Home / 青春 / (改訂版)夜勤族の妄想物語 / 2. 「最強になるために」④

Share

2. 「最強になるために」④

Author: 佐行 院
last update publish date: 2025-01-21 11:31:43

-④残酷な破壊と手紙-

 守や結愛たちが教室で最初の補習の準備をしていると、クラブハウスや校内の部室から私物をさせてきた「元」部員達が続々と帰ってきた。荷物が多い生徒や少ない生徒、中には高価な宝飾品を持っていたものもいた。結愛が宝飾品に反応していたので多分本物だろう、どこのブランドの物かは想像もできないがかなりの高級品そうだ。必要なのかどうかは正直分からないものが正直な気持ちでこれらを先生たちが見たらどういう反応をするのだろうか、特に湯村先生が。

 「以前」湯村先生には毎日決まって同じ食堂に食事を取りに行く習慣があった。自由な校風だったため、昼食を校外に食べに行っても大丈夫だった。守や琢磨もその食堂でちょこちょこ食事を行っていたので先生の事をよく見かけた。湯村先生本人は毎回同じメニュー「小ご飯とみそ汁」のセットをしみじみと噛みしめながら食べていた。小さめのお茶碗1杯のご飯と優しいお出汁の味が嬉しい温かなみそ汁。具材は豆腐と若布(わかめ)。そして店主自家製のお新香が付いて180円という価格。毎日そのセットを食べていた、ただ本人たちの給料日にはたまの贅沢にとポテトサラダや白身魚のフライといったおかずを一品食べる様にしていたらしい、本当にとてもうれしそうな表情をしながら。ただ、左手の薬指に指輪をしているので結婚はしているらしい、奥さんは忙しい人なのだろうか。もしくは高校生のおこづかい程度の価格で食事が提供されるこのお店で食事をしなければならない位厳しくされているのだろうか。しかし、詮索はよしておこう、いくら何でも本人が可哀そうだ。

 さて、そんな湯村先生が先程の宝飾品を見ると自分が教師であることを忘れる位の気持ちになってしまうのは明白。守たちも呆然と立ち尽くしていた。いよいよ義弘が言っていた「1時間後」が来ようとしている。

 まだ守たちは結愛を完全に信用している訳ではなかった。性格から見て結愛や海斗は義弘に反発している様だがやはり2人は貝塚財閥側の人間、いつ義弘側についてもおかしくはない。

守「お・・・、お嬢様?」

結愛「ああ、結愛でいいよ。」

守「じゃあ・・・、結愛?一つ聞きたいんだけど。」

結愛「何だよ。」

守「俺たちはどうやって結愛の事を信用すればいいんだ?仮にも貝塚財閥の人間だよな、出来れば信用できるように誠意なものを見せて欲しいんだが。」

結愛「そうだな・・・、じゃあ2つ見せるわ。」

守「2つ?」

結愛「とりあえずこっちに来てくれ。」

 全員を教室の一番後ろの監視カメラの下に集めると手元の工具入れから金槌を取り出し、カメラに向かってジャンプした。

『がっしゃーーーん!!』

 結愛は全員の目の前で監視カメラを破壊してみせた。配線もついで感覚で綺麗に切っている。

結愛「それと・・・。」

 結愛は全員の前で衣服を脱ぎ捨てた。下にはまさかの守たちと同じジャージを着ている。ただ番号が記載されていないが。

結愛「これじゃ駄目か??」

全員「十分だぜ結愛、歓迎するしこれからもよろしくな!!信用するぜ!!」

 遂に「1時間後」が来た。クラブハウス前に停車していた重機が動き出した。どごんという大きな音を立てクラブハウスを破壊していく。何名かは涙を流していた。ただ、「元」運動部ではなかった生徒達も涙を流している。琢磨が訳を聞くと泣いてた生徒が震えながら音楽室の方を指差した。

