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第5話

Author: ねむい
「社長!やっと連絡がついた取引先が契約を撤回してきました!

複数の投資家が出資を引き上げると言っています!それに税務署が、どこからか通報を受けたとかで、調査員を連れて会社に来ています!

社長!会社の資金繰りは完全にショートしました!税務調査が入れば耐えられません!このままでは三日と持たずに倒産です!」

会社が絶体絶命の危機に瀕したその時、恭平の脳裏に浮かんだのは、凛の言葉だった。

あの冷たく、何の感情も籠っていない声。

「恩知らずなだけでなく、妄想癖まである」という言葉。

あの時の彼は、頭の中が夢美の腹の子のことで一杯で、凛の言葉を聞いてもただの癇癪だと思っていた。

ただの癇癪だ、今までも何度かあった、なだめれば直る、と。

今思えば、あれは明らかに凛からの警告だったのだ。

彼が恩を忘れ、一生凛を愛し、一生凛一人だけを大切にするという誓いを忘れたから。

だから凛は離婚し、他の男と婚約し、彼との関係を完全に断ち切ったのだ。

そして彼の会社が今の規模になれたのは、凛の功績によるところが大きかった。

財閥令嬢の肩書きを失っても、凛が幼い頃から見聞きし、培ってきた見識や人脈は飾りではなかった。

ただその後、子供の流産という悲劇で凛が心身共に深く傷つき、会社の業務に関わらなくなっただけだ。

数年の間に、彼は凛が会社に口を出さないことをいいことに、いつの間にか凛を彼に依存しなければ生きていけない寄生虫のように思い込んでしまっていた。

とんでもない間違いだった!

恭平は床に寝転がり、低い声で嗚咽を漏らした。涙はどうしても止まらなかった。

「ごめん……ごめんよ凛、あんな扱いをするべきじゃなかった。

ごめん凛……俺が本当に悪かった」

だが、このまま手を引き、凛が他の男の隣に立つのを見るなんて、恭平には耐えられなかった。

感傷に浸っていたのは一日にも満たず、恭平は決意した。必ず凛を取り戻すのだと。

彼女が戻ってきたら、この数年欠けていたすべてを一人で償おうと、彼は思った。

長年の情があるのだから、凛だって自分に対して非情にはなりきれないはずだ。

真剣になだめ、挙げられなかった結婚式を挙げ、妻として受けるべき尊重と夫の貞節……すべてを凛に捧げよう。

これからは永遠に、凛一人のそばにいよう。

しかし、凛は彼の償いなど微塵も望んでいなかった。
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