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第862話

Author: かおる
彼女はもうヴァイオリンを弾くこともできず、世界中から見放された。

それなのに星は、光り輝く舞台の中央に立っている――

清子が憎まないはずがなかった。

周囲の観客の声は、星を称賛するばかりではなく、清子との比較まで始めていた。

「今回の件、ワーナー先生は腸が煮えくり返るほど後悔してるだろうな。

あんな目の曇った判断で小林なんかを弟子にして、危うく自分のキャリアまで台無しにされるところだったな」

「それにしてもワーナー先生って何考えてたんだ?

あんな天才の星野を選ばず、小林みたいな嘘つき女を弟子にするとか」

「いや、ワーナー先生自身が小林みたいなタイプなんだろ。

彼の弟子のハリーを見れば、どんな師匠か分かるじゃん」

「星野って、神谷雅臣の元嫁らしいぞ。

あんな綺麗で才能もある奥さんを捨てて、小林とつるんでたなんて......

アイツの目どうなってんだ?」

「何も分かってないな。

ろくでなしな男にとっては、外に転がってるクズのほうが輝いて見えるんだよ」

「こんな詐欺女のために星野と離婚?

神谷も後悔で発狂してるだろうな」

清子は唇を噛みしめた。

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