女生徒「あれ・・・、あれ・・・、見える・・・?」

 音楽室の窓が全部割られそこから炎が噴き出ている。よく見れば他の実習室等も同様に破壊されている。他のクラスから何人もの生徒が叫びながら走ってきた。

男生徒「大変だーーーー!!」

結愛「おい、落ち着けよ、大丈夫かよ!!」

男生徒「あの理事長どうなってんだよ、体育館まで破壊しやがったぞ!!」

 すると・・・、

海斗「大変だ、皆大丈夫かー?!結愛、無事かーーー?!」

結愛「兄貴!?どうなってんだよ!?」

海斗「俺もわかんねぇよ、訳わかんねぇよ!!」

 何気に海斗もジャージを着ている、どうやら結愛同様疑われたらしい。守たちは何となく申し訳なく思った。

守「お前らの親父って・・・。」

結愛「ああ、目的を達成するならどんなことでもやるんだ、ただまさかここまで・・・。」

海斗「維持費(経費)の削減かよ・・・チィッ!!」

圭「でもあいつ一人でここまで??」

海斗「いや多分・・・。」

貝塚兄妹「黒服だ!!みんな逃げろ、あいつらはどこまでも残忍だ!!最低でも俺たち2人は味方だ、危害を加えるつもりはない、お願いだから急いで逃げてくれ!!」

 全員、校舎の外に逃げると、部室系統のあった建物のみが全焼し、各クラスの教室のある建物のみが残されていた。男女関係なく生徒は皆泣いている。そんな生徒達をよそに校舎からチャイムが鳴り響く。そして生徒指導の飛井(とびい)の怒号が響く。

飛井「早く教室に入れ、すぐに補習が始まるぞ、補習は全員参加、出席率が低いと留年もあり得るから覚悟しろ!!」

 あんな火災の悲劇があったというのに先生たちは平気なのだろうか、まだ立ち直れない生徒もいるが全員校舎へと入っていった。その日の補習は本当に夜9:00までずっと続いた、焼け跡はそのまま残っていて酷いの一言だ。ただ補習が終わった頃には結愛の衣服は元通りに戻っていた。本人曰く、その恰好でないと家に入れないのだという。

結愛「俺と兄貴がジャージ着てたの内緒にしてくれるか?親父は何故かジャージが嫌いなんだ。」

 どうやら貝塚邸は無事らしい。多分義弘の予定通りなのだろうが。

守「分かった、帰るか。」

全員、各々の家路についた。

 守の家は学校から歩いて15分程のところにあり、寄り道や買い食いをしてもすぐに帰る事ができた。隣には圭の家がある。

圭「じゃあね。」

守「うん、お疲れ。」

 二人とも家に入った。

守「母ちゃんただいまー、ずっと何も食ってないから腹ペコだよー、晩飯何ー??」

 クタクタになった守に母・真希子(まきこ)が冷たく言い放った。

真希子「何言ってんのよ、あんた。こんな手紙が来たのに用意している訳ないじゃないの。」

守「手紙・・・?」

 守は真希子から「貝塚学園高校」の文字が書かれた封筒を受け取り、中の手紙を取り出して読んだ。

守「嘘だろ・・・。」

 守は手紙をストンと落とした。

保護者様各位

貝塚学園高校理事長

貝塚財閥 代表取締役

貝塚義弘

 学校名の変更と新理事長就任のお知らせ

拝啓 春暖の候、皆様ますますご清栄のこととお喜び申し上げます。さて、突然でございますが、これからは貝塚財閥で西野町高校を管理させて頂く事になり、代表取締役である私貝塚義弘(かいづかよしひろ)が務めさせて頂く形となりました。これからは我々がお子様の勉学を支えさせて頂きますのでよろしくお願い申し上げます。簡単ではございますがご挨拶とさせて頂きます。

敬具

 まさかの形式ばかりの手紙が入っており、守は鼻で笑った。ただ、もう1枚手書きの物をコピーした簡単な手紙を見つけた。それにはこうあった。

 お子様の勉学の時間を確実に確保すべく、また脳の回転を確実に速い状態で保つため、お子様には一切の食事を与えないで下さい。脳の回転は満腹時より空腹時の方が良いとされています、そして1秒でも長く勉学の時間を確保するためにご協力をお願い申し上げます。

