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第8話

Author: アオハニー
「だって、何度も取り寄せたはずなのに……そのたびに、あなたが人に頼んで手配したって……」

彼女ははっとしたように顔を上げた。

「どうして毎回、私を役所に行かせなかったの?」

隆之の口元がぴくりと引きつった。

答えはもう、その顔に出ていた。

私は一本、電話をかけた。

スピーカーに切り替える。

二回コールしただけで、相手は出た。

「沙希さん?どうしたんですか?」

調査報道の仕事で知り合った、役所勤めの知人だった。

「ちょっと確認してほしいの。伊藤隆之と小林思穂、この二人に婚姻登録の記録があるかどうか」

思穂の目がかっと見開かれた。隆之の腕にすがりつくようにしがみつく。

隆之はスマホを奪おうと一歩踏み出したが、私は身をひるがえして二歩下がった。

電話の向こうでキーボードを叩く音がして、それから数秒の沈黙。

「ありません。小林思穂さん名義では、婚姻登録の記録は一件もなしです」

「伊藤隆之さん名義には一件あります――登録相手は寒川沙希さん」

「沙希さんのことですね。現在の状態は、婚姻継続中です」

スマホ越しのその声が、静まり返ったリビングに響いた。

まるで判決
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