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第32話

last update Dernière mise à jour: 2026-01-17 19:00:00

1月2日の朝。

私は氷室様と並んで、タクシーの後部座席に座っていた。

目的地は氷室本邸――氷室様の祖父、厳造様のお屋敷。新年の挨拶に伺うのだという。

でも、いまいち納得がいかない。

「あの、氷室様……」

私は、恐る恐る口を開く。

「なぜ、私も同行することに?」

「祖父に会わせたい」

短い答え。それ以上は何も言わない。

祖父に、会わせたい?家政婦を?

意味がわからなかった。氷室様は窓の外を見たまま、それ以上何も語らなかった。

タクシーが停まったのは、重厚な門構えの前だった。

黒い瓦屋根。立派な門松。まるで時代劇の世界だ。

門が開き、長い石畳の道を進んでいく。両脇には手入れの行き届いた日本庭園。松の木の濃い緑と、池の静かな水面が、この家の歴史を物語っていた。

玄関に近づくと――。

「お帰りなさいませ、若様」

黒い着物の

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