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Love too late:募るキモチ

Author: 相沢蒼依
last update publish date: 2026-08-12 04:45:19

『秋雨前線の影響で、昨夜から断続的に雨が降り続き――』

テレビから流れる無機質なアナウンサーの声をぼんやりと聞きながら、ひとりで晩ごはんを食べていた。

ウチで働いてる、看護師の村上さんが愛情込めて作った手料理は、本当に美味しい。美味しいのだけれど、この旨さを分かち合う相手がいれば、もっと美味しいハズなんだ。

太郎がウチに来なくなって、ちょうど一週間が経つ――家庭教師のバイトをしたことのある桃瀬が、大学を休学したアイツの勉強を熱心に見てくれた結果、休学前よりもぐんと成績が上がったと、喜んで報告してくれたっけ。

復学して、すぐにおこなわれたレポートの提出後は学祭があって、準備で忙しくなるから逢えなくなると、太郎はすごく寂しそうな顔をして、抱きしめてきたんだ。

『来年の就活前に、楽しめることのできる学祭になるんだから、思いっきりやってきたらいい。俺ことは気にするな』

なぁんて強がりを言って、太郎を送り出すべく、笑って玄関で佇むと。

『……やっぱ寂しいからタケシ先生、アプリのメッセしてよ。そしたら、少しでも会話が――』

その言葉に、ムッとしながら眉根を寄せる。そんな暇があるなら顔
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    「やっぱ実際に目で見て確かめたら、どこか印象が違うな。ちょっとだけスケッチしていい?」 俺が了承するのを見越してなのか、いきなりしゃがみ込んで、カバンから画材を取り出し、目の前の景色を見ながら丁寧に色を塗っていく。 そんな歩の背中に自分の背中をくっつけるようにして座り込み、反対側にある海の景色を楽しむ。気持ちが軽くなったお蔭で、歩にいろいろ話せそう。「……俺さ、昔っから親父とケンカして、困らせてばかりいたんだ」 「さっきのやり取り見て、スゲェなって思った」 ちょっとだけ笑った声が、耳に心地いい。「親父がさ、個人病院を開業していたから俺がそれを継ぐっていう、将来が決まっていたのが、実はイヤでね」 「タケシ先生は、他になにかやりたいこととかなかったのか?」 時折吹いてくる下からの海風が、荒んだ俺の心を和ませてくれるみたいに吹き抜けていった。「他にやりたいことがあれば、医者なんかになってないよ」 「あのさ、俺バカだからよくわかんねぇんだけど、医者になるのって超頑張らないとなれないじゃん?」 「超頑張ったかどうか、覚えていないな」 実習漬けの毎日に、ただ日々を過ごしていた感じかも。「タケシ先生、どうして小児科医になったんだ?」 紙の上をなぞるような筆の音が止み、不思議に思って顔だけ振り向くと、歩が俺の耳元に唇を寄せていた。 興味津々のその眼差しに、応えられるだろうか?「子どもが一生懸命に病気と向き合うところに、心を打たれたから、かな。その手伝いがしたいと思ったんだ」 「そっかー。そのお陰で俺はタケシ先生と出逢うことが出来たんだよな。子どもたちに感謝しなくちゃ!」 歩らしい言葉に笑みが零れる。さっきまで落ち込んでいたのがウソみたいだ。「だけど俺が小児科医を専攻したことで、親父と見事ぶつかっちゃったんだけどね」 「あ、そういえば……お父さんは内科医だったっけ?」 「うん。併設してやろうって俺から提案出したんだけど、そんな中途半端はイヤだって、随分とごねられてさ。結果、この島に移住させてしまったんだ」 俺が親父を追い出した。だけどこれでよかったって思ってる、自分がいるのも確かなことで。一緒に病院経営なんてしたら、きっと診療方針やその他のことで、揉めるのが目に見えているから。 視線を伏せると、後ろから体をぎゅっと抱きしめてくる歩。「

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    (言った……言ってやったーー) 山に通じる道をワケもなくどんどん登って行くと、肩に手を置かれて止められる。「ちょっ、タケシ先生待てって。あれはないんじゃないのか!?」 「はじめに言ってあったでしょ。それを口頭と行動で示してやっただけだ」 「いくら何でも、あれはやり過ぎだよ。お父さん、ショックを受けていたじゃないか」 「あの人には、あれくらいが丁度いいんだよ。心配する必要ないね」 困り果てる顔をした歩をひと睨みし、颯爽と上を目指した。どこに続いてるのか、知らないけれど。「なぁ、タケシ先生」 「何だ? これ以上、お前からの苦情を聞きたくないよ」 「違うって。この道、ずぅっと登って行ってほしいんだ。ちょうど行こうとしていた場所に繋がっているから」 「歩?」 告げられた言葉にふと立ち止まると、俺の右手をぎゅっと握りしめる。「タケシ先生のお父さんとお母さんが、この島でどんな景色を見て過ごしているのか。俺なりに調べてみたんだよ。さぁ行こうぜ」 掴んだ手をぶらぶら揺らしながら、どこか楽しそうに引っ張ってくれる。まるで、慰められているみたい。「っ……歩、俺は――」 「大丈夫、わかってるって。今は黙ってついて来てよ」 それはそれは包み込むような柔らかい笑みで、俺を見ながら告げてきたのだが、そんなふうに言われたら素直に従うしかない。 苦笑して引っ張られるまま黙って後をついて行くと、繋がれている手がいつもと違うことに、そこで気がついた。左手親指に嵌められた見慣れないシルバーリングが、日の光を浴びて輝いている。時折きらりと光るそれに今まで気がつかなかった、俺っていったい……(それだけ自分のことで、いっぱいいっぱいだったってことか。恋人のちょっとした変化に気づけないなんて、本当にバカみたいだ) なんの気なしに繋がれている親指でそれに触れていると、歩がそれに気がついて振り向いた。「どうした、タケシ先生?」 「あ、うん。これ、似合ってるなって」 気づいてやれなくてゴメンって言いたいけど、自分に余裕がなさ過ぎてそこまで言えない。 どうにもバツが悪くて顔を伏せていた俺を、歩はわざわざ覗き込んでから、掬い上げるように、ちゅっとキスをしてくれた。「サンキュ、褒められるとやっぱ嬉しい!」 いつものようにデレデレという感じの、だらしない顔をする。実はそんな

