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第240話

Author: フカモリ
克典は海外から戻るたび、祖父を見舞い、将棋の相手をしてくれたものだ。

結婚前は、信行も頻繁に彼女の実家に出入りしていた。まるで自分の家のようにくつろぎ、両家の祖父に分け隔てなく接していた。

夏には、縁側で涼みながら昼寝をしたこともあった。

あの頃は、二つの寝椅子を並べて、並んで眠った。彼は辻本家で、遠慮などしたことがなかった。

ただ結婚してから、彼はぱったりと来なくなった。

信行の言葉には答えず、真琴はまた顔を背け、流れる窓の外の夜景に目をやった。

信行もそれ以上は口を開かず、静かにハンドルを操るだけだ。

車の速度は普段よりずっと遅かったが、真琴はそれを急かそうとはしなかった。

十時を過ぎた頃、車が真琴のマンションの前に滑り込んだ。

真琴はそこでハッとした。住所を信行に教えていなかったのに。

彼は知っていた。

シートベルトを外したが、真琴が降りる間もなく、信行はさっさと車を降りていた。

助手席のドアを開け、後部座席から松葉杖を取り出す。

そして、真琴を支えて降ろし、杖を渡してくれた。真琴は他人行儀に礼を言った。

「ありがとう」

いつからか、真琴は信行に対し
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ウサコッツ
今さら気を使っても まったく嬉しくないのに なんでわかんないのかな 由美と結婚の話してるなら 真琴と離婚するべきだよ
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    克典は海外から戻るたび、祖父を見舞い、将棋の相手をしてくれたものだ。結婚前は、信行も頻繁に彼女の実家に出入りしていた。まるで自分の家のようにくつろぎ、両家の祖父に分け隔てなく接していた。夏には、縁側で涼みながら昼寝をしたこともあった。あの頃は、二つの寝椅子を並べて、並んで眠った。彼は辻本家で、遠慮などしたことがなかった。ただ結婚してから、彼はぱったりと来なくなった。信行の言葉には答えず、真琴はまた顔を背け、流れる窓の外の夜景に目をやった。信行もそれ以上は口を開かず、静かにハンドルを操るだけだ。車の速度は普段よりずっと遅かったが、真琴はそれを急かそうとはしなかった。十時を過ぎた頃、車が真琴のマンションの前に滑り込んだ。真琴はそこでハッとした。住所を信行に教えていなかったのに。彼は知っていた。シートベルトを外したが、真琴が降りる間もなく、信行はさっさと車を降りていた。助手席のドアを開け、後部座席から松葉杖を取り出す。そして、真琴を支えて降ろし、杖を渡してくれた。真琴は他人行儀に礼を言った。「ありがとう」いつからか、真琴は信行に対して、ひどく他人行儀な態度をとるようになっていた。彼女が体勢を整えるのを待って、信行は言った。「部屋に着いたら連絡をくれ。電話でもメールでもいい」真琴の態度から、部屋まで送られるのを拒んでいるのは分かった。だから、あえて踏み込まなかった。信行の言葉に、真琴は短く答えた。「分かったわ」そう言って、彼女は松葉杖をつき、マンションのエントランスへと歩き出した。すぐには車に戻らず、信行は両手をポケットに入れたまま、遠ざかる真琴の背中を見つめていた。記憶の中の真琴は、いつも自分の方へ駆け寄ってきたものだ。だが、彼が我に返り、過去を清算して向き合おうとした時には、もう手遅れだった。見るたびに、彼女は遠ざかっていく。いつも、自分のもとを去っていく。真琴が建物に消えるまで見送り、信行はその場を動かず、無事に着いたという連絡を待った。エレベーターの中。ボタンを押して乗り込み、信行がついてこなかったことに安堵した。間もなくエレベーターが彼女の階に止まった。ドアを開けて部屋に入り、玄関に松葉杖を立てかけると、信行にショートメッセージを送った。【着

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