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第57話

مؤلف: るるね
last update تاريخ النشر: 2026-04-26 23:59:46
 あの夜の出来事以来、紗月はしばらく慎一の顔を見たくなかった。

 車に乗れば、どうせまた皮肉を浴びせられる。そこに由衣までいれば、まともな時間になるはずがない。

 それでも、久我の穏やかな表情を前にすると断りきれず、小さく息を吐いてから彼の後を追った。

 後部座席のドアを開けられ、車内に身を滑り込ませる。

 案の定、慎一がそこにいた。ただし隣は空いており、由衣は助手席に座っている。

 無言のまま座り直すと、久我が静かにドアを閉めた。

 発車前、前方から由衣がわざとらしく鼻を鳴らす音が落ちてきた。スマートフォンを見ていた慎一が一度だけ顔を上げて彼女を見やるが、咎める様子もなく、言葉も交わさない。

 車内は息が詰まるほど静まり返り、紗月は落ち着かないまま、そっと体をドア側へ寄せて窓の外へ目を向けた。

 視界の端に、見慣れた建物が映る。ヴァレンティス・プロダクションへ向かう道。

 ……先に由衣を送るつもりなのだろう。

 沈黙に耐えかねたのか、先に口を開いたのは由衣だった。

 振り返った顔には甘やかな笑みが浮かび、声も柔らかく、どこか媚びる響きを帯びている。

「社長~、今夜は一緒にいられませ
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