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106.卒業。

last update publish date: 2026-05-18 12:56:25

少しひんやりとした体育館に、厳かな空気が流れる。

在校生、教師、保護者、そして卒業生が見守る中、舞台上では、前生徒会長、田中が卒業生を代表して、挨拶をしていた。

「在学中、勉学だけではなく、学校行事を通して、さまざまなことを私たちは学び、体験してきました。そこにはいつも友人がおり、時にぶつかり合い、時に励まし合い…」

田中の凛とした声がマイクを通して、この体育館内に響き渡る。

もう感極まって泣いている者、眠気に襲われて頭をゆらゆらと揺らしている者、真剣な顔で前を見据えている者。

卒業生たちはさまざまな様子で、卒業式に臨んでいた。

私もその中でただただ田中を見つめていた。

三月、上旬。

私は今日、ここ鷹野高校を卒業する。

ーーーーーー

長く感じた卒業式を終え、クラスでの最後のホームルームも終えると、生徒たちは皆、校庭へと集まっていた。

ここで皆、いろいろな人と最後の時間を過ごすのだ。

私はそこでハンカチを片手に雪乃といた。

「…ゔっ、ゔぅ」

「まぁだ泣いてんの、柚子」

ボロボロと涙を流す私を、雪乃がおかしそうに見つめる。

だが、その瞳はどこか暖かく、雪乃の優しさを感じた。

それが余計、
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  • 推しに告白(嘘)されまして。   106.卒業。

    少しひんやりとした体育館に、厳かな空気が流れる。在校生、教師、保護者、そして卒業生が見守る中、舞台上では、前生徒会長、田中が卒業生を代表して、挨拶をしていた。「在学中、勉学だけではなく、学校行事を通して、さまざまなことを私たちは学び、体験してきました。そこにはいつも友人がおり、時にぶつかり合い、時に励まし合い…」田中の凛とした声がマイクを通して、この体育館内に響き渡る。もう感極まって泣いている者、眠気に襲われて頭をゆらゆらと揺らしている者、真剣な顔で前を見据えている者。卒業生たちはさまざまな様子で、卒業式に臨んでいた。私もその中でただただ田中を見つめていた。三月、上旬。私は今日、ここ鷹野高校を卒業する。ーーーーーー長く感じた卒業式を終え、クラスでの最後のホームルームも終えると、生徒たちは皆、校庭へと集まっていた。ここで皆、いろいろな人と最後の時間を過ごすのだ。私はそこでハンカチを片手に雪乃といた。「…ゔっ、ゔぅ」「まぁだ泣いてんの、柚子」ボロボロと涙を流す私を、雪乃がおかしそうに見つめる。だが、その瞳はどこか暖かく、雪乃の優しさを感じた。それが余計、私を泣かせた。「だ、だって、中学とは違うじゃん…。もう一緒の学校じゃないし…」「あははは、そうね」涙を止められない私を、雪乃はどこか嬉しそうに笑い、ぎゅうと抱きしめてくれる。暖かい雪乃の体温を感じながらも、私はゆっくりとまぶたを閉じた。雪乃と私は中学からの親友だ。しかし、当然だが、進学先は違った。2人とも地元から離れた違う大学へ行く。大学同士の距離は近いので、会おうと思えば会えるが、逆に言えば会おうと思わなければ会えないのだ。それは私の推しである悠里くんも同じだった。「ねぇ、柚子」ふと、私の背中をさすっていた雪乃が口を開く。「結局、アンタってどっちを選んだの?」それから興味深そうにそう聞いてきた。その瞬間、私の涙は止まった。雪乃の〝どちらを選んだのか〟という質問の意味。それは千晴なのか、悠里くんなのか、ということだ。約一年前、悠里くんと別れ、千晴の告白も受け入れず、私は誰とも付き合わない道を選んだ。それでも私たちの関係はあまり変わらず、雪乃を始め、全校生徒は、私たちの関係にずっと注目し、関心を寄せていたのだ。鉄子は一体、どちらと付き合っているのか、と