守「マジかよ・・・。」

真希子「凄い方が理事長になったんだね、私はあんたや彼に協力するから頑張るんだよ。」

 守は諦めて入浴することにした、そして鞄に手を伸ばす。中には美味そうなお菓子が数個入っていた。どうやら結愛が家から持ち出して皆の鞄に入れてくれたようだ。「少なくて申し訳ないが食ってくれ」との一言書いたメモと一緒に。

 守はそのお菓子を噛みしめる様に食べた。部屋の窓からは圭の部屋が見える。どうやら圭も同じ状態になったらしい守は確信した。

 「結愛は信用できる」、と。

Continue to read this book for free
Scan code to download App

Latest chapter

  • (改訂版)夜勤族の妄想物語   7. 「異世界ほのぼの日記3」370

    -370 事情- 昼食をとりながらケデールと豚肉の売買契約交わしてから数十分経った頃、これから出す料理の監修をお願いしたお店が従業員の実家だった事を知ったシューゴは「より一層監修をお願いしやすい」と踏んだので屋台を営業するついでにバルファイ王国にある新店へと立ち寄りピューアを呼び出そうとしていた。 各々の家庭には各々の事情があるはずなのだが1号車の店主の心中には「父親は息子に厳しく娘に甘い」というイメージが強く根付いていた様だ、個人的な考えだけで物事を進めるのは良くないと思うのだが・・・。シューゴ「ピューアさん、お久しぶりです。」ピューア「あらまぁ!!お久しぶり・・・、と言っても何か変な感覚ですね。」 こうやって2人が顔を合わせるのは確かに久々ではあるが、『念話』でちょこちょこ話してはいるので「久しぶり」という言葉が正解なのかどうかが分からないでいる。ピューア「珍しいじゃないですか、今日はどうされました?」シューゴ「ちょっとお2人・・・、と言うよりピューアさんに御報告があるんです。」ピューア「「私達2人に報告」ですか、じゃあイャンを呼んで来た方が良いですね。」シューゴ「いえいえ、皆さんお忙しいでしょうからイャンダさんには後で改めてご報告させて頂きます。」ピューア「そうですか・・・、そう言えば先程「と言うより私に報告」って言っていましたもんね。どうしてイャンじゃなくて私になんです?」シューゴ「実は折り入ってピューアさんにお願いがあるんですよ、これから提供する料理についてなんですが。」 「豚肉料理」と「朝食」というキーワードだけは聞いていた上級人魚(ニクシー)、「朝の時間帯に提供する豚肉料理と言えば・・・」と豚肉や野菜の優しい風味に溢れるある料理を思い浮かべた。ピューア「朝に出すんですよね、という事は「豚汁」とかですか?」 この3国において、特にこのバルファイ王国では夜から翌朝の時間帯と日中における気温差がかなり激しいのでピューアは出汁香る温かな豚汁を提供するお店があるとありとあらゆるお客さんに喜ばれるのではないかと踏んだらしい。シューゴ「良いですね・・・、それも良いアイデアとして取り入れる事を検討してみましょう。ただ実はね・・・、今日お伺いした理由は別の料理なんです。」ピューア「「別の料理」・・・、ですか?」 実は「ビル下店」でも結

