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第371話

Penulis: 一燈月
芽衣を止めることはできなかった。

彼女が同行することは確定したが、星文についてはそうはいかない。小夜はすぐに翔に電話をかけ、事情を説明した。

今回の海外行きは危険を伴うため、星文を連れて行くことはできないと単刀直入に伝え、すぐに迎えに来るよう頼んだ。

程なくして、翔が車を飛ばしてやってきた。

だが彼は、星文の身分証明書やパスポートなど一式を持参しており、小夜に会うなり開口一番に言った。

「構わない、連れて行ってくれ。

俺の母親――つまり星文の母方の祖母が海外にいるんだ。イタリアだが、事前に話は通してある。向こうに着いたら母が人を手配して、星文の面倒を見る手はずになっている」

小夜がまだ断ろうとしているのを見ると、翔は続けて言った。

「それに、今回の件がなくても、近いうちに星文を海外へ送るつもりだったんだ」

小夜は言葉を失った。

翔は気まずそうに鼻の頭をかいた。

「実は姉が……星文の母親が、もうすぐ出所するんだ。正直、心配でね」

そういうことか。

小夜は合点がいった。

どうりで今回帰国した際、翔が急いで星文を自分の元へ送り込み、海外行きのこと
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    笑美は病院に詰めており、迎えに来ることはできなかった。 「大叔母様はどうなの?」 小夜が一番心配しているのはそれだった。 「手術室からは出ましたが、まだ昏睡状態で、容体は安定していません。経過観察が必要です。医師の話では、目を覚ましさえすれば、峠は越えたと考えていいそうです」 小夜はすかさず尋ねた。「いつ目が覚めるの?」 笑美は首を横に振った。 「分かりません。数日かもしれないし、半月、あるいは一ヶ月……とにかく、何とも言えない状況です」 その言葉を聞いて、小夜の少し落ち着きかけた心が再び張り詰めた。隣に座っていた芽衣が、無意識に握りしめられていた小夜の手を優しく叩いて慰めた。 「大丈夫よ。大叔母様がどれだけ強い人か知ってるでしょ?どんな難関だって乗り越えてきた人よ。きっと神様が守ってくれるわ。手術も成功したんだし、絶対に大丈夫!」 小夜は力なく微笑むことしかできなかった。 星文は機内でよく眠れなかったようで、眠たげに小さな頭を上げ、とろんとした声で尋ねた。「ママ、おばあちゃん、病気なの?」 星文はママの手を抱きしめ、軽く揺すった。「ママ、悲しまないで。僕がずっと一緒にいるから」 そう言うと、小さな両手を合わせ、口の中で何かを唱え始めた。「神様、どうかおばあちゃんを元気にしてください。ママがずっと笑っていられますように」 その姿は、小さな子供ながらとても真剣だった。 芽衣は思わず星文を抱きしめ、からかった。「星文、誰に教わったの?神様にお願いするなんて」 「おじさんだよ。おじさんがいつもこうしてるのを見たんだ。すごく効くんだって。僕が見つからない時も、こうやってお祈りすると見つかるって言ってた」 二人は顔を見合わせ、思わず言葉を失った。 「ありがとう、星文。少し楽になったわ」 星文の無邪気な言葉に、小夜の張り詰めていた神経も少し緩んだ。彼女は星文の柔らかい頬を軽くつねり、優しい声で言った。 「でもね、ママにとっては大叔母様だけど、星文からは『ひいおばあちゃん』って呼んでいいのよ」 「じゃあ、神様。ひいおばあちゃんをお守りください!」 小夜は笑って星文の髪を撫でたが、その瞳の奥にある憂いは消えなかった。 …… やがて、車列は市街地にある私立病院に到着した。

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    芽衣を止めることはできなかった。 彼女が同行することは確定したが、星文についてはそうはいかない。小夜はすぐに翔に電話をかけ、事情を説明した。今回の海外行きは危険を伴うため、星文を連れて行くことはできないと単刀直入に伝え、すぐに迎えに来るよう頼んだ。 程なくして、翔が車を飛ばしてやってきた。 だが彼は、星文の身分証明書やパスポートなど一式を持参しており、小夜に会うなり開口一番に言った。 「構わない、連れて行ってくれ。俺の母親――つまり星文の母方の祖母が海外にいるんだ。イタリアだが、事前に話は通してある。向こうに着いたら母が人を手配して、星文の面倒を見る手はずになっている」小夜がまだ断ろうとしているのを見ると、翔は続けて言った。「それに、今回の件がなくても、近いうちに星文を海外へ送るつもりだったんだ」 小夜は言葉を失った。 翔は気まずそうに鼻の頭をかいた。「実は姉が……星文の母親が、もうすぐ出所するんだ。正直、心配でね」 そういうことか。 小夜は合点がいった。 どうりで今回帰国した際、翔が急いで星文を自分の元へ送り込み、海外行きのことを急かしたり、養母の話を持ち出したりしたわけだ……なるほど。あの夫を殺害し、法廷で暴言を吐いたという凄まじい女が、もうすぐ出所してくるということか。 彼女の考えを読み取ったのか、翔は慌てて釈明した。「養母の話は本気だぞ。あの子は本当に高宮さんに懐いているから」 小夜は手を挙げて彼の言葉を遮った。今は精神的に疲弊しており、それ以上のことを考える余裕はなかった。 「分かりましたわ。じゃあ、お母様には厳重な警護をお願いして。現地に着いたら、すぐに引き渡しますから」 今の彼女の周りは、あまりに危険すぎる。 それにしても、翔という男は随分と肝が据わっているというか、能天気すぎる。 ともあれ、これで方針は決まった。 …… すぐに青山から連絡が入った。 公安がプライベートジェットを手配してくれたとのことだ。彼女の身の潔白は証明され、課されていた渡航制限も解除されていた。 出発は今夜だ。 迎えの車が到着し、彼らを指定の場所へと運んだ――郊外の開けた駐機場には、一機の中型機が待機しており、周囲には銃を持った十数名の武装警備員が直立不動で警備にあたってい

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