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第432話

Author: 心温まるお言葉
霜村冷司の瞳が暗く沈んだ。彼の夕子は傷ついていたのだ。

彼はかつて彼女を酷く傷つけ、その千々に裂けた心はまだ修復されていない。彼女が彼を信じることなどできるはずがない。

霜村冷司は森下玲の言葉に答えず、冷たい表情のまま、小刀を握りしめ、もう一方の手に向かって刃を走らせた。

森下玲は彼が自分を許すつもりがないことに気づき、心の底から叫んだ。「あなたが彼女を見たとき、冷たく接したのが原因よ!彼女が心を閉ざしたのは私のせいじゃない!!!」

霜村冷司の表情が一瞬硬直した。彼がいつ和泉夕子に冷たく接したというのか?

彼は冷ややかな目で森下玲を一瞥し、手に持ったナイフを彼女の指先に深く突き刺した。

「はっきり言え!」

森下玲はこれが自分の命綱だと思い、簡単には口を割らなかった。

「私を許すと約束してくれたら、教えてあげるわ!」

霜村冷司は言ったことを守る男だ。彼が一言でも許すと言えば、彼女の命は助かるのだ。

彼女が霜村冷司の答えを待っていると、外から自信に満ちた声が響いた。

「言わなくてもいいわ、全部調べたから!」

水原紫苑は赤いドレスを身にまとい、ハイヒールを履き、両腕を組んで女ボディガードを従え、堂々と入ってきた。

彼女は取り出した監視カメラの映像を沢田に投げ渡し、霜村冷司の前に歩み寄り、手を振った。

「霜村社長、まず真相を探して、それから私に時間をくれない?彼女を懲らしめるのは私に任せて!」

森下玲は信じられない思いで水原紫苑を見上げた。

「水原さん、私はあなたを怒らせた覚えはないわ。なぜ私を懲らしめるの?」

水原紫苑は森下玲に一瞥もくれず、ナナちゃんから白い手袋を受け取り、ゆっくりとそれをはめた。

そして森下玲の襟を掴み、彼女を地面から引き上げ、手を振り上げて彼女の顔に強烈な平手打ちを食らわせた。

「なぜ懲らしめるかって?」

「あなたは悪意のある画像加工で私の名誉を傷つけた、それだけで懲らしめる理由になるでしょう?」

「あなたのデマのせいで、私の好きな人が誤解した、それも懲らしめる理由よ!」

「医者としての倫理はあっても品性がない、それも懲らしめる理由よ!」

水原紫苑は一言ごとに森下玲に強烈な平手打ちを食らわせ、彼女の頬を腫れ上がらせ、目に星が飛ぶほどにした後、彼女を地面に投げ戻した。

水原紫苑は手袋を外し、ナナちゃんに
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