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※そんなつもりはなかったのに!ローランドとの甘い一夜が?

Author: Kaya
last update Last Updated: 2025-07-19 19:20:00

 ◇

 薄暗い寝室。

 ローランドのイメージカラーにピッタリな、青白い照明がぼんやりと室内を灯す。

 時間の感覚がない。深夜は回っていたはず。

 「ん、っ、いやっ、……あっ」

 あれからウィンドウの確認はしてないけど、暴走モードという謎設定に突入したんじゃないかと思うほど、ローランドは、執拗に私の体のあらゆる部分にキスをしまくる。

 一体この小説は何と戦ってるんだ。

 そして私は何と格闘してんの?

 「……っ、アデリナ。どうだ?

 気持ちいいか………?」

 「っ、そんなの知らなっ……ンンッ」

 荒々しく人の夜着を剥ぎ取り、懸命に隠そうとした胸を散々眺めて、触ったり、味わったりしながらローランドは更に私のお腹の奥へと舌を這わせていく。アデリナの体はもうすっかり、私の体として馴染んでいた。

 ああ、そう。

 あの淡白なローランドがリジーに出会い、彼女を抱く時は毎回ひつこい執着攻めをするのが堪らなかったんだよね。

 それ…アデリナに…私に適用してる!!?

 ノー!R18!NO!18禁!

 私はこれからこの男と離婚して、実家で悠々自適生活を手に入れる予定なのに(?)!

 「アデリナ……私達そろそろ、本気で子供を作らないか?」

 両腕を突っ張り、ローランドは私をベッドに押し付け、縋るように細い声を発した。

 熱を含んだような瞳で私を見つめ、逞しくて骨張った手で、優しく頬を撫でた。

 決してこの手から逃げる事は許さない。

 行動がそう物語っている。

 あ…………そんな顔しないで。

 イケメンにそんな事言われたら……!

 ……それに子作りって事はつまり。

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     ふうん。何だ。じゃあやっぱり今だけ? なら別に愛されてるわけじゃないのね?  だったらいずれはローランド王も、あのランドルフとかいう補佐官も私の魅力に落ちるはずよ。 それから体調不良を理由に診察に行かず、アデリナ王妃にいじめられているという噂だけを流し続けた。 だけど何人かの城仕えのメイドや官僚達は、なぜかあの王妃の味方で、噂を信じてないようだった。 「アデリナ様が……?」 「そんなはずないわ。あんなにお優しい人だもの。その噂こそおかしいわよね。」 「あんなに素晴らしい大義を達成された方だぞ。絶対ありえない。」 ……何なの?こいつら。  私の力が全く効かないわ。何であの王妃に味方がいるわけ?  ちっとも面白くないわ………!! それにあれからローランド王に何度か接触したけれど、当の本人は私を見ても知らんぷり。 「陛下……あの、今夜一緒に」 「何だ?私には愛する妻がいるのに、王である私を誘うつもりか?  残念だが、お前の相手をする気は微塵もないぞ。リジー。」 まるで氷みたいに冷たい瞳で、ローランド王は私をギロっと睨んでくる。  あのランドルフもやっぱり同じだった。 「なん……で?あの性悪の王妃が愛されてるなんて、おかしいでしょう?  あの女、よくも……私のローランド王を!」 気に食わないことはまだある。  それはアデリナ王妃がローランド王との子を妊娠していることだ。  それもまた面白くない!まさか、そのせい? 本当にムカつく女だわ………!!   そんな時にタイミングよく、あの女の方からお声がかかったの。私ってばやっぱり世界に愛されてるわね。 そして迎えたお茶会。 アデリナ王妃はなぜか懸命に私に笑いかけ、友達に接するみたいに優しくする。 イライラするわ。悪役として振る舞えばいいのに、何で良い人ぶるわけ……? あんたがいい人だと私が困るのよ!! もっと悪役らしく、

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