星の中を押し広げ、挿《はいっ》ていく。 星は内蔵を押し上げられるような苦しさと、夕真の全てを受け入れるこの瞬間に喜びを感じていた。 「あああぁっっ…!!」 「セイ、大丈夫?痛くない?」 星は苦しそうな、でも、それでいて嬉しそうな表情でコクコクと頷いた。 「…セイ、痛いんじゃ…」 夕真はそう言って、腰を引こうとした。すると星は頭を横に振りながら、夕真の腰に脚を巻き付け、しがみつくように抱きついた。 「わかったよ、セイ」 夕真はそのままゆっくりと星の奥へと力を込めた。 「あぁっっ…、ユウ…、あんンッッ…っ」 「…ん、はぁっ、全部入ったよ、セイ。…セイの中、熱い…」 「…うっ、んっ…、嬉し…、ずっと、こうなりたか…った…」 星は幸せを噛み締めるように微笑んで、涙を流した。 夕真はその涙を受け留めるように頬にキスをした。 少しずつ夕真が動き出すと、星はぎゅっと枕の端を掴んだ。夕真はその手を取って、指先を絡ませ強く握った。 夕真は昂《たかぶ》りのままに星に腰を打ち付ける。星の屈曲した膝下はそれに合わせて宙に揺れた。 「あっ、あっ、あんっっんっ、ユウッ、ユウッ…んっっ」 顔を歪ませ、うわ言のように何度も自分の名前を呼ぶ星が堪らなく愛おしかった。 夕真は抽挿を繰り返しながら、星のモノを握って扱い
*** 「……セイ、好きだよ」 白いシーツの上に、白地に青い花の柄の浴衣がバサリと広がった。 その浴衣は星によく似合っていて、深い紺色の帯が星の身体の細さを強調していた。 昔から小柄で細身の星だった。それでも今はもう、夕真が思っていた守られるような小さきものではなかった。 夕真はその華奢な身体を抱きしめた。壊れてしまわないか不安だったのは、きっと自分の心だった。 夕真は何度も抱きしめては、深いキスをした。今までとは違う、男としての気持ちでだった。 星も応えるように甘く潤んだ瞳を夕真に向けた。 お互いの熱く上気した身体が、浴衣の生地を通しても感じられた。 「…セイ、僕のものに…、僕の人になって…」 「人?へへ、ユウらしいね」 「セイのこと、全部知りたい、全部欲しい…」 「…うん、全部ユウのものにして…」 星は夕真の首に腕を回した。 夕真は星の唇の端から舌を差し込み、優しく丹念に舌を絡め、星のはだけた浴衣の併せに手を忍ばせた。 星の肌の熱さと滑らかな感触が、緊張と期待に夕真の鼓動を速めた。 星は初めて自分に向けられる夕真の欲を孕んだ眼差しだけで、血が沸き立つような快感を覚えた。 そして、掌にツンと星の胸の尖りが触れた。指の腹で優しく転がすと星の身体が小刻みに震え、切なそうに目を細めた。 星の頬から首筋、鎖骨へと食《は》むように唇で辿りながら、薄く平らな胸の先端を指先で摘んでは弾く。 「…うう…んっ…」 星は堪えきれず吐息と共に声を漏らした。 夕真の優しい唇、指先から、星への愛おしさが溢れていた。 「…ユウ、熱い…」 その言葉に夕真は星の浴衣の併せを広げ、浴衣の袖から片腕ずつ出してやった。 カーテンの隙間から、星空の明るさが差し込み、星の身体を美しく晒《さら》した。 少し恥ずかしそうに肩を竦《すく》めて目を逸らした星が可愛かった。 そっと脇腹を撫で、熱を帯びたように綺麗に色付いた胸の飾りを口にした。 「…あ…、ああぁ…」 星は手の甲を唇に押し当て、身体を震わす。 小さな粒を舌で転がし、つぅと吸ってみる。それだけで、身体を跳ね上げ、可愛い甘い声が漏れる。 星は初めての感覚にもう溶けてしまいそうだった。 星が悶えるたびに、だんだんとはだけた浴衣の裾は広がり、たくし上が
静まった部屋には時々星がズズッと鼻を啜《すす》る音が聞こえた。 夕真は星の肩に、慰めるように手を掛けたが、きっとそれだって自分を支えるためだったのかもしれない。 