Share

私の顔が赤い理由

Author: るな
last update publish date: 2026-11-01 21:36:22

今日も昨日に引き続き、ポップアップストアに向けて、戦略会議が開かれることになっていた。私は一足先に会議室で、佐藤に頼まれた資料の準備をしていた。

「おはよう。桜井さん」

「おはようございます。レオさん。顔色が優れないようですが……」

「あ!今!レオさんって呼んでくれたよね?」

「あ、はい。昨日、仰っていたので……」

私は、恐る恐るレオの顔を伺った。すると、レオは私の顔を見るなり微笑んだ。

「これからもそう呼んでね。知英ちゃん」

「え……///」

「あれ?顔が真っ赤だけど?」

「それは……」

私は不覚にも、憧れのレオに〝知英ちゃん〟と呼ばれたことに動揺してしまった。

「おい、レオ。また桜井さんに絡んでるのか?」

「桐生さ、どうしてお前はいつもいいタイミングで来るわけ?」

「さぁな」

すると、桐生はゆっくりと私の元に近づいた。そして、私の顔を覗き込んだ。

「桜井さん、レオに何か言われた?」

「何でもないです」

「そう、なら良かった」

私はそのまま自分の席に座った。そこに、隣の席のレオが、椅子のローラーを転がしながらやってきた。

「どうしてさっき、桐生に何も言わなかったの?知英ちゃんの
Continue to read this book for free
Scan code to download App
Locked Chapter

Latest chapter

  • 婚約破棄されたら、イケメン御曹司に拾われました   名前のない感情

    私は、桐生と共に会議室に戻った。その頃には、デザイン部の社員が全員着席していた。私も慌てて自分の席に座った。「おかえり、知英ちゃん。桐生どうだった?」「レオさん、もう大丈夫です。いつもの桐生社長ですよ」「それは良かった」レオと話が終わる頃、佐藤が資料をスクリーンに映し出し、話し始めた。「本日は、ポップアップストアの詳細が決まったのでお知らせします。まず、東京のポップアップストアの開催日時は、ウインターコレクションの発売日から1週間となります。また、お客様にゆっくりと商品をご覧頂くために、完全予約制とします。そして、イメージモデルを務める美沙さんは、日曜日に一日店長という企画にて、イベントに参加してくださいます。また、イベントの告知は、明日から当社のホームページにて行います。ここまでで、何か質問はありますか」佐藤の説明に、疑問を持つ者はいなかった。桐生も席に座り、静かに佐藤の説明を聞いていた。「それでは、次に大阪のポップアップストアの詳細についてお知らせします。開催日時は、今日からちょうど1ヶ月後となります。開催期間は3日間です。また、デザイン部の中から数名、私と共に現地入りしてもらう予定です。お声掛けさせていただいた方は、ぜひ、同行のご検討をお願いします。では、今回のイベントは初めての事ばかりです。戸惑うことも多いかと思います。その時は、デザイン部一同、力を合わせて乗り切りましょう。今日の会議は以上になります。それでは、自分の仕事に戻ってください」会議が終わるとすぐに、デザイン部の面々は、自分の持ち場に戻った。私も席に戻ろうと立ち上がった。すると、レオが私に話し掛けた。「知英ちゃん、この後、ランチに行かない?桐生も誘って3人で」桐生に聞いてから答えようと思ったが、彼は佐藤と、先程の資料を見ながら真剣に話していた。「桐生の学生時代の話、聞きたくない?」それは喉から手が出る程、気になる話だった。私が返事を迷っていると、佐藤との会話を終えた桐生がこちらにやって来た。「レオ、まだいたのか」「桐生を待ってたんだよ」「俺を?」「そう。このあと、昼休みに3人でランチに行かないかって話しててさ」「俺はいいけど、知英ちゃんの予定はどう?」「私も大丈夫です」「よし、決まり。予約は桐生に任せた」「全く、お前って奴は」そう言いながら、満更でもない