  • (改訂版)夜勤族の妄想物語   7. 「異世界ほのぼの日記3」369

    -369 貪欲- ピューアが「暴徒の鱗」に就職してから結構な月日が流れていたのにも関わらず、自分が新店で出す料理の監修をお願いした店がまさか上級人魚(ピューア)の実家だったなんて思いもしなかったシューゴ。「ビル下店」新設の際に行った採用面接の時に履歴書(ギルドカード)を見て名前を憶えていたはずだと思われるが、先程も言った様に結構な月日が流れているので仕方が無いのかもしれない。シューゴ(念話)「待てよ、どうして「C’ s キッチン」がピューちゃんの実家だって分かるんだよ。」ケデール(念話)「自分で言ってたのに分からないのか?」 数秒程しか経過していないはずなのに自分の発言をすっかり忘れてしまっているシューゴは『アイテムボックス』から「暴徒の鱗 全従業員名簿」を取り出した、そこには面接の際に確認したギルドカードと同様の情報が記されていた(勿論情報漏洩防止の為に社外秘な上に持っているのはシューゴだけである)。シューゴ(念話)「ピューちゃんね・・・、あった。」 そこにははっきりと「ピューア・チェルド 種族:上級人魚(ニクシー) 出身地:ダンラルタ王国」と記されていた(これ以上書いてしまうと情報漏洩で怒られてしまうのでやめておこう)、そういう物を持っているならちゃんと見ておこうよとつい思ってしまうがこれが貝塚財閥(結愛)なら騒動となってしまう。シューゴ(念話)「本当だ、ファミリーネームが「チェルド」だね。だからかな・・・、今回の件を快諾してくれたのは。」 「それは違う」と否定するべきなのかもしれない、俺個人的には「暴徒の鱗」自体がこの世界において頭角を現して来たからだと思ってしまうのだが経営者からの目線から言えばやはり謙虚になりたい(謙遜するべき)と感じてしまったのだろう。ケデール(念話)「それにしてもチェルドさんの所に監修をお願いして何を出すつもりなんだ?まさかと思うがあの店の有名な豚カツをそのまま出す訳じゃ無いだろう?」シューゴ(念話)「流石にな、そんな事をしてしまうと「コラボ」や「監修」の域を越えて「暖簾分け」にまでなりかねないからな。俺だって気が引けるよ。」 現時点でも「名物」と言える料理がある「暴徒の鱗」が提供したがる新たな料理とは何なのだろうか、正直あるかどうかも俺には分からない。ケデール(念話)「じゃあ何なんだよ、お前はまだ欲張るつもり

  • (改訂版)夜勤族の妄想物語   7. 「異世界ほのぼの日記3」368

    -368 新店のプラン- シューゴ直々の『念話』に応えて新店に出す豚肉の受注を請け負ったケデール、友の熱意にやられたというと響きが悪いかも知れないが期待に応えることが出来るように努力しようと誓ったのは良いものの何処か引っ掛かる事があった。ケデール(念話)「シューゴ、ちょっと良いか?」シューゴ(念話)「何だよ、改まった様に。」 誰だってこういった入りから話を変えられてしまった場合が苦手だったりする、シューゴは「何の用なんだろう」と少しオドオドとしながら用事を伺う事に。ケデール(念話)「ただ気になっただけなんだけどさ、シューゴの所で「豚肉」と言えばご自慢の叉焼があるのにそれ以外に何を出そうってんだよ。まさかと思うがまた好美ちゃんの店みたいにするつもりか?」 今更言う事でも無いのだが、好美がオーナーとなっている「ビル下店」は本人たっての希望で拉麵屋と中華居酒屋を兼ねた店舗となっている。転生前に世話になった「松龍」の味を大切に守りたいという気持ちが強かったが故のリクエストがフルに活かされた店舗である、だがそれが故に「暴徒の鱗」内でメニュー数が1番多いのも事実なので開店当初は肉の受注を請け負っていたケデールの店もやはり初日から大騒動だった。商売人としてこんな事を言ってはいけないのは分かるのだが、「もうあんな目に合うのは御免だ」と言う気持ちが未だに残っていたのだ。シューゴ(念話)「流石にあんな感じの店は好美ちゃん以外の従業員には荷が重い気がするよ、あの店だから出来る事だから「独自性を持たせる」という意味でも「ビル下店」の真似は決してしない様にしようと思ってね。」 屋台を含めて数々の店舗が各々の「アイデンティティ」を持っている理由はそこだったのかもしれない、「この店にしか出来ない事をやろう」という想いを大切にしたいという信念を感じる。ケデール(念話)「じゃあどうするつもりなんだよ、叉焼や「ビル下店」で出している中華料理以外に豚肉料理なんてお前の所じゃ出していなかっただろう?」シューゴ(念話)「それがさ・・・、1つだけプランがあるんだよ。」ケデール(念話)「プラン・・・?また面白い事を考えているんだな?」シューゴ(念話)「そうなんだよ、実はさ・・・。」ケデール(念話)「待て待て待て・・・!!それって俺が聞いても良い事なのか?」 普通まだ開店してもいない

