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走馬灯?私、上坂葵は死んだの?

Author: Kaya
last update Huling Na-update: 2025-07-13 19:20:00
 ………え?私、死んだ?

 小説の中の世界でも死んで、現実でも死?

 そしたら私どうなるの?

 今度こそ本当の死……?

 なんかローランドにキスされて、めっちゃ焦ったんだよね!

 だって私一応、現実世界では主婦で人妻だった訳だし、ローランドとあのまま流されてヤる訳にはいかなかったから。

 だってそれこそ不倫じゃない!?

 自分が非難している事をするのは、さすがに違うというか。

 ……でも、ローランド。何か必死だった。

 って………所でここって?

 ピッ、ピッと定期的に心音を告げる音が聞こえてくる。

 頭の上には波状を描くモニターが。

 ……これって。病院……?

 ってあそこに寝てるの、私じゃ!?

 しかも……何か酸素マスクしてるし、脇には物々しい医療器具やら点滴がいっぱい。

 あれ?なんか重体……っぽくない?

 「……葵。」

 ベッドに横たわったままピクリとも動かない自分の体を、部屋の天井付近から見下ろしている。すぐに自分が霊体だと分かった!

 だって浮いてるし、半透明だし!

 そんな私の体の横にいるスーツ姿の男。

 ……あの!クズ野郎じゃない!!

 現実世界の上坂葵の夫で不倫男の。

 上坂翔《かみさか かける》。

 「……やば。奥さんまだ死なないんだ?」

 その不倫男の側に立ち、私の顔をじっくりと眺めて不謹慎な言葉を吐くのは、翔の不倫相手の星乃麗《ほしの うらら》。

 人の家庭をめちゃくちゃにした略奪女である。

 なんか次第に記憶が戻ってきた。

 これ……走馬灯というやつなのかな?

 ◇

 私の名前は上坂葵。

 アラサーの普通の専業主婦だった。

 元々は大企業で働いていたが、飲み会をきっかけに仲良くなった、一つ歳上の翔にプロポーズされ、結婚を機に退職。

 「家庭に入って欲しい。家の事さえしてくれたらいいよ。」

 今時専業主婦でいいと言われて、当時はバカみたいに喜んだものだ。

 夢のマイホームを手に入れ、趣味のガーデニングで庭を花で鮮やかに飾った。

 イケメン揃いのアイドルグループと、たまに読む小説にハマっていた。

 あの頃の私は、まだ穏やかな性格をしていたと思う。

 だが結婚して一年も過ぎると翔の帰宅が遅くなり、私への態度も冷たくなっていった。

 次第に翔への疑惑が
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