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第十九話

Auteur: 朱宮あめ
last update Date de publication: 2026-01-10 11:00:00

「わっ! 美味そ~!」

 すかさず波音がビーフシチューに飛びつく。

 私はカトラリーを渡しながら、付けていたエプロンを脱いだ。

「桜、おいで?」

 甘い声で呼ばれる。

 仕方なく、仕事だから仕方なく、波音の膝の上に座る……。

(うぅ、恥ずかしい……)

「はい、あーん」

 約束通り、あーんされる。

 恥ずかしいけど、素直に応じる。

 これは、失恋カレシの舞台で実際にある場面らしいから仕事のうち。

 だけど……恥ずかし過ぎる!

「どう? 美味しい?」

「う、うん」

 頷くけれど、ぶっちゃけ……。

(味なんて分からないよ……!!)

 目が回りそう。

「桜、今日も一日お疲れ様。頑張ったね」

「う、うん」

 まるで子供にしてあげるように優しく頭を撫でられる。
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