そして夕真は今知ったばかりの、ありのままの自分を伝えた。 「…僕は、何よりも誰よりも星のことが大好き…。でも、これが恋愛感情だとかわからないままずっと過ごしてしまってた。きっと好きを『大切』『守りたい』そういう気持ちに置き換えてここまできてしまったんだ。僕が守らなきゃいけない存在なんだと思ってしまってた。それなのに、こんなにセイを傷つけてしまっていたのは僕だった…」 星は、俯いたまま聞いていた。 「…僕がいなくても、セイは全部自分で考えて、行動して来たんだよね。それなのに僕は、いつまでも守らなきゃいけない存在だと決めつけて…、それはセイをちゃんと信じきれていなかったのもしれない。いつの間にか、こんなに大きくなっていたのに…。僕に会いに来てくれたのも、好きと言ってくれたのも、一緒に住むと決めたのも全部セイだ。僕をずっと選んできてくれてた…」 星は泣いた後の鼻にかかった声で話し出した。 「…そうだよ。オレはユウがずっと好きで、ずっと一緒にいたいんだから…」 「…セイ…。セイ…、僕はさ、僕はただ…、セイを好きって気持ちだけで隣にいていいの?」 夕真は少し緊張した面持ちで訊《たず》ねた。 「…はは、ユウ。そんなの当たり前。オレはずっとその気持ちだけでユウの隣にいたよ」 「…そっか」 夕真は力が抜けたように、小さく笑った。 「それで、よかったんだね…。僕はきっと難しく考えすぎてた…」 「そうだよ、ユウのバカ」 星は泣きながら嬉しそうに微笑んだ。
*** 「オレがユウに抱いて欲しいって、ユウとセックスしたいって、何回もどんな気持ちで言ってると思ってるんだよ。それこそ、オレは壊れてしまうよ!」 星の瞳からは、今にも涙が零れてしまいそうだった。 浴衣の袖が震えていた。 「…セイ」 夕真は震える星の指先に手を伸ばした。 触れた瞬間、星は指先を固く握って手を引っ込めた。 「オレと同じ気持ちなんじゃないの?オレはユウが好きだよ。男の身体が無理なんじゃないの?それならそう言いなよ。そしたらもう好きだとか言わないよ。オレはただの隣に住んでた子になるよ!」 ボロボロと涙を流した。 「セイ、違う、それは違う。本当に、僕にとってセイは1番大切なんだ。ずっとセイを守ってきたつもりだよ。それなのに、守る対象だと思ってきたのに、僕がセイを穢《けが》すみたいな…そんなこと…」 「何が『大切』だよ!オレの気持ちなんて考えてもないじゃん!オレは『大切にして欲しい』とか『守って欲しい』とか、そんな事頼んだことない。ユウが、夕真が勝手にやってるだけだろっ?オレは祀《まつ》られる神様とかそんなんじゃないし、守られるような子供でもない!ただの1人の男だよ…。分からないの?オレは全部自分で選んできたんだ。ユウはさ、ただオレを受け入れてきただけだろっ」 星は泣き崩れるように顔を手で覆った。 「…セイ…僕は…」 夕真は言葉が出てこなかった。 ずっと星のことは自分が大切にして、守ってきたと思っていた。そのはずだった。 しかし、今星は、泣き崩れてしまうくらいに夕真によって傷付いていた。 それを目の当たりにして、夕真は何を守ってきたのかと自問自答するしかなかった。 ──いや、そうじゃない…。 きっといつの頃からか、わかっていた。 わかっていながら、見ないふりをしていた自分がいた。 自分に星を守るという意味を与えることで、自分自身を支えていた…。 自分がここにいていい。星の隣に存在していい。 僕が僕であるためだったのかもしれない。 そう夕真は気付いてしまった。
「きょ、今日はどうしたの?赤ちゃんみたいになっちゃって」 「ん〜っ、それは赤ちゃんじゃなくて…んーーっ」 今度はしかめっ面になった。 夕真は星のコロコロと変わる表情が可愛くて大好きだった。そう、可愛い弟みたいなんだと思い直した。 