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第127話

Author: みそ煮
last update publish date: 2026-09-18 14:47:46

顔を手で覆い、嗚咽を上げる淳子に、碧斗と父親は困惑していた。この光景だけを見れば、由利と紫苑が加害者であるように見えるだろう。

「……お前たち、何をしていたんだ?」

「……父さん」

父の疑念の目が、由利と紫苑の二人に向けられた。由利は慌てて否定しようと、口を開いた。

「父さん、私は……」

「なぜ、淳子が泣いているんだ?」

しかし、母の涙を前にもはや父は理性を保つことができないようだった。彼女が由利と紫苑に泣かされたのではないかと、父は疑っていた。

紫苑のことを溺愛している父だが、彼女にも険しい目を向けた。父は冷たいように見えるが、実はこの世の誰よりも妻の淳子を愛していた。

今にも二人に詰め寄りそうな父を、碧斗が慌てて止めた。

「――お義父さん、娘の話くらいきちんと聞くものですよ」

「碧斗君、君は黙っていなさい」

父は碧斗を振り払おうとするが、彼も退かなかった。

「いいえ、黙ってはいられません。家族のことに口を出すなと言うおつもりなら、私も家族ですから。口出しする権利はあるはずです」

「……」

碧斗の正論を前に、父は黙り込んだ。彼がゆっくりと肩を撫でると、ようやく落ち着きを取り戻したよ
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    顔を手で覆い、嗚咽を上げる淳子に、碧斗と父親は困惑していた。この光景だけを見れば、由利と紫苑が加害者であるように見えるだろう。「……お前たち、何をしていたんだ?」「……父さん」父の疑念の目が、由利と紫苑の二人に向けられた。由利は慌てて否定しようと、口を開いた。「父さん、私は……」「なぜ、淳子が泣いているんだ?」しかし、母の涙を前にもはや父は理性を保つことができないようだった。彼女が由利と紫苑に泣かされたのではないかと、父は疑っていた。紫苑のことを溺愛している父だが、彼女にも険しい目を向けた。父は冷たいように見えるが、実はこの世の誰よりも妻の淳子を愛していた。今にも二人に詰め寄りそうな父を、碧斗が慌てて止めた。「――お義父さん、娘の話くらいきちんと聞くものですよ」「碧斗君、君は黙っていなさい」父は碧斗を振り払おうとするが、彼も退かなかった。「いいえ、黙ってはいられません。家族のことに口を出すなと言うおつもりなら、私も家族ですから。口出しする権利はあるはずです」「……」碧斗の正論を前に、父は黙り込んだ。彼がゆっくりと肩を撫でると、ようやく落ち着きを取り戻したようだった。碧斗は由利を守るように父の前に立ちはだかった。彼は父と違って、由利が悪さをしたわけではないことを、心の中で確信していた。「由利、何があったか説明できるか?」「……はい」振り向いた碧斗の視線を受けた由利は、ゆっくりと口を開いた。「実は、母さんの部屋から私が薄井夫人に頂いた指輪が出てきたんです。今日の朝突然なくなって、ずっと探していたものだったんですけど……」由利はチラリ、と母の淳子に視線を向けた。話を聞いているのかいないのか、ずっと顔を手で覆って泣いているままだ。淳子は昔から、自分に都合の悪いことがあるとすぐに被害者ぶる人間だった。今回もそうやって泣き崩れることで、父の同情を誘おうとしているのかもしれない。何ともずるいやり方だ。「指輪が……?由利が貰ったはずのものを、なぜ義母さんが持っていたんです?」碧斗は床にへたり込む淳子を問い詰めた。父はともかく、碧斗は淳子の手口にやられたりはしない。「……私は盗んでなんていないわ。その子が嘘をついているのよ」「母さん、いい加減に認めなさい。私も指輪が部屋の引き出しから出てきたのを見たわ」「紫苑……」溺愛していた

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  • 愛人の死に耐えられなかった夫、お前が死ねばよかったのにと言い残し自死ー妻は回帰したー   第2話

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