  • 婚約破棄されたら、イケメン御曹司に拾われました   私の顔が赤い理由

    今日も昨日に引き続き、ポップアップストアに向けて、戦略会議が開かれることになっていた。私は一足先に会議室で、佐藤に頼まれた資料の準備をしていた。「おはよう。桜井さん」「おはようございます。レオさん。顔色が優れないようですが……」「あ!今!レオさんって呼んでくれたよね?」「あ、はい。昨日、仰っていたので……」私は、恐る恐るレオの顔を伺った。すると、レオは私の顔を見るなり微笑んだ。「これからもそう呼んでね。知英ちゃん」 「え……///」「あれ?顔が真っ赤だけど?」「それは……」私は不覚にも、憧れのレオに〝知英ちゃん〟と呼ばれたことに動揺してしまった。「おい、レオ。また桜井さんに絡んでるのか?」「桐生さ、どうしてお前はいつもいいタイミングで来るわけ?」「さぁな」すると、桐生はゆっくりと私の元に近づいた。そして、私の顔を覗き込んだ。「桜井さん、レオに何か言われた?」 「何でもないです」「そう、なら良かった」私はそのまま自分の席に座った。そこに、隣の席のレオが、椅子のローラーを転がしながらやってきた。「どうしてさっき、桐生に何も言わなかったの?知英ちゃんの顔が赤くなった理由を」 「それは……」憧れのレオに、名前を呼ばれて驚いただけだ。忙しい桐生に、伝えるまでもない。私はそう判断した。「まぁ、お互いの呼び方が変わっただけだからね。やましい事ではないし」「そうですよ」 「うん。だけど、知英ちゃん。桐生はそう思うかな?」「どういうことですか?」「まぁ、そのうち分かるよ」レオは、意味深な笑みを浮かべた。 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄私は会議が始まる前に、御手洗を済ませようと席を立った。「桜井さん」「はい」振り返ると、そこには桐生が立っていた。そして、私の腕を掴み、隣の資料室に連れ込んだ。「桐生社長、会議が始まります。戻らないと」「まだ10分ある」すると、桐生はゆっくりと私に近付いた。「レオと何があったの?」「だから何もないです」「何もないのに、どうして、俺の目を見れないの?知英ちゃんらしくないね」気づけば私は、桐生に壁に追い詰められ、逃げ場を失っていた。「レオと話すことがそんなに楽しい?楽しいに決まってるか。レオは、知英ちゃんの憧れの人だからね」「そんなことない」「じゃあ、どうして俺に言えな

  • 婚約破棄されたら、イケメン御曹司に拾われました   〈特別編〉レオの葛藤

    桐生が行ってしまった。バーに一人残された俺は、ウイスキーを煽った。 「飲み過ぎですよ」 「早かったね」 「こんな夜中に呼び出したのは誰です?」 「でも来てくれた。流石だね。芹沢くん」 俺は芹沢の顔を覗き込んだ。しかし、相変わらず、芹沢の表情は読めなかった。 「桜井さんって、いい子だよね」「はい。稀に見る素敵な方です」 「だよね。だから、憎めないんだよ」 「それは残念でしたね」 芹沢は淡々と話しながら、ジントニックを一口飲んだ。そして、俺に単刀直入に問いかけた。「もしかして、桜井様に嫉妬してるんですか?」「俺が?そんなこと有り得ないだろ」「そうですか。てっきり、それが原因でやけ酒をしているのかと思ってました」芹沢の言葉で、俺は4杯目のウイスキーに口を付けようとし、一旦やめた。「出会った頃の桐生は、そこに居るだけでみんなの目を惹くような奴でさ」「わかる気がします」「だから、桐生の周りにはいつも男女問わず人が集まってて。でも、桐生は誰一人として相手にしなかった。まさに、一匹狼ってやつ」俺は、あの頃の桐生を思い出して、懐かしさに浸った。「じゃあ、どうしてレオさんは桐生社長と仲良くなったのですか?」「大学の時に、デザイン画のコンテストに作品を応募したんだ。そしたら、同じ大学の生徒が俺にデザインを盗作されたって騒ぎだして。もちろん、俺は盗作なんかしてないけど、誰も俺の話を信じてくれなかった。そんな時に、桐生だけは、レオはやってないってみんなの前で言ってくれた。それだけじゃなくて、証拠を集めて、俺の無実を証明してくれた。それから、俺が一方的に桐生にくっついて今に至るって訳」あの時の桐生は、本当に格好良かった。周りの連中が俺を非難する中、盗作騒ぎを起こした生徒に証拠を突きつけ、自作自演だった事を認めさせた。その生徒が俺を陥れようとした理由は、俺のデザインへの嫉妬だった。「桐生は周りに関心が無いわけじゃなかった。それどころか、人一倍、周りを見てた。あいつはそういう奴なんだ」俺はウイスキーをごくごくと飲んだ。俺が一番、桐生の事を知っていると思っていた。俺だけが、ありのままの桐生を受け止められると思っていた。そろそろ、俺も現実と向き合わなければならない。人は成長する。桐生は、心から愛する人と出会って成長したのだ。これは友人として喜ぶべきこ