  • 推しに告白(嘘)されまして。   105.それでも。

    「…やっぱ、好き」唐突に千晴から漏れた言葉。そのたった二文字が、私の心臓をドクンッと大きく高鳴らせる。気がつけば千晴は、その場で足を止め、無表情に、だが、迷子のような瞳で私を見ていた。どうすればいいのかわからない。そう、私に視線で訴えるように。「先輩、ずるすぎ。好きになるじゃん。そんなの」あの千晴が珍しく私に戸惑いを見せ、視線を伏せる。その伏せられた千晴の長いまつ毛が、心なしか震えているように見え、ぎゅうと心臓が締め付けられて、苦しくなった。私が千晴をそうさせているのに。「好き。大好き。アイツじゃなくて、俺を選んで?」もう一度視線をあげ、今度は無表情ながらも、真剣な眼差しで、千晴が私を見据える。「…こんなにも好きにさせた責任取ってよ」それから砂糖をドロドロに煮詰めたような声音で、そう言った。千晴のその胸焼けしてしまいそうな甘さに、鼓動がどんどん加速する。切なくねだるようにこちらを射抜く強い千晴の視線は、何よりも私の体を熱くさせた。「俺だけを見て、先輩」千晴には応えない。それが今の私のスタンスだ。だが、初めて見る私の愛を弱々しく求める千晴の姿に、私の口は考えるよりも先に動いてしまった。「…ちゃんと見てるよ」思いがけず自分から出た言葉に、頬が一気に熱を持つ。さらに視界までぼやけて、クラクラしてきた。〝好き〟だと一言も言っていないのに、まるで告白したあとのような息苦しさと緊張が何故か私を襲う。何で、こんな…。自分ではどうにもできない、おかしな症状に戸惑っていると、そんな私を千晴はまじまじと見つめてきた。そして徐に言った。「…俺のこと、好き?」千晴の瞳がゆるゆると細められ、私を捉える。なんと甘い瞳なのだろうか。こんな目で見つめられて、心が反応しないわけがない。「…好きじゃない」それでも私は心になんとか蓋をして、首を横に振った。「本当に?」「本当に」私の視線を絡め取るようにこちらを覗く千晴に、平静を装い、淡々と頷く。じわじわと私を蝕む熱に目を背けて。だが、千晴はそんな私を無視して、嬉しそうに口元を緩めた。「嘘つき」千晴の柔らかい声が空気を震わせる。ここには私たち以外の生徒もたくさんいるのに、私の世界にはもう千晴しかいない。そこにふわりと暖かくなり始めた風が吹き、千晴のふわふわで綺麗な金髪と桜の花

  • 推しに告白(嘘)されまして。   104.胸の熱。

    朝の散歩後、朝食を食べ終え、合宿最終日が始まった。合宿最終日も一日目とやることは同じだ。一人一人に配られたプリントを、ただひたすら解いていく。それを一日目と同じように悠里くんの隣で集中していると、二年生の部屋に何故か我が物顔で千晴が現れた。そして私の隣に、当然のように座ってきた。悠里くんと二人で使っていた机は、二人で使うにしてはかなり広く、全然千晴がいても問題はない。だが、それでも、広さ以外の問題があった。千晴と悠里くん、この二人の相性が何故かとんでもなく最悪なのだ。二人に挟まれた私は、奇しくも地獄の空気の中で勉強をすることになった。私にだけ話しかけ、互いを無視し、時には互いに険悪な雰囲気をまとい、睨み合う。この二人の仲を取り持つことなど、今までの経験上、到底無理だと知っていた私は、苦笑いを浮かべ、ペンを走らせた。たまに見ていられなくて、二人の間に入った時もあったが、私が間に入った一瞬だけ空気が和らぐだけで、地獄の空気は続いた。寝不足と地獄の空気による気疲れと昨日の合宿からの疲れ。本当は最後の一つだけが、今日に響いてくるはずだった。だが、いろいろあったおかげで、想定以上の疲労感が最後の最後に私を襲っていた。そして夕方。ついに勉強合宿は終了し、私たちはバスで学校へと戻っていた。さまざまな疲れで、疲労困憊になっている私の横には、今は千晴だけがいる。悠里くんは学校に到着後、バスケ部が部活をしていたようだったので、そちらの方へと行っていた。その為、何となく流れで、どうやら今日は電車らしい千晴と共に、駅へと向かうことになった。私と千晴。二人で並んで校庭を歩く。校庭内には、私たちのように合宿を終えた生徒たちや部活をしている生徒たちがおり、まだまだ活気で溢れていた。そんな賑わいの中で、私はふと、隣を歩く千晴を見た。夕日に照らされて、キラキラと輝いている目を惹くふわふわの金髪。そこから覗く、まるで精巧に作られた人形のように美しい顔。千晴越しに見える咲き始めた桜は、そんな千晴を余計現実離れした存在にさせていた。私の視界に入るもの全てが美しく、思わず息を呑んでしまう。本当に見た目だけなら千晴は完璧で絵になる男だ。…動いてしまえば、いろいろとボロが出てしまうが。マイペースで我が道を進み、誰の言うことも聞かない。そんな千晴にどれ

