Share

第10話

Auteur: アイスクリーム
寛人はまるで夢から覚めたような様子で、すぐにチケットを買って空港へ向かった。

途中、澪は電話をかけてきて、彼に尋ねた。「こんなに遅いのに京坂市に行くの?誰と一緒に行くつもり?伊東さんと?」

寛人は眉をひそめて、澪がなんで自分の行方にそんなに詳しいのかと詰問したかった。

しかしそれを尋ねようとした瞬間、彼は思い出した。澪は安心感もないし、友達もいないから、いつでも寛人の居場所が知りたいのだと言っていた。

だから寛人は自分のスマホに位置を定める追跡アプリをダウンロードしていた。澪のスマホにもそれと同じアプリがある。

その他にも、彼は口座の消費記録が澪に送られるように設定していたのだ。

それで後悔の気持ちが波のように押し寄せてきた。

寛人はスマホを握りしめ、冷たい口調で言った。「お前とは関係ないよ」

彼はそう言い、電話を切った。そして位置を定めるアプリをアンインストールして、澪の口座を凍結するように銀行に電話をかけた。最後は口座の消費記録も自分のスマホに届くようにしてしまった。

すべてを済ませて、彼は裏アカウントに切り替え、結月のもう一つのLineのアカウントを探した。

澪が初めて不幸せに感じた時、結月と寛人は今までになかった大きな喧嘩をした。結月もその時初めて寛人をブロックした。二人が仲直りした後、寛人は数十もの裏アカウントを作って、結月にブロックされても連絡できるように、それを裏道にしていたのだった。結月もそれに影響されて、裏アカウントを一つ作っていた。

そのアカウントは寛人以外、誰ともフレンド登録していない。

二人は約束したことがある。いつか、二人に本当に和解できないようなトラブルが起こったら、このアカウントを使って、お互いに最後に弁明や謝罪をするチャンスをあげようと。

結月は……自分を許してくれるだろうか?

寛人は確信できなかった。それでも長い文章を書いた。二人が一緒に育っててきた感情から、その後澪のことで結月を無視したことについての謝罪までだ。彼は結月と面と向かって話がしたいから、最後は結月の住所を尋ねた。

メッセージを送ってから随分と時間が経ったが、向こうからの返事はなかった。

何かに憑りつかれたように、寛人は結月のタイムラインを見始めた。彼は結月の日記のような記録を読み始めた。

【9月7日、寛人が起きたの。私すごくうれしい。
Continuez à lire ce livre gratuitement
Scanner le code pour télécharger l'application
Chapitre verrouillé

Latest chapter

  • 恩を返すために私を見捨てるのね   第18話

    容坂の友人から寛人のことを聞いて、結月は少し驚いていた。まさかすべてが澪の罠で、彼女も最後は自分自身をはめることになり、こんなことになったとは思いもしなかった。みんなが嘆いた。【あーあ、運命のいたずらって本当に怖いな。樋口さえいなかったら、幼馴染の結月と颯真が結婚して、どれほど幸せになっただろうね】【もう言わないでよ。私はこれが一番いい結果だと思うよ。結月は萩原社長と結婚してから、すごく幸せになったでしょう。結月を悩ませるようなこともないし、萩原社長も誰かに偏ることなく結月しか愛してないわよ】【今の結月の唯一の悩みが、萩原社長が甘えん坊過ぎることなんでしょうね。聞いて。この前私がちょうど出張で京坂市に行くことになったから、結月に会いに行ったんだけどね。結月と一時間も話せてないのに、萩原社長が甘えてきて、結月がいないとご飯も喉を通らないから、結月に早く家に帰ってきてキスしてほしいって言ってたのよ】それを言われて、話題はすぐに颯真へと移った。赤ちゃんにミルクを飲ませて、部屋に戻ったその張本人の颯真は結月がスマホを見てニヤニヤするのを見て、思わず聞いた。「何笑ってるの?またイケメンユーチューバーを見てるのか?」彼はそう言い、呟いた。「何がそんなにいいんだよ。俺のほうがスタイルがいいのに」結月は吹き出した。「見てないよ。友達とおしゃべりしてたの」颯真は一瞥して、気にしないふりをして聞いた。「誰と?何の話をしてたの?」颯真に隠すつもりはないし、彼のことをからかいたかった結月はすぐ答えた。「あの時任寛人のことよ。彼は樋口を牢獄に送ってから、すべての感情を殺して、仕事だけに集中してて、凄腕のワンマン社長になったんだって」よく知っているその名前を聞いて、颯真の目線は少し恨めしくなった。颯真は結月と結婚できたから、もう寛人のことでヤキモチを焼かないはず。しかし、もし彼がずっと結月を大事にしていたら、颯真は結月と結婚できなかったかもしれない。そう思うたびに、颯真はこっそりとヤキモチを焼いていたのだ。しかし、彼は結月に小っちゃい男と思われたくないから、おおらかなふりをして「ふーん」と答えた。結月は眉を上げて、心の中ではカウントダウンをし始めた。やっぱり、五秒後、颯真は寄ってきた。「結月は最近そういう社長が好きなのか?実は俺も