  • (改訂版)夜勤族の妄想物語   7. 「異世界ほのぼの日記3」367

    -367 その言葉に偽り・・・、無し?- 守から用事を聞いたケデールは別に飼育係を信用していない訳では無いが世の中に「念には念を」と言うので確認の為にシューゴへと『念話』を飛ばした、因みに2人はネフェテルサの路地裏にある立ち飲み屋にて偶然隣同士で呑んでいた事からすっかり仲良しになっている。偶然の出会いが仕事に役立つなんて何となく羨ましい。ケデール(念話)「シューゴ、今どの辺りだ?」シューゴ(念話)「偶然かもだけどネフェテルサにいるよ、好美ちゃんのいる店に叉焼を補充しに来てたんだけど今丁度終わったからこの辺りで飯にしようと思ってさ。今日の気分は・・・、魚料理かな・・・。」ケデール(念話)「おいおい、自分の店で食わないで良いのかよ。」シューゴ(念話)「俺だって人間だよ、色々と食べたくなる時だってあるさ。」 拉麵屋の店主だからって拉麺以外を食べてはいけないという法律は勿論無い、好きな物を食べる事は皆に平等に与えられる権利だ。シューゴ(念話)「デールも一緒にどうだ?」 「ケ」の一文字を言うのを面倒くさがったのか、いつの間にか「デール」というあだ名を作っていたシューゴ。因みに改めて言う事でも無いがケデールは放牧場にいるのでその場を後に出来ない。ケデール(念話)「良いな・・・、そう言われるとぶりの照り焼きが食べたくなって来たけど今は行けそうに無いんだ。それより今日はお前に聞きたかった事があるんだよ、飯を食いながらでも良いから教えてくれるか?」シューゴ(念話)「まだ店に行ってもねぇよ、それでどうした?」ケデール(念話)「いやな、今さっきうちの飼育係に聞いたんだけど俺ん所の豚肉を新店でも使いたいんだって?」シューゴ(念話)「そうなんだよ、バルファイ王国に今度開店する店で使わせてくれないかな。」ケデール(念話)「勿論構わないよ、ただ配送はどうするんだ?」 現時点でケデールの店の肉を使っている飲食店は「暴徒の鱗 ビル下店」を含めネフェテルサ王国内にあるのでケデールや守が軽トラの冷蔵車を運転して配送しているのだが、今回においては王国外になるので別の問題となってしまう(と言っても高速道路を使えば済む話なのだが)。シューゴ(念話)「今ん所は俺が屋台で国外に向かう時に一緒に持って行こうと思っているんだけど駄目かな・・・?」 駄目かどうかはシューゴが判断すべきで

