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第313話

Auteur: 一燈月
雨は上がったが、夜の冷気は骨身に染みるほど深かった。

テントの中に縮こまっていると、外の岩肌から滴り落ちる水音や、得体の知れない動物の鳴き声が聞こえてくる。

テントの中には暖色の灯りが点いていた。

航が点けておきたいと言い張ったのだ。彼はあの泣き声を、小夜の高山病による幻聴だと断じていたが、実際には彼自身が怯えていたのだ。

図体はでかいのに、オカルトめいたものをこれほど怖がるとは。

小夜はそれほどでもなかった。

不思議には思っていたが、意外にも恐怖は感じていなかった。ただ、時折針で刺されたような鋭い頭痛が走り、意識が朦朧として辛かった。

考え事をしようとすると、頭が割れるように痛む。

夜が更けていく中、外から突然『フッフッ』という荒い鼻息と、『ダッダッ』という重く、切迫した蹄の音が聞こえてきた。

次の瞬間、うつらうつらしていた二人は弾かれたように目を覚まし、警戒してテントの入口を睨んだ。

灯りに照らされ、テントの布地に巨大な影が投影された。頭に角が生えたその影は長く歪み、牛のようだが、それよりも遥かに強烈な威圧感を放っていた。

まさか、ヤクか?

心臓が早鐘を打つ
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