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第134話

Author: かおる
翔太は怜の言葉に逆上し、真っ赤な目で睨みつける。

「なんだって!

もう一度言ってみろ!」

怜はおどろいたように目を丸くした。

「翔太兄ちゃん、どうしたの......急に?」

翔太は怜の袖をつかみ、顔を歪める。

「お母さんは誰を捨てても、僕を捨てるはずがない!

本当に哀れな子はお前だ!」

二人の声が大きくなり、教室中の子どもたちの注目を集める。

駆けつけた先生たちが慌てて間に入った。

怜の瞳が赤く潤み、涙をこぼしながら言う。

「そうだよ、僕は哀れな子だ。

お母さんなんていないし、父さんも忙しくて全然相手をしてくれない。

だからお願いして、星野おばさんにイベントに出てもらうんだ......」

翔太は狂ったように叫ぶ。

「だめだ!

絶対だめ!

彼女は僕のお母さんだ!

僕のお母さんを返せ!」

先生たちは二人が殴り合いになるのを恐れ、急いで引き離す。

――翔太と怜。

この二人は幼稚園でも特に目を離せない問題児になっていた。

少しでも気を緩めれば、すぐに衝突する。

名門幼稚園で長年教えてきた教師たちも、ここまで激しく対立する子どもを見たことがなかった。

頭を抱えた末、ついに両家に連絡を入れる。

ちょうどそのころ、雅臣は飛行機を降りたばかりだった。

電話を受けると、隣でハンドルを握る誠に言う。

「幼稚園へ」

誠はハンドルを切り、車の進行方向を変えた。

バックミラー越しに後部座席の雅臣をうかがいながら、恐る恐ると口を開く。

「神谷さん......今度は翔太様に何かあったのでしょうか?」

後部座席に身を預けた雅臣は、数日続いた過密な仕事と長時間のフライトで疲れ切っていた。

「幼稚園で喧嘩だ」

眉間を揉みながら、不機嫌そうに吐き捨てる。

「どうしてこうも手がかかるようになったんだろう」

誠は軽く咳払いし、遠慮がちに言う。

「この年頃の子どもにはよくあることです。

姉の子も翔太様より一つ上ですが、幼稚園でしょっちゅう問題を起こして、姉は毎日のように呼び出されています」

「翔太は今まで、そんな手間をかけたことはなかった」

雅臣の声は冷ややかだった。

誠は小さく息をのみ、それでも言葉を続けた。

「それは奥さまがすべて担ってこられたからです。

ご主人を煩わせないように......」

――翔太がこの名門幼稚園に
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