  • 婚約破棄されたら、イケメン御曹司に拾われました   触れれば、触れるほど

    俺は玄関の鍵を開けると、靴を脱ぎ捨て、リビングに向かった。 「おかえりなさい、翼さん」 「知英ちゃん、ただいま」 俺はソファーから立ち上がった知英を、強く抱き締めた。俺の腕にすっぽりと収まる知英が、愛おしくて堪らない。知英を、一分一秒でも離したくない衝動に俺は駆られた。 「翼さん、どうしたの?」 「なんでもないよ」 俺は知英の頭を優しく撫でて、彼女から離れた。すると、知英は心配そうに俺の顔を覗き込んだ。俺は咄嗟に知英から目を逸らした。 「シャワー浴びてくるね。もう遅いから、知英ちゃんは先に休んでて」 これ以上、知英に触れると自制心が崩壊する。俺は逃げるように風呂場へ急いだ。 風呂に入ると、真っ先に俺は、頭からシャワーを浴びた。レオと話して、自分がどれだけ知英を愛し、必要としているかを改めて自覚した。だが、自覚したら最後、知英が欲しくて堪らない俺が居た。しかし、俺は知英への覚悟を貫き、大切にし、守りたい。自分勝手な欲望を、知英にぶつけたくはないのだ。 「翼さん、着替えとバスタオル置いておくね。おやすみなさい」 愛しい知英の姿が、風呂の扉のすりガラス越しに見えた。俺は自分の理性と闘った。しかし、抵抗虚しく、俺は風呂の扉を開けた。 「翼さん/」 俺の裸体をみて、顔を赤らめる知英を見たら、俺の我慢は限界だった。俺は知英の腕を掴み、風呂場へ引きづり込んだ。そして、知英を壁に追い詰め、彼女の唇に強引にキスをした。その間、彼女の服がシャワーで濡れ、肌に張り付いた。 「翼さん……んん……///」 俺は知英の唇に、自分の唇を何度も押し当てた。すると、知英の口から吐息が漏れた。その声は、風呂場中に響き渡り、俺を更に興奮させた。 「知英ちゃん、俺が怖い?」 「ううん」 知英は背伸びをし、俺の頬に手を添え、唇にそっとキスをした。俺は、知英の唇の感触を目を閉じて味わった。しかし、これだけでは足りなかった。 「伝わった?/」 「まだ」 俺は、知英の口内に舌をねじ込み、何度も吸い付くようなキスをした。触れれば、触れるほど、知英が欲しくなる。俺の欲望は、まるで、底なし沼のようだ。そこで、俺は濡れた指を、知英の中にゆっくりと挿入した。 「待って、翼さん/」 「どうしたの?」 「あぁぁ……/はぁ……//」 俺は戸惑いながらも、快楽に浸っていく知英の姿

