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第53話

Author: るるね
last update publish date: 2026-04-23 23:59:36

 慎一の言葉が発せられた瞬間、会場のあちこちから息を呑む音が上がった。

 信じられない、という空気が一斉に広がる。

 そもそも、今回の謝罪会自体があまりにも突然で、不可解なものだった。

 紗月が案件の説明を始めてからは、多くの人間がそれを単なるプロジェクト説明だと思い始め、いつの間にか彼女の話に引き込まれていた。

 なのに、慎一が求めたのは、「跪け」という命令だった。

 それも、これだけ大勢の前で。

 慎一を知らない社員も多い。

 社長の隣に座り、あれほど傲然と振る舞っている以上、相当な地位にいる人物だということだけは誰の目にも明らかだった。

 それでもなお、彼へ向けられる視線の中には、驚きと戸惑い、そして抑えきれない不快感が混じっている。

 その中で、たった一人だけが違っていた。

 慎一の隣に座る由衣は、心の底からこの状況を楽しんでいた。

 笑い出しそうになる衝動を必死に押し殺しているが、マスクの下では口元が大きく歪んでいる。

 ここ数日、慎一からの連絡が途絶え、電話もまともに繋がらない。捨てられるのではないかという恐怖と焦りに、彼女はずっと囚われていた。

 昨夜、酒の勢いに任せて
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