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第4話

Auteur: 夢路
私は面白がるように二人を見つめながら、軽く言葉を足した。

「ごめんね、別に他意はないのよ。そんなに敏感にならないで」

「それに、アクセサリーってセットじゃないと綺麗に見えないでしょ。このブレスレットはルビーの端材で作ったものみたいだから、あなたに返すわ」

由美は唇を噛みしめながら、小さな声で言った。

「結衣お姉さん、安心して。陽介お兄さんは私にくれるつもりだったかもしれないけど、これがあなたたちの結婚祝いだって知ってたら、私、絶対もらわないよ。画展が終わったら返すから、それでいいでしょ?」

陽介の友人たちは、それを聞いてすかさず助け舟を出した。

「結衣、いい加減にしろよ。見ろよ、由美がどれだけ怯えてるか。一つのネックレスごときで、そこまで大事にするか?せっかく由美が帰国したのに、こんな雰囲気にして全員が不機嫌になれば満足するわけ?」

「ほんとだよ、小林さん。君の家もそれなりに名のある家系だろうに、まるで破産寸前みたいだな。一つのネックレスで他人と争うなんてさ」

陽介の取り巻きたちは昔から私のことが気に食わなかった。彼らにとって、由美こそが陽介に相応しい「女神」だった。

私がどんなに努力しても、彼らは一度も私を認めたことがなかった。私が陽介にふさわしくないと、いつも影で嘲笑っていた。

由美は焦った様子で私に向き直り、仲裁するように言った。

「みんな、そんなこと言わないで。結衣お姉さんはこれが陽介お兄さんからのプレゼントだなんて知らなかったのよ。ちゃんと説明すれば、きっと分かってくれるはずだから」

その一方で、陽介は冷ややかな目で私を見ながら吐き捨てた。

「お前、来ないほうがよかったよ。来た途端に雰囲気を壊してばかりだ」

私は立ち上がり、あっさりと言った。

「じゃあ、帰るわ」

ドアの近くまで歩いたとき、ふと考えが浮かび、振り返った。

「そうだ。そういえば、あなたたちの家の客室は少し狭いみたいね。由美が泊まるには窮屈かもしれない。いっそのこと、主寝室を彼女に譲ったらどう?」

陽介は眉をひそめ、不機嫌そうに返した。

「何を言ってるんだよ。俺の家もお前の家も関係ないだろ。そこは俺たちの家だろ?まだそんな幼稚なことを言ってるのか?田中家の嫁になる身なら、少しは大人になれよ」

「お前、結婚した後も俺の両親にそんな態度を取るつもりか?」

私は眉を上げ、薄笑いを浮かべながら言った。

「田中家に嫁ぐ?結婚式はキャンセルしたし、結婚の話はまた今度にしましょう」

陽介は顔色を変え、焦ったように私の腕を掴んで怒鳴った。

「お前、何を言ってるんだ!?結婚式をキャンセルだと?俺は延期すると言っただけだ!それを勝手にキャンセルだなんて、どういうことだ?」

そのとき、優斗から電話がかかってきた。私は陽介の前で電話を取り、通話を始めた。

「結衣、デザイナーが聞いてきた。首飾りの宝石、何にする?」

私は彼のエメラルドがはめ込まれた杖を思い出し、答えた。

「エメラルドにしよう」

その言葉を聞いた陽介は鼻で笑いながら嘲るように言った。

「エメラルドだって?ルビーを失ったからって、自分でグリーンの宝石を注文するのか?そんなに他人より見劣りするのが怖いのか?」

由美は一瞬驚いた表情を見せ、涙ぐみながら声を震わせた。

「陽介お兄さん……あなた……結婚するの?」

しかし、陽介は彼女に答える余裕もなく、再び私に怒りを向けた。

「結衣、はっきりさせておくが、俺は結婚式を挙げると約束しただけで、まだ正式に婚姻届を出したわけじゃない!つまり、俺たちはまだ法律的には夫婦でもなんでもないんだ」

「それを分かった上で、何勝手にアクセサリーだのウェディングドレスだの式場だのを準備してるんだ?まさか俺を結婚に追い込むつもりか?そんなに必死なのかよ。お前の家、そんなに金に困ってるのか?」

陽介はますます取り乱し、言葉がヒートアップしていく。私は呆れて彼の顔を見る気にもなれず、腕を振り払おうとしたが、どうしても力で敵わない。

「いい加減にして、誰もあなたに結婚を迫ってないわ。私は私が欲しいものを買ってるだけ。それがどうしてあなたに関係あるの?」

陽介は冷たい笑いを浮かべた。

「まだ言い訳するのか?俺以外の誰と結婚するつもりだよ。電話までかかってきてるってのに、まだとぼけるつもりか?」

「お前の家の立場を考えて、俺も一応の体面は保ってやろうと思ったけど、これ以上恥をさらすような真似をするなら、容赦しないからな!」

そのとき、個室のドアが力強く開けられた。冷ややかで落ち着いた声が室内に響く。

「その手を離せ」

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