  • 恩を返すために私を見捨てるのね   第17話

    結月は寛人たちがどうなっているかなど、全く知る由もなかった。颯真は家族が知らないうちに、こっそり尚子の家に行って、結月の部屋のドアをノックした。緊張で眠れていない結月はベッドの上で横になっていた。ドアをノックする音がすると、尚子が自分に何かを言い聞かせようとしていると思った。しかし、ドアを開けたら、外に立っていたのは颯真だった。彼は結月をじっと見つめた。愛情が彼の目から溢れ出るくらいだ。彼の眼差しがあまりにも情熱を伝えてくるので、結月は手を伸ばして、彼の目を覆った。「何でここに来たの?あと数時間後には新婦を迎えにここに来るはずでしょう?ちゃんと休んでよね」颯真は結月の手を取り、優しくキスした。「あまりにも結月に会いたかったから、眠れないんだよ」京坂市に来たばかりの結月なら、きっと颯真のことがチャラくて、ろくな奴じゃないと思っていただろう。しかし今、結月が颯真と目を合わせれば、心はただ甘く溶かされてしまう。「うん、私もだわ」結月は簡単に感情を表すような人間ではない。彼女はそう言い、顔がすぐに赤くなった。颯真は心に秘めた愛情を抑えきれず、結月を抱きしめ、何度もキスをした。結月も彼のキスに応えた。空が傾き始めた頃、颯真はようやく名残惜しそうに萩原家に帰っていった。そして、新婦を迎える行列と一緒に、彼の妻を迎えに行った。一方、招待状をもらった寛人の両親も京坂市にやって来た。寛人を結婚式会場に連れて行って、彼に結月が他の人と結婚するところを見せたいから、調べた住所に寛人に会いに行った。こうすれば、寛人もふざけるのをやめて、おとなしく家業を継ぐだろう。しかしドアを開けた瞬間、横たわっている息子を見て、薫は悲鳴を上げた。そして、すぐ急いで寛人を病院まで運んで行った。病院に行く途中、寛人は目を覚ました。唇が青白くなった彼はぼうっとして、車の窓越しに萩原家の結婚式の生放送を流しているスクリーン画面を見た。颯真が結月を抱きしめ愛情を抑えきれず、何秒ごとに結月にキスするのも、二人が指輪を交換して誓い合い、抱き合ってキスする様子も、寛人は全部見えた。お金があろうとなかろうと、物事が順調に進もうが不運にみまわれようが、病める時でも健やかな時でも、二人は一生お互いの手を放さないのだ。それは寛人が何度も練習して、結婚式で

  • 恩を返すために私を見捨てるのね   第16話

    それからの日々、寛人は生きる屍のように過ごした。彼は容坂に帰らず、ただ薫からもらった京坂にある家に引きこもって、毎日結月の写真を抱えて、何度も結月に謝り、自分の愛を訴えていた。澪は行くところがないという理由をつけて、ずっと寛人に付きまとっていたが、彼はそれに構う気力もなかったのだ。澪は奥歯を砕くほど歯を食いしばったが、成す術がなかった。結月と颯真が式を挙げる前夜、寛人は結月に会いに行ったが、会うことはできなかった。そして彼は家に帰ってすぐ結月の写真を抱えて涙を流した。これが最後のチャンスだと思い、澪はすべてをここに賭けた。彼女は寛人の酒に薬を入れただけでなく、結月が普段着そうな服を着て、寛人を抱いて、彼を許してあげると言った。自分が夢にも見ていた姿が目の前に現れたのを見て、寛人の思いは抑えきれなくなった。彼は澪を力強く抱きしめ、囁き続けた。「ごめん結月。俺はもう二度と結月を悲しませないよ。俺が澪を追い払ってやる、見えない所まで追い払ってやるからな。今後一生結月に優しくするから、もう結月を悲しませたりしない。結月、すごく会いたかったよ」澪は俯いて寛人を見つめた。その目は憎しみで満たされている。しばらくすると、澪は手を伸ばし、寛人の頭を撫でた。そして、結月の声を真似て、彼女は口を開いた。「大丈夫だからね、寛人。許してあげるわ。寛人のこと、愛してるよ」彼女はそう言い、寛人の唇にキスをした。しかし、澪は心の中でこう考えていた。寛人、伊東結月は一生あなたを許さないし、あなたは一生私から逃げられないよ、と。しかし、二人の唇が重なってすぐ、寛人はパッと澪を押しのけた。その両目を怒りで赤くさせた寛人は手を伸ばして、澪の首を絞めて言った。「俺が一生結月に恨まれるように、彼女に成りすまして誤魔化そうとするなんてな。お前は……お前は死んじまえよ!」局面がこんなに早く逆転するのに驚いた澪は寛人を見つめた。彼女は寛人がここぞという時に限って結月ではなく澪であると判別できる理由がわからなかった。澪の目には涙がたまった。彼女はもがきながらヒステリックに叫んだ。「全部あんたのせいだよ!あの女は寛人を捨てて、他の人と結婚するわよ!寛人が私に肩入れするもんだから、私は寛人に好かれたと思っちゃったの!彼女がもう寛人を捨てたんだから、私は自分のた

