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5.段ボールに囲まれた二人と一匹③

Penulis: 鷹槻れん
last update Terakhir Diperbarui: 2025-09-11 05:07:20
最近のコンビニはすごい。下着も服も靴下も化粧品もメイク落としも……とにかくお泊まりに必要なものが一式、難なく取り揃えられてしまう。

私は最低限必要そうなものを梅本先生が持ってくださっているカゴへ入れていった。

お金は一応お財布の中へ入っているけれど、貯金を下ろさないと手持ちが心許こころもとないし、バーコード決済にしようかな? とぼんやり考える。

 梅本先生が「すぐ食えそうなもんも買って帰ったほうがいいな」っておっしゃって、私の好みを確認しながらおにぎりや飲み物なんかを追加していくのをぼーっと見遣った。今まで色々あって少し薄れていたけれど、頭が痛い。

(そういえば私、熱があるんだ……)

私一人分にしては多いけれど、梅本先生も食べるとなると少ない気もする……そんな中途半端な量の食べ物たちを見ながら、無意識にこめかみに手をやる。

(家にも食べるものがあるのかな?)

そんなふうに思いながら梅本先生のあとをトボトボと付いて歩いていたら、

「しんどいんじゃないのか?」

レジ待ちをしながら彼が言う。

「あ、ごめんなさい。少し……」

申し訳なく思いながらも、素直に答えた。学校しょくばを早退したことはすでに知られている。

「謝らなくていい。俺の方こそ連れ回してすまない。今さらだけど先に部屋入って身体、休めといて?」

シンプルな革製のキーケースに入ったキーを差し出された私は、「でも……」とつぶやく。

お支払いがまだなのだ。

「倒れられたらその方が大変なんだけど?」

でも怖い顔でそんなことを言われたら従うしかない。お金はあとでお支払いすればいい、よ、ね?

「すみません」

そう思って梅本先生の部屋のキーを預かると、私は一人コンビニをあとにした。

***

コンビニから戻ると、うなちゃんが尻尾を振りながら出迎えてくれた。

いつもならぴょんぴょん飛び跳ねてくるのに、それがない。

うなぎは賢い子だ。

私が体調悪いのを察してくれているんだろうな?

しゃがみ込んでうなちゃんの頭を撫でていたら、チャイムが鳴った。

梅本先生の家はオートロックというわけではないから、まだ鍵を閉めていない扉は開錠されたまま。でも、鍵を私に預けているから、開いていないこと前提でチャイムを鳴らしたんだろう。

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