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第393話

Author: 一燈月
彼女が知る西洋の貴族のしきたりによれば、この長い廊下に飾られる肖像画は、一族の中でも極めて重要な直系の血族であるはずだ。

歴代の当主や、一族に多大な貢献をした者だけが肖像画として本城に飾られ、後世の者たちに仰ぎ見られることを許される。言うなれば、一族の祠堂みたいな場所だ。

しかし、これほど神聖な場所に、一族ではない東洋人の肖像画が飾られている。それだけで、絵の中の人物がどれほど重用されていたかが窺える。だが、本当に重要なら、なぜ顔が描かれていないのだろう?

極めて重要な意味を持ちながらも、決して触れてはならないタブーの存在。

実に奇妙だ。

小夜は首を振って思考を断ち切った。今は時間がない。それに、狼がずっとドレスの裾を引っ張り、早く階下へ食べ物を探しに行こうと急かしていたからだ。

小夜は大人しく、狼についていくしかなかった。

階段にしゃがみ込み、狼が堂々と階段を降りていくのを見送ってから、小夜も後を追ってホールへ下り、キッチンのドアの前までやって来た。

暗証番号式の電子ロックをしばらく見つめたが、すぐには手を出さず、狼に向かって身振り手振りで伝えた。

――
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