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第69話……目覚めた金印

last update تاريخ النشر: 2026-06-10 15:47:31

 夜明け前の薄青い光が、ヴァルカンの館の回廊へ静かに差し込んでいた。

 ユリウスが外交使節として出立する朝――その少し前、ツーシームは館の奥に設けられた一室へ足を向けていた。

 荒鷲の金印を持つ少女。

 帝国軍特殊部隊が昨夜あれほど執拗に探した以上、もはやこの館も絶対安全とは言い切れない。

 どこか別の隠し場所へ移す必要があった。

「さて、寝ぼけ眼のまま運ばれてくれると助かるんだがねぇ……」

 安煙草をくわえたまま、ツーシームは扉を押し開けた。

 だが、そこで彼女の足が止まる。

「……ん?」

 部屋の中央に、少女が立っていた。

 いつもは伏せがちで、どこか夢の中を漂うような目をしていた娘が、いまは背筋を伸ばし、凛とした面持ちでこちらを見返している。

 あきらかに空気が違った。

 ただ起きているのではない。自分が誰であるかを、ようやく思い出した者の眼だった。

 ツーシームは片眉を上げ、煙を細く吐いた。

「お加減はどうさね?」

 少女は小さな顎を上げる。

「悪うない。余は、ようやく記憶を取り戻したぞ……」

 その言葉は幼い顔立ちに似合わぬほど重く、古い響きを帯びていた。

 ツーシームは一
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