  • (改訂版)夜勤族の妄想物語   7. 「異世界ほのぼの日記3」366

    -366 しっかりしているのはどっち?- 嬉しくないと言えば嘘になるが突然やって来た恋人からの『念話』に動揺を隠せなかった守は一先ず腹を空かせた沢山の豚達がずっと待っているので先に餌やりを終わらせる事に、きっとこの行動により冷静さを取り戻したかったんだろうなと推測できる。 ゆっくりと時間をかけて豚達への餌やりを終えた守は改めて好美に『念話』を飛ばしてみる事に、因みに豚舎の中では餌に混ぜ込んだ茶葉の良い香りが漂っていた。守(念話)「ごめんよ、今やっと餌やりが終わったんだ。それで・・・、何の話だっけ?」好美(念話)「・・・。」 ずっと待たされていた事により不機嫌になったからか、好美は無言を貫いていた。「分かりやすい奴だな」とついついイジってしまいそうになったが好美の機嫌を損ねてしまうと話がまた進まなくなってしまうのでやめておこうと感じた俺、ただそんな中でも守は様子を伺いながらどう言った用事だったのかを改めて伺う事に。守(念話)「あの・・・、好美さん・・・?」好美(念話)「・・・。」 未だに好美からの返答は無い、無視を決め込んでいるというならそろそろやめて頂きたいというのが本心。守(念話)「あの・・・、どうされまし・・・。」好美(念話)「zzz・・・」 寝てたんかい、まぁ不機嫌になっているよりはマシだわな。守(念話)「仕方ない、話は好美が起きてからにするか。」好美(念話)「うーん・・・、寝て無いもん!!」 何処からどう考えても鼾をかいてたよな、『念話』で伝わる位だったから相当だったはずだぞ?好美(念話)「何、起こさないでよ・・・。」 君・・・、「起こさないで」って言った時点で寝てた事を認めた様になるけど良いのけ?好美(念話)「分かった、寝てた事は認めるよ。それで守、何か用なの?」守(念話)「いや、先に『念話』を飛ばして来たのは好美だろ?何の用事だったんだよ。」好美(念話)「えっと・・・、何の用事だったっけ?」 おいおい、ちゃんと話が出来ていないと新店の開店にかなりの影響が出るぞ?大丈夫なのか?イャンダ(念話)「好美ちゃん、豚肉の話だよ・・・。」 イャンダさん、ナイスプレーです。これでちゃんと話を進める事が出来るよ、ふぅ・・・。好美(念話)「そうそう、そうだったそうだった!!あのさ、守の店の豚肉を新店で使っても良い?」守(念

  • (改訂版)夜勤族の妄想物語   7. 「異世界ほのぼの日記3」365

    -365 頼りにしても良いかどうか- 兄が守の名前が挙がった理由を未だに理解出来ていない中、弟は「仕方ないがこういう時だから・・・」とため息をつきながら好美へと相談する事に(ただ頼りになるかどうかは定かではないが何もしないよりはましだと思うしか無いんだろうな)。好美「何よ、また私の悪口を言っている訳?いい加減にしないと警察呼ぶよ?」 な・・・、何も言ってねぇし・・・。俺はただイャンダの心中を代弁しただけだもん、無罪です!!好美「無罪じゃないもん、全部あんたの妄想なんだから有罪だもん!!」 分かったよ・・・、また今度ビールを送っておくから許してくれよ・・・。好美「大瓶ね、大瓶を最低でも3ケースね。でないと絶対に許さないから。」 大瓶ね・・・、分かりましたよ・・・。今度3ケース程送らせて頂きますからそろそろお話を続けても宜しいでしょうかね?好美「仕方ないな・・・、今回だけだよ?」 全く・・・、コイツは1人暮らしのおっさんかよ・・・。好美「何?また悪口?」 い・・・、いや・・・。俺って素晴らしいヒロインに恵まれて幸せだなと思いましてね。好美「もう・・・、お世辞は良いから早く話を進めてよ。他の人が待ってんじゃないの?」 そっすね・・・、恐れ入りますがそうさせて頂きます・・・。 『探知』で好美の様子を探っていたが故に(多分俺の所為で)大分待たされていたイャンダは様子を伺いながらかつてのオーナーに恐る恐る『念話』を飛ばした、この場合においても違う意味で言葉を選びながら会話に臨まなければならないからだ。少しでも好美の機嫌を悪くしてしまうと全てがおじゃんになりかねないからである、怖い怖い・・・。イャンダ(念話)「好美ちゃん・・・、もうそろそろ大丈夫?」好美(念話)「ああごめん、私は何時でも良かったんだけど作者(アホ)の所為で時間かかっちゃった。何か用事でもあった?」 こちらも『探知』で新店におけるイャンダの様子をずっと伺っていた好美はどういった相談なのかを大体把握していたみたいだったが、相手が話しやすい様に敢えて何も知らない体で『念話』に応じた。イャンダ(念話)「実はさ・・・、こっちの店でもケデールさんの所の豚肉を使えないかなと思ったんだけど相談に乗って貰えないかな?」好美(念話)「それって、守が育ててる豚肉って事?」イャンダ(念話)「そう