「ふふっ、いいよ脱がせてあげる」 夕真は星のショートパンツに手を掛け下ろした。派手な柄のボクサーパンツが露になる。星はドキドキしながら脱がされていたが、星から見たら夕真はドキリとした様子もなく、何食わぬ顔で星のショートパンツを脱がし、スウェットを履かせた。流れるようにパーカーもせっせと着せられ、ファスナーは首元まできっちり上げられた。 星は呆気にとられた。そして、全く靡《なび》かない夕真にイラッとした。 しかし、夕真の心は穏やかではなかった。星のショートパンツを脱がす時は指先に変な力が入っていたし、直視出来なかった。後は早く着せてやらないと、星に風邪を引かせてしまうと急いだ。 星はその後も自分なりにアピールをしてみた。 抱きついて寝てみたり、ちょっとエッチなBLマンガをリビングのテーブルの上に置いてみたり。 時には、風呂上がりに上半身裸でローライズのボクサーパンツ1枚でフラフラしたりもした。こんな事を色々してみたが夕真に効いてる様子は感じなかった。 ここでも星は気付いていなかったが、夕真は毎回のように胸のざわつきを感じていた。男同士なら上半身裸だとか、今までだってそんなシチュエーションは幾らでもあった。なんなら、星の裸だって小さい頃から何度も見たことだってある。 なのに今更──。 夕真は自分の中で変わっていく感情と感覚に戸惑っていた。 星からしたら、早く恋人らしくなりたいだけだった。心だけの繋がり、それは違うと思っていた。 『ユウは、鈍すぎる。いや、性欲を持ってないのか?聖人?いや、オレに魅力がないのか?忙しいから?いや、ロボットだったりする?』 そのうち待ってる事も出来ないと思った星はもっと大胆になった。 今までなら夕真に任せて、キスは唇が触れ合うだけのキスをしていた。けれど、待てないと思った星は、深いキスを求めた。最初、夕真は戸惑って、唇に力が入り、舌と舌が触れると逃げるみたいだった。 そのうちにやっと、絡めるようなキスにも応えてくれるようになった。 星からしたら、こん
*** それから2人は、星の進学に合わせて、新しい生活の準備に追われた。 夕真のワンルームでは実質2人で住むことは叶わず、2人で住める部屋を探し回った。 最後は星の父親の知り合いのツテで何とか見つかったのだった。周囲から見たら、ただの幼馴染み同士のルームシェア。ただそれだけだった。 星が高校を卒業してすぐに、それぞれ引越しをして一緒に住み始めた。 2人は一緒に住み始めたからといって、急に恋人らしく振る舞えたわけではなかった。 部屋は親の手前もあって、それぞれ別に自分の部屋があった。ベッドは広い方が良いなんて言って、星はセミダブルで、星よりも身長が10cm以上大きい夕真はダブルベッドにした。 これは星に「付き合う前からだって一緒に寝てたし、ユウならオレがちゃんと寝れたか気になるでしょう?隣に寝てたらすぐわかるから便利だよ」なんて言われて「確かにそうか…」と夕真はこの無理のある星の言葉に素直に納得したからだった。 しかし星の下心は外れて、夕真は子供にするみたいにトントンと、星の呼吸に合わせて優しく身体を叩いて毎晩寝かし付けた。 星はそんな夕真を優しいと感じながらも、恋人らしい関係にならないことがもどかしかった。 キスだけは何とか星からすることで、夕真も少しづつ慣れて、星が目を瞑ってキスを欲しがると、夕真は優しくキスをした。 幼馴染みと親友と恋人と…、ずっと行ったり来たりなままだった。 *** 星なりに、恋人として関係が進まないかと、夕真に興味を持って欲しくて色々努力もしてみた。 まだちょっと肌寒い時期にも関わらず、部屋着としてショートパンツにゆるっとしたタンクトップを着て、夕真にベタベタしてみるお色気作戦に出た。 「ユウ、ちょっ