  • 恩を返すために私を見捨てるのね   第15話

    澪が寛人を見つけたとき、寛人は買ってきたものを萩原家の入り口にこっそり置いていた。全部置いて離れようとした寛人に、結月は中から出てきて、そこにあるものを全部持って帰って返品するように、彼を呼び止めた。寛人は無理して笑顔を見せながら言った。「大丈夫だよ結月、心配しないで。父さんが俺の口座を凍結したけど、俺にはまだ貯金があるから、心配しないで」結月は眉をひそめて、何かを言おうとした。しかしその時、澪が陰から駆けつけて来て、結月を指差して大きな声で罵り始めた。「やっぱりそうだよね。寛人のことが好きじゃなくなったのも、寛人のことをあきらめたのも、全部噓だったんだよね?わざと寛人の世界から姿を消したのも、また寛人から注意を引くためだったんでしょ?」結月は眉をひそめて、無表情で彼女を見た。しばらく会わなかった間に、澪は大分やつれていて、性格も悪くなっていた。何かがあればすぐに泣いて寛人に愛嬌を振りまき、寛人が甘やかしてくれるのを待って、自分の目的を達成させる澪とは違う人間になっていた。寛人は緊張して、結月の顔色を伺った。彼は恥ずかしく思った。寛人は低い声で彼女を叱った。「何でここに来た?俺を尾行したのか?早く帰れ!」寛人にこんなふうにされるのは初めてで、澪の目はすぐに涙で潤んだ。「寛人、一生私のことを守ってくれると言ったでしょう。なのにこの女がいなくなってから、寛人も彼女を追って京坂に来たわ。私一人で容坂にいるの、すごく寂しいよ。すごく怖いよ。寛人、本当に私を見捨てるの?」騒ぎになってるのが聞こえて、萩原家の年配者らも様子を見に外に出てきた。結月は一歩退いた。彼女はまるで前科をみんなに知られてしまったような気まずさを覚えた。颯真はそれを悟って、自ら結月の手を握り、慰めるように彼女に微笑んだ。そして萩原家の家族らと一緒に、目の前で起きている茶番劇をまじめに観賞し始めた。寛人からの返事をもらえず、澪はより大きな声で泣き始めた。結月が男の人と手を繋いでるのを見て、この人物が噂の政略結婚の相手だろうと、澪は思った。寛人と同じくらい優秀で、いや、実は寛人よりも優秀に見える颯真を見て、澪は悔しがった。彼女は振り返って、結月の前で跪いて、泣きわめいた。「伊東さん、お願いだから寛人を私に返してください。寛人がいないと私本当に死んで

