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第 36 話

Auteur: 江上開花
車は亜夕美の自宅の前に停まった。

亜夕美はぎょっとした。自分の住所は相手に伝えていなかったはずだ。

車内に漂っていた薬の香りはもうすっかり消えていた。亜夕美はが静樹が買った薄手の上着を羽織ったが、しばらく車を降りる気配はなかった。

静樹が声をかける。「亜夕美さん、着きましたよ」

「ありがとうございます」そう言いながらも、体は動かなかった。

亜夕美は服の裾をいじりながら、自分の考えすぎかもしれないと不安に思いつつ、試すように言った。「佐武社長、よかったら上がっていきませんか?」

それを聞いて、静樹はふっと笑った。

今度は亜夕美もはっきりとその笑みを見た。静樹の瞳は緩やかに細くなり、口元には薄く笑
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