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第3話

Author: ご飯ちょうだい
私は何も言わず、冷たい表情で悠斗を見つめている。

説明を求めるかのように。

私にじっと見られた悠斗は居心地が悪そうに眉をひそめながらも、絵里のために椅子を引いてやり、私に向かって言った。

「絵里を迎えに行ってたから、少し遅くなった。

悪かった」

私は「うん」とだけ返し、特に感情を見せることなく、メニューへ目を落とした。

そんな私を見て、悠斗は意外そうな顔をした。

きっと私が怒って騒ぐと思っていたのだろう。でも私は、あっさりその話を流した。

私は店員を呼んだ。

「Aコースをお願いします。ワインは白湯に替えてください」

すると向かいの絵里が身を乗り出し、メニューを指差しながら甘えるように言った。

「このカップルコース、すごくおいしそう!でも……桜井さんは魚介類が食べられないから頼めないよね?私も悠斗もシーフード大好きなの。これ、私たち2人で食べようか?

桜井さん、いいよね?」

悠斗は眉をぎゅっと寄せた。

前回、披露宴のメニューで魚介類のことで大喧嘩したばかりだ。今度はカップルコースか。

絵里とどれだけ仲が良くても、それがふさわしくないことくらいは分かるだろう。

「絵里、カップルコースはやめ……」

「いいよ」

私は彼の言葉を遮った。視線すら上げなかった。

悠斗はますます不思議そうな目で私を見た。結局、絵里にそのカップルコースは頼ませなかった。

それでも、私がどう反応するのか気になったのか、何度も横目で様子をうかがっている。

でも残念ながら、私は何の反応も示さなかった。

無理に平静を装っていたわけじゃない。

本当に、もうどうでもいい。

食事の間中、悠斗は何度も私に話しかけようとしては、そのたびに絵里のおしゃべりにかき消されていった。

私は静かに皿の料理を口に運びながら、2人が映画や仕事、最近あった面白い出来事について楽しそうに話すのを聞いている。その和やかな空気は、まるで七年前の私と彼を見ているようだ。

店を出る間際になって、悠斗はようやく思い出したように私へ尋ねた。

「楓、大事な話って、一体何なんだ?」

私は口元を拭き、バッグを手に取った。

「私たち2人のことなんだから、2人きりで話すべきでしょ。

もう行って。もう昼休みも終わる頃だし」

自分に非があることは分かっていたのだろう。悠斗は気まずそうにそれ以上何も言わず、困ったように私を見た。

「あのさ……絵里の会社、ここから遠いんだ。この辺はタクシーもつかまりにくいし、先に送っていかないといけないから、その……」

私は彼の言いたいことを察し、自分からスマホの、タクシーの予約済みの画面を見せた。

「つかまりにくいことないでしょ。すぐ来るみたい。

送りたいなら送ってあげて」

悠斗は申し訳なさそうに私のそばへ歩み寄り、手をつないで甘い言葉でもかけようとした。

私は気づかれないように、そっと身を引いた。

「タクシー、来た」

そう言って私は店の外へ向かった。

悠斗は2、3歩追いかけてきて、力強く言った。

「楓、安心しろ。今日は絶対早く仕事を切り上げて帰るから」

私はうなずいた。それが、悠斗を信じる最後の1回だった。

家へ戻ると、片づけるべきものはほとんど片づけ終えた。スーツケースは玄関にきちんと並べて置いてある。

ひと目で分かる場所だ。あとは引いて出て行くだけだ。

午後5時になると、突然、玄関のドアが開いた。

帰ってきたのは悠斗だった。

私は少し驚いた。

彼は普段、5時半まで仕事をしている。この時間に帰ってくるなんて、早退だ。

こんなに早く帰ってきて私に付き添うつもりなのか。

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