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第78話

Author: ASAMI
last update publish date: 2026-09-05 19:27:11

カーネギーホールでの歴史的復活公演から数日。

ニューヨークの街角には爽やかな秋風が吹き抜け、街路樹の葉が色鮮やかに色づき始めていた。ホテルのスイートルームの机の上には、連日世界各国の主要紙や音楽批評誌が所狭しと並べられている。

『奇跡の復活――音羽が奏でた自由の旋律』 『闇を凌駕する圧巻の表現力、カーネギーホールが歓喜に揺れた夜』

躍る見出しを眺めながら、私は温かいハーブティーのカップに手を添えた。

神崎家の重苦しい離れで息を潜めていた日々が、今ではまるで遠い過去の出来事のように思える。

けれど、その過酷な経験があったからこそ、今の私の音には誰も奪えない強さが宿っているのだと実感していた。

「音羽、次のワールドツアーのプロモーション計画について、レーベルとICPOの双方から承認が下りたよ」

ケビンが何枚かの書類を手に、笑顔でバルコニーから入ってきた。

「最初の巡回地はヨーロッパ――ロンドンのウィグモア・ホールと、パリのシャンゼリゼ劇場だ。どちらも君の音色を届けるのに最高の響きを持つホールだよ」

「ロンドンとパリ……!」

音楽家なら誰もが夢見る歴史ある舞台。胸の奥から湧き上がる純粋な高
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