  • 推しに告白(嘘)されまして。   103.それでも朝は来る。

    side柚子一睡もできなかった。私は布団の中で、ただただ天井を見上げていた。それもバッキバキの目で。ここは施設内の宿泊部屋。この部屋の畳の上に、私たち生徒は布団を敷き、十人ほどで一緒に寝ていた。その十人の誰のスマホからも、まだアラームは鳴っていない。障子の向こうの空は、おそらく明るくなり出した頃で、あと1時間もすれば起床時間になるだろう。今日の予定のことも考え、少しでも寝なければならないということは十分にわかっている。そうしなければ、体力が持たない。だからこそ、私は就寝時間から何度も何度も寝ようと、まぶたを閉じた。しかしまぶたを閉じるたびに、星空の下で、涙を流しながら、こちらに微笑む悠里くんの姿が浮かんでしまうのだ。それもあまりにも鮮明に。昨日のあの場面が頭の中で繰り返され、結局私は今まで一睡もできずにいた。私は昨日、何よりも大切な存在、推しと別れた。私は推しである悠里くんに、恋心ではなく、憧れを抱いていた。悠里くんと同じではなかった。それでも悠里くんと共にいられた時間は幸せで、楽しくて、キラキラと光で溢れた、かけがえのない、手放し難いものだった。悠里くんと別れることを望んだのは、私だ。悠里くんと同じ想いを抱けない私と付き合っていても、悠里くんが傷つき続けるだけだから。実際、傷つき、苦しそうに、辛そうにしている悠里くんを、私は何度も見てきたし、その姿に胸が痛んだ。私も耐えられなかったのだ。このまま何事もないように悠里くんの隣に居続けることに。ーーーーだから、別れを受け入れた。悠里くんに別れを告げられて、胸がギュッと締め付けられた。以前、私が悠里くんに別れを告げた時も、悠里くんの胸はこんな感じだったのだろうか、と思う。それから最後に、悠里くんとキスをした。何度か唇を重ねたことはあったが、昨日のキスは、唇と唇が触れただけなのに、甘くって、切なくって、苦しかった。私に別れを告げた後も、私とキスをした後も、悠里くんはやっぱり辛そうだった。だが、それでも瞳の奥にはもうあの仄暗さはなく、少しホッとした。胸に悠里くんと別れた喪失感が残る。けれども、悠里くんの未来に明るい兆しを感じ、安心もしていた。都会とは違う、星空の下。どの星よりも光輝く私の推しが笑っている。心からの笑顔ではないけれど、いつかそれは本当の笑顔になる

