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第4話

作者: サヨ
星奈は一人でタクシーを拾い、病院へ向かった。

救急室で、医師と看護師の会話が聞こえてきた。

「深見社長は奥様を本当に大切にしてるのね。最上階のVIP病室を丸ごと貸し切って診察させるなんて。幸い大事には至らなかったけど、そうでなければうちの病院は閉鎖に追い込まれてたわ」

「そうね、腰を少し打っただけみたい」

星奈は椅子に座り、ガラス片で傷だらけになった背中を晒していた。

看護師が破片を丁寧に取り除きながら消毒し、痛みで蒼白になった彼女の顔を見て、小さくため息をついた。

「はぁ、同じ人間でも待遇は違うものですね。こんなに酷い怪我なのに、誰も付き添ってくれないのですか?」

星奈の肩がかすかに震え、痛みに両手を固く握りしめた。

彼女の夫、悠斗は今や姉の明莉のことしか眼中にないから、明莉がちょっと打撲しただけで、あんなに慌てふためいていた。なのに目の前で自分がシャンパンタワーに倒れ込むのを見ても、今に至るまで何の気遣いもない。

処置が終わると、星奈は最上階へ向かった。病室の入り口で、明莉が悠斗の腕の中で泣いているのが見えた。

「悠斗、全部私のせいよ。星奈が逃げたと思ってあなたを慰めようとしなければ、こんなことにはならなかったのに……全部私が悪いの……」

悠斗は片手で彼女を抱き、優しく言った。

「明莉のせいじゃない。自分を責めるな」

「違うの。私のせいで、あなたと星奈がこんなことに。さっき彼女、転んだでしょう。そばにいてあげて……結局、彼女があなたの奥さんなんだから……」

「この件はどう考えても星奈が悪い。あの我儘な性格は、少し矯正してやった方がいい」

星奈は静かに聞いていた。爪が深く掌に食い込んだ。病室に飛び込もうとした瞬間、悠斗が電話を受けて出て行くのが見えた。次の瞬間、明莉はすぐに目元の涙を拭い、口角を上げた。

星奈はドアの陰に隠れ、明莉が誰かに電話をかけるのを聞いた。その声は軽やかだった。

「あとで検査結果を間違えないでね。妊娠六週よ。悠斗は気づかないわ。安心して、今回の謝礼も払うから」

星奈は録音ボタンを押したままのスマートフォンを見つめ、唇の端に笑みを浮かべた。

やはり、明莉の妊娠は嘘だった。この素敵なプレゼントは、出て行く前に必ず悠斗に届けてあげよう。

……

深夜になってようやく、彼女は深見邸に戻った。

悠斗が玄関に立っていた。長身の影が床に落ち、冷淡な表情をしている。

「こんなに遅くまでどこにいた?」

星奈は可笑しくなった。皮肉を言う。

「私が鋼鉄の体だとでも思ってるの?あんなに傷だらけで病院に行かなくても済むと?」

悠斗は目を伏せた。もともと静かだった瞳にわずかな波紋が広がり、声色も少し柔らかくなった。

「医者は何て?」

「皮が厚いから大丈夫だって」

星奈は悠斗を避けて屋内へ向かった。

突然、手を掴まれた。悠斗の声にはひんやりとした冷たさが滲んでいた。

「医者が言っていた。明莉は驚いて、子供が危なかったそうだ。今回はお前がやりすぎた。罰を受けるべきだ」

罰?

存在しない子供のために?

星奈はおかしくて笑い出した。

「悠斗、明莉のお腹に本当にあなたの子供がいると思ってるの?」

悠斗の目がさらに冷たくなった。

「星奈、また何を言い出す気だ?

誰か来い。彼女を部屋に閉じ込めろ。俺の許可なく出すな!」

星奈の瞳孔が収縮し、信じられないという目で彼を見た。彼女が閉所恐怖症だと、彼は知っているはずなのに。

真っ暗な密室の中、寒さが増していく。星奈は体を丸め、両目を固く閉じた。

幼い頃、言うことを聞かないたびに、文子に押し入れに閉じ込められた。それを繰り返すうちに、暗く閉ざされた空間が怖くなった。

彼女のために、悠斗はわざわざ二十四時間消えないライトを設計させた。眠るときでさえ、温かな灯りに包まれていられるように。

なのに今、明莉のために、彼は自らの手で彼女を暗闇の深淵へ突き落とした。

心臓の鼓動が次第に速くなり、全身が激しく震え始めた……
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