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第219話

Author: シガちゃん
病室には重い沈黙が落ちていた。しばらくして、祐一は歩実の手をそっと外し、静かな声で言った。「何かあったら、俺の部下に連絡してくれ」

それだけ告げて、彼は病室を出ていく。

歩実は目を赤くしたまま、その背中を見送った。シーツを握る指に、思わず力がこもる。

――自分が彼を救った存在だと思わせれば、また特別扱いしてもらえる。そう信じていた。

だが、彼の反応は想像と違った。喜ぶどころか、どこか距離を取っているようで……まるで、自分を救ったのは、彼女であって欲しくなかったのようだ。

……

祐一は病院を出て車に乗り込むと、すぐに電話が鳴った。麗子からだ。

――加藤陽子の居場所が判明した、という報告だった。

祐一は家には戻らず、そのまま現地へ向かう。

……

今まで陽子は、祐一の追跡から逃げられるよう、各地を転々としていた。持ち出した金を使い果たし、行き場を失った末、海都市に戻り、夫の姉を頼ったのだ。

個室の中で、陽子は帽子とマフラーで顔を覆い、周囲を警戒して座っていた。そこへ加藤杏奈(かとう あんな)が入ってくる。

陽子は慌てて立ち上がり、マフラーを外す。「……お義姉さん!」

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