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第371話

Author: 結奈々
「そんなに嬉しいなら、ご褒美くらいくれてもいいんじゃない?」遥真は柚香の手を引き寄せ、やわらかな声を少しだけ弾ませた。

柚香は横目で彼を見る。

遥真が、自分の本当の気持ちに気づいていないはずがない。

こんな状況でそんなことを言うなんて、わざと気分を悪くさせてるの?

「ご褒美なら、ちゃんと会社に戻って働いて稼いでくることね」彼女は一言だけ投げた。「稼ぎ終わるまで、私の前に来ないで」

遥真は怒らなかった。

そんな彼女の態度が、かえって本物に思えた。

その後の道中、二人はほとんど口をきかなかった。一人はずっと窓の外を見つめ、もう一人はその「窓の外を見ている人」を見ていた。

病院に着くと、遥真は完璧に振る舞った。礼儀正しく落ち着いた様子で安江と話し、容体を尋ね、体調を気遣う。終始、控えめで気の利く婿そのものだった。

けれど安江は甘くない。

いろんな修羅場をくぐってきた人間として、遥真のようなタイプは、昭彦よりもずっと厄介だと分かっている。

ひと通りの気遣いが終わったところで、彼女は口を開く。「あなた、他の女性とただならぬ関係だって聞いたけど?」

遥真は落ち着いた顔のまま
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