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109.パーティー当日、啓介の不安②

last update Huling Na-update: 2025-07-13 21:03:37

俺は、自分でも気がつかないくらい心の奥の方に眠っていた不安を吐露した。

「いつもさ、結婚の話が出ると俺が断って、向こうから離れていくんだ。諦めだったり、嫌気がさしたり、何度も言われることもあれば、もう1回で踏み込めなくて相手が落ち込んだりとかさ…。でも今回は、俺は佳奈と結婚したいと思っているけど親の問題があって。今まで断ってきた人たちの気持ちが、ほんの少しだけ分かったというか……」

俺が拒絶される側の気持ちを理解した、と語ると佳奈は真剣な表情になった。

「自信ないの? 断って去っていた彼女たちのように、私も去って行かないかって思っているの?」

「いや…佳奈のこと疑っているわけじゃないんだけど。」

「悪いけど、見くびらないでくれる?」

佳奈はそう言うと、俺の胸を軽く叩いた。

「私は啓介が好きで一緒にいたいからここにいるの。これからも一緒がいいと思っているから、こうしているの。お母様のことでどれだけ面倒なことがあっても、私にとっては啓介と一緒にいることのほうが大切よ。それに、私はそんなに簡単に諦める女じゃない。」

佳奈は、俺の不安を優しく、しかし力強く打ち砕いてくれた。佳奈の強い意志と、俺への深い愛情が伝わってきて俺は心の底から安堵した。

「ごめん、変なこと言って。ありがとう」

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