  • 恩を返すために私を見捨てるのね   第14話

    寛人は諦めず、逆に狂ったように、あらゆる隙から結月の生活にじわじわと入り込み始めた。結月が颯真と一緒にウェディングドレスを試着すれば、寛人も同じサイズでオーダーメイドをして、颯真が買ったものよりも高くて、派手なものにするように言いつけた。颯真も負けてはいられなかった。ウェディングドレスの値段がどんどん高くなっていくのを見て、結月はそれを急いで止めた。しかし、結月は寛人を止めたわけではなく、逆に颯真を脅すようにこう言っていた。「これ以上あの人のつまらない遊びに付き合ったら、これからは書斎で寝てよね、私の部屋に入って来ないで!」その脅しはすぐに効果を発揮した。颯真はすぐに争うのをやめた。彼は笑いながら寛人に謝った。「悪い、うちの嫁が節約しろと言ってね。君と争うのはもうやめるよ」彼はそう言い、すぐに振り返って、怒ったふりをする結月の機嫌を取り始めた。その光景を見た寛人は骨が鳴るほど拳を握り締めた。しかしそれでも次の店に行った二人について行った。結月に厳しく言われた颯真はずっと我慢して、寛人を相手にしなかった。しかし、アクセサリーを見るときに、颯真は恐る恐る結月を見て彼女に言った。「結月、俺はこのセットを君に買いたいんだ。もし彼が俺と奪いあうようなら、俺は……」言い淀んだが、結月は彼の伝えたいことがすぐにわかった。だから結月は眉を上げて彼を見た。拒絶しているのがはっきり伝わってくる。それでも悔しいと思い、颯真は一本の指を出して、結月の掌をさすった。結月はこんな颯真に弱いのだ。「ちょっとだけならいいよ、あまりひどくはしないでね」颯真はそれに相当喜んで、結月のほっぺにキスし、すぐ寛人と値段を競い合い始めた。時任家がいくら金持ちでも、萩原家とは比べ物にならない。だから何ターンもせずに、寛人の顔色はもう悪くなってきた。彼は颯真に勝てなくなってきたのだ。颯真が値段を言うたびに、寛人を驚かせていた。でも寛人は颯真に負けるのはどうしても認めたくなかった。あるいは、寛人はジュエリーを結月だと見立てて、どうしても勝って手に入れようと決意していたのだ。それで寛人は無理やり競い合った。結月はそれを見ていられなくなった。寛人の両親が何年も頑張って稼いだお金が、このまま寛人に無駄遣いされるのを目にしたくなかったのだ。

  • 恩を返すために私を見捨てるのね   第13話

    結月は寛人に見つめられながら、颯真に何かを言って、試着室に入り着替えを始めた。颯真は外に出て、寛人を上から下までじろじろと見て言った。「お前が結月の元婚約者なのか?」颯真はわざと「元」という単語を強調して言った。すると、寛人の顔はすぐに暗くなった。「お前が何で結月と呼ぶんだ?」小さい時から、すごく親しい人しか呼び捨てで結月を呼ぶことができなかったのだ。しかし、目の前に立っているこいつは結月にとって、ただの好きでもないのに結婚しなければならない政略結婚の相手。こいつに結月と呼ぶ資格があるのか?颯真は寛人の反応がすごく気に入ったらしく、寛人の質問を聞いて、眉を上げて返事した。「俺が何で結月と呼んじゃいけないんだ。結月は俺の婚約者で、俺らはもうすぐ結婚する。それに、結月もこんなふうに呼ばないでと言ったことがないし」パンッ――寛人は我慢できず、拳で颯真の顔に殴りかかった。その瞬間颯真の顔から笑みが消えた。彼はネクタイをゆるませて殴り返そうとしたが、振り返ると結月が着替え終えて試着室から出てきたのが見えた。それで颯真は動きを止めた。寛人は何も知らず、颯真が抵抗しないのを見て、心の中で臆病者と罵り、また一発殴りかかった。「寛人!」この時、結月が店から出てきて、寛人に向かって叫んだ。寛人はすぐ襟を正して、優しく微笑んだ。結月はまだ彼のことを構ってくれている。まだあんな奴に負けていないのだ。そう考えて、寛人は両手を広げ、結月が前みたいに彼の懐に飛んでくるのを待っていた。そうすれば、寛人は結月に謝って、この男の前でプロポーズしてやるのだ。しかし次の瞬間、結月の行動は彼の幻想を容赦なく打ち砕いた。結月は寛人に目もくれず、ゆっくり颯真を支え立たせて、心配そうな顔で傷はひどくないか、痛くはないかと焦って尋ねた。それを否定する返事を聞いて、結月はやっと寛人に向かい冷たく聞いた。「あんた正気なの?」その言葉で寛人の心が締め付けられた。結月はこのような冷たい眼差しで彼のことを見たことがなかったのだ。彼は口を開いた。まだ何も言えず、目が先に潤んだ。「結月、やっと君を見つけたよ。俺はすっごく結月に……」寛人は愛情をこめて結月に気持ちを伝えているが、結月はただ颯真の傷を見ていた。殴られて傷つけられた颯真の口元を見て、結月は敵を

Plus de chapitres
Découvrez et lisez de bons romans gratuitement
Accédez gratuitement à un grand nombre de bons romans sur GoodNovel. Téléchargez les livres que vous aimez et lisez où et quand vous voulez.
Lisez des livres gratuitement sur l'APP
Scanner le code pour lire sur l'application
DMCA.com Protection Status