  • 推しに告白(嘘)されまして。   102.言えなかった言葉。side悠里

    「私、悠里くんのことが本当にずっと好きだったの。憧れと恋の違いもわからなくて、本気でそうだと思ってた」今にも泣き出しそうな声で、柚子が言葉を紡ぐ。「だけど、今は違うってわかってて、別れるべきだってわかってて…。でも悠里くんが、それでもいい、て言ってくれたから、その優しさに甘えて、悠里くんの側にいることを私が選んだの。ダメだとわかっていたのに」伏せられた柚子のまつ毛の隙間から、キラキラと光るものが見える。柚子はその愛らしい瞳に、涙をいっぱい溜め、辛そうに続けた。「でもやっぱり、傷ついている悠里くんは見たくないな。傷ついてもいいって言われても無理だよ」伏せられていた視線が上げられ、柚子の頬に涙が流れる。弱々しかった声とは裏腹に、俺をまっすぐと見つめるその瞳には、柚子らしい強さを感じた。「別れたくなかったのは私も同じ。だけど、このままじゃ、悠里くんは心から笑えないね」つい先ほどまで消えてしまいそうだった柚子の声に、力が入っていく。俺を強く射抜く瞳に、俺はドクンッと鼓動を鳴らした。俺の好きな意志の強い瞳。優しいだけじゃない、確かな強さがある人。それが鉄崎柚子なのだ。柚子が俺に何を言い出そうとしているのか、俺はこの時点で、もう何となくわかっていた。おそらく柚子は俺に別れを切り出そうとしている。またあの言葉を聞くのか、と思うと心が沈む。できることなら、もう一生聞きたくないとさえ思える。けれど、このまま一緒であることを選び続ければ、俺だけじゃなくて、柚子も傷つくことになる。俺だけが傷ついて、それでも幸せを感じられるのはいいが、柚子が傷つくことは嫌だ。柚子には傷なんかとは無縁に、ずっと笑っていて欲しい。きっとこの望みを叶えられるのは、俺じゃない。一度視線を伏せ、ゆっくりと深呼吸する。自然の中の優しい空気は、俺を不思議と落ち着かせた。これ以上、柚子に辛い役回りをさせるわけにはいかない。「あのね、悠里くん…」「待って、柚子」今、まさに別れを切り出そうとした柚子の言葉を、俺は優しく止める。「俺から言わせて」それから伺うように、柚子の瞳を覗いた。柚子は俺の言葉に一瞬傷ついたような表情を浮かべて、静かに頷いた。柚子もちゃんと、俺が何を言いたいのか、わかっているのだ。「言いにくいことを何度も言わせてごめん」声がかすかに震える。

  • 推しに告白(嘘)されまして。   101.幸せのかたち。side悠里

    side悠里自分が柚子に対して、ひどいことをしていることはわかっている。柚子を苦しめていることも。それでも、俺は柚子を手放せない。食器を片付けていた柚子と別れた後、俺は施設内にあるお風呂に入った。そして、そこでゆっくりした後、自分たちの部屋へ戻るために、今は廊下を1人で歩いていた。何をしていても、俺の頭の中に柚子の姿が浮かぶ。食器棚を背に、こちらを潤んだ瞳で見上げる柚子。まるでりんごのように頬を赤く染めるその色は、俺への恋心で染められたものではない。単純に憧れの相手に迫られてそうなっているものだ。そうわかっているはずなのに、その赤に胸がどうしても高鳴る。柚子は自分の感情をもうきちんと理解していた。完全にわかった上で、何も知らなかった頃と変わらない反応をし、その後に苦しそうに一度俺から視線を逸らす。以前までなかったその仕草に、俺の胸の奥で、仄暗い感情が静かに蠢いた。何で俺から視線を逸らすの。逸らさないで。俺を見て。この地獄を選んだのは俺なのだから。わかってる。わかっているんだ。例え俺が選んだ道でも、柚子なら自分が悪いと自分を責める性格だと。柚子はきっと思っているのだろう。同じ気持ちを返せない自分に、俺がずっと傷ついている、と。間違いではない、だが、正解でもない。確かに俺は傷ついている。俺と同じではないキラキラとした瞳を向けられるたびに、胸がズキズキと痛む。俺と同じ想いのこもった瞳を華守に向けるたびに、その瞳を覆いたくなる。だが、傷つくと同時に、それでも柚子が俺と一緒にいることを選び、彼女でいてくれる事実に、嬉しくてたまらなくなるのだ。傷つきながらも、柚子と一緒だからこそ、幸せを感じられる。これが俺の選んだ幸せの形だ。ふと、足を止め、窓の外に視線を向ける。ここにはこの施設以外光源がない為、星がいつにも増して光輝いて見えた。…綺麗だな。そう思った時には、俺は外へと足を運んでいた。*****もうすぐ4月だが、日の沈んだ夜はまだまだ肌寒い。ひんやりとした空気を感じながら、俺はただぼんやりと空を見上げていた。その時だった。「悠里くん?」俺の後ろから、鈴の音を転がすような心地の良い声が、俺を呼んだ。ーーー柚子だ。聞こえてきた愛おしい声に、自然と体温が上がる。ゆっくりと声の方へと振り向くと、そこには