  • (改訂版)夜勤族の妄想物語   5. 「あの日の僕ら」㉖

    -㉖ 執念- 好美のまさかの一面を目撃してしまった球技大会の夜、大学周辺の居酒屋は打ち上げと称して呑んでいる学生達で一杯となっていた。中華居酒屋である松龍も例外ではなく、その影響で曜日的には休みだった好美は龍太郎に呼び出されて臨時で出勤していた。王麗「うちの変態店主がすまないね、今日は8時までで大丈夫だからね。終わったら店のビール呑んで良いからね、そうだ・・・、瓶ビールを今からキープしておいても良いよ。」好美「良いんですか、では早速。」 王麗の言葉を聞いた好美は早速守にメッセージを送った、守からの返信はすぐにやって来た。守(メッセージ)「じゃあいつものメンバーで呑もう、8時前に3人

  • (改訂版)夜勤族の妄想物語   5. 「あの日の僕ら」㉕

    -㉕ 意外な一面-  5人が大いに吞みまくってから数日後、守達の大学では異学部学科との交流を目的とした球技大会が行われた。守と正は大学から少し離れた川辺にあるグラウンドで行われるソフトボールに出場していた、因みにこの球技大会の競技は全て男女混合で行われる事になっていた。正「これに勝てば決勝戦だ、気合入れるぞ!!」全員「おー!!」 試合が7回裏まで続いた時、相手チームの応援で数人の女子がやって来た。その中に好美と桃がいた。好美「頑張れー!!」桃「ぶちのめしちゃえ!!」 守備に回っていた守と正が涙ながらに叫んだ。守・正「嘘だろ、そりゃ無いよー!!」 恋人たちはその声を聞いて彼氏

  • (改訂版)夜勤族の妄想物語   5. 「あの日の僕ら」㉔

    -㉔ 大人になった- 花火大会から数か月が経ち、正・桃・好美の3人は20歳を迎えていたが誕生日が1番遅い守の為に初めての飲酒を我慢していた、と言っても最長で5日だったのだが。 そして守の誕生日の夜、各々の店長にお願いしてバイトの休みを合わせた4人は松龍に集まった。 龍太郎は念の為に学生証で年齢を確認し、涙を流しながら初めての酒として4人に瓶ビールを注いだ。龍太郎「お前ら・・・、成長したな。親として俺は嬉しいぜ、今日は店からの奢りだから好きなだけ呑んでくれ。」王麗「そうかい、じゃあ大黒柱として次の小遣いは無しでいいね。」龍太郎「母ちゃん・・・、それはないだろう?」 涙を一層流しな

  • (改訂版)夜勤族の妄想物語   5. 「あの日の僕ら」⑱

    -⑱ 母からの贈り物と緊急事態- 宝田家でゆっくりとした時間を過ごした好美が桃と会う約束があると伝えて一旦帰宅してから数時間後のPM5:00頃、いつもなら株主総会に行った真希子が帰って来る時間なのだが影すらも見えない。 1時間後、日が傾き西日が差し込み始めたPM6:00。いつものリムジンではなく聞き慣れない排気音(エキゾースト)が近づいて来たので守は駐車場に出た。 一瞬隣のアパートに住む光が帰って来たのかと思ったのだが本人の愛車であるカフェラッテの姿も無い、その代わりと言ってはなんだが見覚えの無いクーペタイプの軽自動車が1台止まっていた。守「カペンだ・・・。」(うん、権利的な問題はな

More Chapters
Explore and read good novels for free
Free access to a vast number of good novels on GoodNovel app. Download the books you like and read anywhere & anytime.
Read books for free on the app
SCAN CODE TO READ ON APP
DMCA.com Protection Status