  • 婚約破棄されたら、イケメン御曹司に拾われました   桐生の本音

    「レオ、話ってなんだ?」「いいから座れよ。いつものでいいか?」「ああ」レオはバーテンダーに、ウイスキーのロックを注文した。「最近、桐生を誘っても、全然来てくれないからさ」「前みたいに、飲み歩くより、家に居たいんだよ」「桜井さんが居るから?」「それ以外に何がある」俺はウイスキーを一口、喉に流し込んだ。「桜井さんが傍に居ないと不安なのか?」「どうしてそう思う?」「桐生、今日、言ってただろ。自信がないって」レオの言葉で、俺は今日の会議室での出来事を思い出した。恐らく、レオはその時の俺の様子を心配して、飲みに連れ出したのだろう。昔からレオは面倒見が良かった。俺にとって、頼りがいのある友人だ。「不安だよ」「どうしてだ?俺が見ても分かるくらい、桜井さんは桐生しか見えていないのに」「俺も、こんな気持ちになるなんて思ってなかったよ」俺は二杯目のウイスキーに口を付けた。俺も人並みに恋愛はしてきた。別れだって経験した。その度に、〝私を好きだったことある?〟と聞かれていた。彼女達の言葉の意味が、知英と出会ってようやく分かった。俺は今まで、誰も本気で愛していなかったのだ。人を好きになればなるほど、幸せだが、不安も大きくなる。いつか、嫌われないかと怖くなる。俺は今、その日々を送っていた。「恋煩らいか?」「そんな可愛いもんじゃないよ」俺は煙草に火をつけた。俺は煙を肺いっぱいに吸い込み、ゆっくり吐き出した。「でもさ、桐生、人間らしくなったよな」「俺は元から人間だけど」「そうだけど。なんていうか、感情を表に出すようになったっていうか、表情が豊かになったっていうか、俺はいい傾向だと思う」「俺、隠せてない?」「全く。特に、桜井さんが絡むと鬼の形相で睨んでるから。背筋が凍りそうだよ」「レオ、それは大袈裟だろ」「だけど、近藤から聞いたよ。桜井さんに危害を加えた奴らを痛めつけたって」「お灸を据えただけ。自業自得だ」知英に手を出す者は、どんな奴だろうと許さない。その為ならば、俺はこの手を汚すこともいとわない。「桐生のそういう一面を、桜井さんは知ってるのか?」「知ってる」「え?それでも、桐生の傍に居るのか?」「そう」「桜井さん、芯の通った人だとは思ってたけど、肝も据わってたとは。それなら、不安に思うことないじゃん」「どうしてだ?」「つまり

  • 婚約破棄されたら、イケメン御曹司に拾われました   ポップアップストア始動

    週明けの月曜日。 遂に、今日から、ウインターコレクションのポップアップストアの準備が始まる。まずは、戦略会議だ。今日の会議には、レオも参加することになっている。 「桜井さん、おはよう」 「レオ様、おはようございます」 「桐生とは順調?」 「はい」 「即答できちゃうもんな。妬けるよ」 「レオ様のお陰です」 「俺?」 「はい。この前、私の本音を気づかせてくれたから」 まさか、憧れのジュエリーデザイナーのレオと、恋愛話ができる日が来るとは、夢にも思っていなかった。 「ところで、そろそろその呼び方やめない?」 「と言いますと」 「レオ様ってやつ。俺の柄じゃないというか。俺たち友達でしょ?」 「友達!?」 私は驚きのあまり、椅子から立ち上がった。 「そんなに驚くこと?」 「驚きますよ!レオ様は、私にとって憧れのジュエリーデザイナーなんです。雲の上の存在だと思ってる方と、こうしてプライベートなお話をしていることも信じられないのに、それだけではなく、友達と仰ってくださるなんて、私にはもったいないお言葉過ぎて……」 「ははっ、桜井さんって面白いね。こないだから、芯のある人だとは思ってたけど、ますます知りなくなった。桐生が気に入るのも分かる気がする」 私は返す言葉に困惑し、俯いた。すると、レオが私の両手を握り、言った。 「桜井さん、改めて友達になろう」 「ダメだ。全く、油断も隙もない。レオ、その手を離せ」 「いいだろ?友達になるくらい。桐生のくせに心が狭いぞ」 顔を上げると、私の隣には桐生が立っていた。 「俺は、男女の友情は成立しないと思ってるから」 「分かった。桐生、自信がないんだろう」 レオの言葉に、桐生は黙った。そして、ゆっくりと息を吐いた。 「そうだよ。ないよ。だから必死なんだ。分かれよ」 「桐生のそんな顔、初めて見たわ」 すると、レオが私と向き合った。 「今夜、桐生を貸してほしい。安心して。どこで飲むかも全部言う。桐生の友達として、桐生と話してくるから」 「分かりました」 「ありがとう」 話が落ち着いた頃、会議室にデザイン部の社員が続々と集まってきた。私達もそれぞの席に着席した。 「みんな揃ったわね。では、ポップアップストアについての戦略会議を始めます。本日は、ウインターコレクションのチーフデザイナー

More Chapters
Explore and read good novels for free
Free access to a vast number of good novels on GoodNovel app. Download the books you like and read anywhere & anytime.
Read books for free on the app
SCAN CODE TO READ ON APP
DMCA.com Protection Status