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第758話

Author: 浮島
小春はすぐに手を振った。

「いいよ、別に。お見合いするのはあんたなんだし。もし......いや、やっぱりいい。早く選びなよ」

蒼空は唇を結び、スタッフたちに向かって手を振り、一着ずつ目の前に持ってきてもらう。

スタッフたちは順番に服を掲げて見せ、蒼空は判断がとにかく早かった。

気に入ったものは残し、ピンとこないものはすぐに下げさせる。

あまりに少なすぎるのも気が引けた。

わざわざ運んできてくれたのだし、多少は歩合が出るようにしてあげたかった。

そのため、数分もしないうちに、残った服はハンガーラック一本分をほぼ埋め尽くしていた。

小春は感心したように舌を鳴らし、肘で蒼空の腕をつつく。

「ねえ、お見合い相手ってどんな人?イケメン?写真はある?」

蒼空はテーブルの上から資料を引き寄せた。

「これ見て」

小春は受け取るなり写真に目を落とした。

「なかなかかっこいいじゃん」

さらにページをめくり、「学歴も仕事も家柄も、カンペキ。蒼空とお似合いだと思う」と頷いて言う。

「もう勘弁してよ」

蒼空はため息をつき、スタッフに合図して、手に持っている服を一旦下げさせた。

「どうだった?」

文香が果物の皿を持ってキッチンから出てきた。

食べながら服を眺め、さらにスタッフの方へ皿を差し出す。

「お疲れさま。食べる?」

スタッフは丁寧に首を振った。

「大丈夫です。お気遣いありがとうございます」

文香は仕方なく皿をテーブルに置き、小春の隣に座る。

「いつ来たの?小春も何着か選んでみなよ」

小春は慌てて手を振った。

「いえいえ、見るだけで。今日は蒼空が主役なので」

蒼空は顎を少し上げ、スタッフに続きを促した。

文香は、小春が見合い相手の資料を見ているのを見て、得意げに聞く。

「どう?私が選んだ相手、なかなかでしょう」

小春は即座に褒めた。

「すごくいいと思う。蒼空にぴったりだし、条件も申し分ない」

褒められて、文香はますます胸を張る。

「でしょ?かなり吟味したんだから、当然よ」

小春は我慢できず、資料を脇に置き、蒼空をちらっと見てから、文香の服を引き、声を潜めて聞いた。

「おばさん、どうして蒼空にお見合いを?」

「年齢的に、そろそろ考えないとね」

文香は気にも留めずに言う。

「小春もその気があるなら、紹介してあげるわよ」
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Comments (4)
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宮東真
前回の病院の件も、あれ遥樹じゃなかったら見限られててもおかしくないレベルというか…正直もしかしたら一時的にでも離れるのではと思ったくらいだったから…。 蒼空に嫌われたくない、追い詰めたくない一心で遥樹が我慢しすぎてるんだよな…。 もうこれ絶対明日の更新分からまた胃が痛くなるだろうなって…。 絶対嫌いだって言ったの聞いちゃってそうなんだけど、奇跡でも起こって遥樹がめげずに見合いのとこに入ってきてくれたらと思う。でも遥樹の負担がでかすぎる流石に。 もっと本気出して追い詰めちゃっていいと思うな…じゃないと変わらない気がする彼女は。考えることを拒絶してるから。
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宮東真
なんというか、蒼空は前世で擦りきれてしまった感情を、今世になってからも治ることも、治すこともせず、子供のまま大人になってしまった人みたいだ。 だから、わからない感情に混乱してそれ以上考えないことにする。癇癪を起こした子供のように考えることを拒絶する。 今回はかなり鬱陶しい部分もあるけど、母親が心配するのもわかる。人間関係に不備が生じるほど、このままじゃ彼女は誰とも生きていけない。自分に何かあって、小春や遥樹すらいなくなってしまったらと思ったら怖くなったんだろうな。彼女の将来が。 拗れるだろうな明日以降また…。瑠々も片付いてないし…。遥樹のこと嫌いだって言っちゃったし…聞かれてそうだし…。
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前世で娘を失った、自殺した、っていう傷が無意識に今世の蒼空の人格を形成してるね。頑なまでに人を寄せ付けないし(人間関係も恋愛も)、異常にストイックで自分を追い詰めて身体も顧みないし…。でもね彼女の今までを想うと切なくて苦しいです。 これから先は重い重いコートを脱ぎ捨て軽やかに輝ける蒼空の活躍期待してます。
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