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レティーシャ(2)

Author: 酔夫人
last update Last Updated: 2025-11-13 16:48:45

「無理ですわ!」

無茶を通り越して無謀な話で、レティーシャは反射的に「はい」と「いいえ」以外で答えてしまった。

  パアンッ

視界がグルっと回った。

壁が見えて、頬がジンッと熱くなる。

「口答えをするんじゃないわよ」

痛みに滲む視界でラシャータがまた手を振り上げていた。

また叩かれる。

レティーシャは目を瞑り、痛みに備えて体を強張らせた。

叩かれることには慣れているが痛いものは痛い。

「それにケガをさせるな」

「なんで?」

父伯爵に止められたラシャータの声は不満気だったが、初夜の床で傷があると騒がれたら嫌だという父伯爵の言葉にラシャータはキャハハッと笑った。

「新床なんてないわ。新郎は腐りかけて、ベッドから起きあがることもできないんだもの」

(……腐り、かけ?)

ラシャータの言うことが本当なら、自分の婚約者が腐りかけていることのどこに愉快さが、笑う要素があるのかがレティーシャには分からなかった。

ラシャータに対して不快な気持ちを隠せなかったが、レティーシャの眉間に寄った皺をラシャータは恐怖と誤解した。

ラシャータの顔が愉悦に歪む。

「アレク様、魔物に呪われたの」

「そんなになるまで……どうして……」

「だって、醜かったのだもの」

呆気らかんとした悪びれのないラシャータにレティーシャは唖然とする。

「アレク様の全身は真っ黒で、臭くて、近寄りたくもなかった。あれはもうアレク様じゃない、怪物よ。怪物と結婚するなんて絶対に嫌!」

「それじゃあ治癒は……「するわけないじゃない、気持ち悪い!」」

ラシャータは自分を守るようにその腕を自分の体に回した。

(それなら……治癒を命じるなら分かりますわ。それなのに、なぜ結婚の必要があるのかしら)

「んもう、お父様が陛下に治癒力を最大限に発揮するには『伴侶』になる必要があるなんて言うからよ」

「仕方がないだろう。お前が治癒を拒んだなどと言えるわけがないし、これでようやくウィンスロープ公爵夫人になれると思ったから」

「それはアレク様が怪物になる前の話。おっそいのよ、お父様は」

膨れるラシャータと、それを宥める父伯爵のやり取りでレティーシャは粗方を理解した。

アレックスが怪我をするまで、ラシャータは早く結婚したいとアレックスに迫っていた。それを多忙などを理由にアレックスは拒否していたのだ。

「閣下は口もきけなかったと言っていたではないか」

結婚には二人の同意の言葉が必要である。

だから話ができないアレックスには無理だと父伯爵は思っていた。

(だから陛下は王命を出したのだわ)

王命は国王のみがもつ無敵のカード。

王命は承諾するしかない。

断った場合は首から上が胴体から離れることになる。

当代の王はこれまで一度も王命を使ったことがない。

王命は個人の意思を奪う醜い道具だと王が嫌悪していることは有名で、それを使わざるを得ないほどの事態なのだとレティーシャには理解した。

アレックス・ウィンスロープは国にとって唯一無二の存在だから。

(この二人は、なぜそれが分からないのかしら)

ただ騒ぐだけの父伯爵とラシャータのレティーシャは内心呆れる。

(しかも、その打開策が……)

「だからお前が『ラシャータ』として嫁にいけ」

ラシャータが嫌がっているから、王命に従うためにレティーシャをラシャータとして嫁がせる。

父伯爵の考えていることの半分はレティーシャも理解できる。

レティーシャとラシャータは異母姉妹だが、同じ年で二人とも父方の祖母に似たため、一卵性双生児のようにそっくりだから見た目だけなら騙せる。

(でも、雰囲気とか所作とかは全く違いますのに)

貴族令嬢の教育を受けたラシャータと教育をきちんと受けていないレティーシャでは所作が違う。ウィンスロープ公爵家の使用人たち、ましてや婚約者のアレックスを騙せるとはとても思えなかった。

「私がラシャータ様ではないことが知られたら」

「大丈夫よ」

レティーシャの懸念をラシャータは笑い飛ばす。

「治癒力が使えるのは『聖女ラシャータ』だけだもの。多少違和感があったとしても治癒力を使えば誰も何も言えないわ」

この無理難題が成功すると二人が思った理由をレティーシャは理解した。

治癒力は初代聖女であるスフィア伯爵家の開祖が神様から得た特別な力。

死んでさえいなければ助けることができる神がかった力。

その力はスフィア伯爵家の直系女児のみが受け継いでいて、雰囲気が違かろうが何だろうが、治癒力を使えば誰一人として『ラシャータ』だと疑わない。

なぜなら、治癒力を使えるのはスフィア伯爵家のただ一人の直系女児、聖女ラシャータだけだから。

(だって私は……)

「『聖女レティーシャ』はとっくの昔に死んでいるのだもの」

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