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第31話

Penulis: 藤永ゆいか
last update Tanggal publikasi: 2026-01-15 19:00:00

その夜、私は自室のベッドで天井を見つめていた。

おせち料理を囲んで笑い合った時間。

氷室様の「変わりたい」という言葉。

そして、『君がいてくれて、よかった』という温かな声。

幸せな一日だった――はずなのに。

午後に盗み聞いてしまった、あの会話がすべてを掻き消していく。

『婚約者を、近々紹介します』

氷室様の声が、何度も頭の中で響く。

無意識に、首元のネックレスに触れた。クリスマスに彼がくれた雪の結晶。

「君に似合うと思って」

あの時、私はこのペンダントが特別なものだと思ってしまった。二人だけの、何か。

……馬鹿みたい。

氷室様には婚約者がいる。それは喜ぶべきことで、当然のこと。

私はただの家政婦。彼の人生という舞台に、立つ資格なんて最初からない。

「っ……」

頭では分かってる。嫌というほど、分かってるのに。

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