  • 推しに告白(嘘)されまして。   76.失えない。side悠里

    side悠里「あの時は確かに玉砕覚悟で本気じゃなかったけど、今はちゃんと本気だから」賑やかな部室内に、俺の真剣な声が響いた。それによってあんなにも自由に喋っていた部員たちの声がピタリと止まる。しかしそれはほんの一瞬で、すぐにその場にいた部員たちはいつもの調子で声を上げた。「わかってるよ!」最初に明るくそう言って、ガバッと俺の肩を抱いたのは隆太だ。「俺たちはお前の味方だぁー!なぁ、みんな!」それから部員全員にそう同意を求めた。「「おおー!」」隆太の声に部員たちは、部活と同じ声量で応える。みんなの温かさに俺は胸が熱くなった。彼らは大切でかけがえのない存在だ。「お疲れ様で

  • 推しに告白(嘘)されまして。   75.知らないふり。

    放課後、いつものように風紀委員室へと向かっていると、バスケ部の顧問、冨岡先生に声をかけられた。『鉄崎!ちょうどよかった!俺、これから会議だから、これ、バスケ部の部室まで届けてくれないか?』そう言われて渡されたのが、この大きな茶封筒だ。どうやら練習スケジュール等が入っているらしい大事な封筒を抱えて、私は今、バスケ部の部室へと向かっていた。その道中、ちらりと封筒の中身を見てみたが、さすが強豪校なスケジュール内容で、私は驚嘆した。スケジュールによれば、悠里くんの休みはほぼないに等しかった。一度、校舎外に出て、部室棟へと歩みを進める。階段を上がり、左から三つ目の部屋こそが、バスケ部の部

  • 推しに告白(嘘)されまして。   74.クリスマスの思い出。

    「悠里くん、おはよう」悠里くんの姿に、嬉しくて嬉しくて、つい緩くなってしまった口元に力を込め、私はいつも通り悠里くんに挨拶を返した。しかし悠里くんは突然、どこか暗い表情を浮かべた。一体、この一瞬で何が悠里くんの表情を曇らせてしまったのだろう。このままではいけない、と何が原因なのか突き止めようとした、その時。私は悠里くんの暗い視線の先に気がついた。悠里くんの視線の先には、我が物顔で私のマフラー(過去)を巻いている千晴の姿があったのだ。まさかあれが原因なのか?私が千晴にマフラーを貸していると思って、嫌な気持ちになってる?せっかく築き上げてきた、私と悠里くんの関係が疑われる要素に

  • 推しに告白(嘘)されまして。   73.冬休みを終えて。

    あっという間に年末年始が過ぎ、冬休みが終わった。寒空の下、新学期を迎えた校内の下駄箱前で、私は今日も朝から生徒たちの波に厳しい視線を向けていた。もちろんここに立っている理由は、朝の委員会活動でだ。生徒たち一人一人をじっくり見つめながら、私は充実していた冬休みに思いを馳せていた。ウィンターカップでの私の推し、悠里くんのかっこよさが忘れられない。コートを縦横無尽に走り回る勇姿にどれほど感動し、またその姿に少しでも彼女という名の壁として貢献できたことがどれほど誇らしかったことか。少し遅れた悠里くん一家とのクリスマスは最高に楽しかったし、クリスマスプレゼントまでもらえて、最後にはキ、キスま

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