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  • 恋わずらいの小児科医、ハレンチな駄犬に執着されています   告白のとき5

     ……ああ、もう――どうにでもしてくれ…… 快感に打ちひしがれる体を存分に持て余し、歩にされるがままだった俺。行為に汗ばんだ肌を何とかしたかったのだけれど、それすらも億劫というか、残されたこの気持ちよさを、もっと噛み締めていたいというか。 微妙な表情を浮かべ、うつ伏せのまま横たわる俺に、暑苦しいくらいにピッタリと寄り添う歩がいた。「ねぇねぇ気持ちよかった? タケシ先生ぃ」 「煩いな……放っておいてくれ、バカ犬」 「うぇっ、もしかして気持ちよくなかったとか!? じゃあもう一回♪」 ――冗談じゃない!「これ以上、余計なことをするんじゃない。俺を悶え殺す気か、お前はっ!」 慌てて起き上がり、ベッドの隅っこに移動。そんな俺の様子を楽しそうに肘を突いて、じっと見つめたままでいる。「そっか。身悶えちゃうほど良かったんだ。なぁんだ」 告げられた言葉に、頬がじわりと熱を持つ――だってしょうがないんだ。久しぶりだったんだし……「あ――」 そうだよ、久しぶりだったんだ――「タケシ先生?」 コイツが逢いに来ないことに若干腹を立てつつも、寂しくて堪らなくて。だけど実際に顔を突き合わせたら、島に行く具体的な話をしなきゃならないだろうなと、アレコレ考えさせられたせいで、不安がどんどん募っていった。 そんな寂しさと不安を抱えたままの俺は、行きつけのブランドショップで買い物をした。 そのことを思いだしたので、無言でベッドヘッドのライトを付け、ゆっくりと立ち上がり、クローゼットまで足を運ぶ。仕舞ってあった、まっ平らで正方形の小さな小箱を手に、歩の傍に戻った。 慌てて布団をかき集めて体を見えないようにしてから、手にしていた箱を強引に手渡す。「タケシ先生、突然どうしたんだよ?」 「別に……それ、お前にやる」 顔を逸らしながら告げた言葉に、歩は小首を傾げながら包装紙をバリバリ剥がして、急いで箱を開けた。「これって一緒に買い物に行ったとき、タケシ先生にすっげぇ似合いそうだなって、眺めていたヤツだ」 「俺は、歩に似合いそうだなと思ったけど」 箱の中身は、南京錠付きの本皮でできたチョーカー。色は黒っぽいんだけど、よく見たら深い青色をしている。そんな色身をしたチョーカーに、シルバーの南京錠がキラリと光って目についたんだ。「似合いそうだからって、俺にこれを?」 「

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    久しぶりに堪能できる、タケシ先生との甘いひととき。「んっ、ぅん……くっ…ンン!」 恥ずかしがり屋の恋人は、自分の姿が見えないように、きっちりとカーテンで外からの光をシャットアウトし、なおかつ自分の声を聞かれないように顔を横に向けて、手の甲を噛んでいた。(今更って感じなんだけどな、俺としては――) ちょっとだけ呆れながら強引に手首を掴み、口から離してやる。「おいっ、何をする!?」 「だって、タケシ先生の感じてる声が聞きたいしさ。赤面して乱れてる顔だって、じっくり見たいのに」 素早く反対の手首も掴んでやり、ベッドに磔にしてやった。こうすれば、もう逃げられないだろう。「離してくれ……」 切なげに瞳を揺らしながら懇願するその顔すら、すっげぇ愛おしく感じる。困り果てるタケシ先生の耳元に、そっと唇を寄せた。「イクまでこの手を離さない。だから覚悟してよ」 「やっ……息を吹きかけながら、そんなこと言うなって!」 俺としてはもう少しだけ甘い雰囲気にしたいのに、どうしてこの人は素直に言うことを聞いてくれないのか。 ――すっげぇ感じまくってるクセにさ。 拘束している両手首を片手で掴み、空いた手でタケシ先生の片脚を持ち上げ、自分の肩に乗せてやる。「あぁ、それ……ダメ、だって……ば、ひっ!」 逃げかける腰を追うように、奥深くにぐいっと突き刺してやった。「こんなに感じてるのに、どうしてイヤがるの?」 「くぅっ…激しくっ、する、な……ってば、っ…ぁあ!」 「タケシ先生の中、すっげぇ熱くなってるよ。もっと感じてって」 追い討ちをかけるように腰を打ちつけたら、容赦なく締め上げられ――「もしかして……自分で自分の首を絞めてる、かも」 感じまくるタケシ先生の上で、顔を引きつらせるしかなかった。 つづく

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