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第2696話

Author: かおる
この不思議な感覚は、彼に安らぎと心地よさをもたらし、思わず溺れてしまいそうになるほどだった。

しかし、安逸に溺れれば警戒心が薄れ、数多くの危険を見落としてしまう。

それでも、人の営みの匂いがする、地に足の着いた日常は、あまりにも素晴らしかった。

自分が血生臭い争いの世界に生きていることを、すっかり忘れさせてしまうほどに。

……

食卓には三品のおかずとスープが並んでいた。トマトと卵の炒め物、青菜の炒め物、スペアリブの甘辛煮、そして湯気を立てるわかめと卵のスープだ。

どれも家庭料理だが、見栄えが良く、色鮮やかでとても食欲をそそる。

星はご飯をよそった茶碗を彼の前に置き、「食べてみて。ずっと料理してなかったから、腕が落ちてないか心配だけど」と言った。

仁志は茶碗を受け取り、箸を取ってスペアリブを一つ口に運んだ。

肉は柔らかく煮込まれており、甘辛さもちょうど良く、とても美味しい。

仁志は頷いた。「美味いよ」

星はにっこり微笑んだ。「じゃあ、いっぱい食べてね」

二人は向かい合って座り、静かに食事をした。

あえて話題を探そうとはしなかったが、その沈黙は決して気まずくなく、
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