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第26話:今日の稼ぎは順調に

作者: 大正
last update 公開日: 2026-05-08 07:00:34

 結局ミニボアを3匹ほど倒し、心臓が動いてる間にできるだけ血抜きをしながら進んできたので思ったより時間がかかった。30分で間に合う道に40分かけて歩き、何とか2匹は血を抜いたが1匹は血抜きをしないままアイテムボックスに入れて持ってきた。

 これはちょっと減額されるかもしれないな。でもまあ、セルフィが綺麗にさばいてくれたおかげで毛皮にもほとんど傷はついていない。肉の味にどうかかわってくるかだけが気がかりだな。

 北門に到着して門で冒険者証を見せて通り抜ける。

「素人質問で恐縮なのだが、北門だけ他の門と違う理由で通り抜けが可能だったりしないのか? たとえばダンジョンから帰ってくる奴は魔石の袖の下で通れるようになるとか」

 すると、意外な一言が返ってきた。

「北門はいつでも開いてるぜ。夜中にダンジョン行き帰りしたりする奴もいるし、ダンジョンの中じゃ時間もわからないからな。それが理由でダンジョンによりつく奴が減っても困るからな」

 何それ今知った……行きがけに聞いていればもうちょっと頑張れたかも……いや、でもこれはこれで夜の食事と湯に間に合ったんだからいいことにするか。

 冒険者ギルドに立ち寄って、ダンジョンへ行ってきたので換金を頼む、とざらざらと魔石を取り出す。種類ごとに分けて渡したのでちょっと不思議そうにしていたが、全部で銀貨2枚と銅貨56枚分になった。かなりの稼ぎだな。二日分とまではいかなくても、一日半ぐらいの稼ぎにはなったか。今夜は……白いパンが食べられるな。

「よし、今夜は白パンの定食にしよう。自分たちに頑張った御褒美だ」

「やった! 今日は顎が痛くならないんですね! 」

 セルフィでもやはり黒パンは顎に来るらしい。ちょっと帰りも早かったとはいえ、今の自分たちには十分な稼ぎといえるだろう。

 続いて、ギルドの解体場にミニボアを三匹、うち二匹は血抜き済であることと、一匹は殺して血抜きせずにそのまま持ってきたことを伝える。すると、血抜き無しは2割引きらしい。つまり、この一匹は銅貨8枚、残り二匹は銅貨10枚の支払い、ということになる。それの解体結果書を受け取って、もう一度受付に行って解体結果書を渡し、銅貨28枚を受け取る。

 一日で銀貨2枚と銅貨84枚。一泊で銀貨1枚、ご飯夕食豪華で64枚、お湯で4枚……まだ、装備品代が稼げてないな。とりあえず今日は良いとして、明日は何するか……

「セルフィ、明日は何したい? 」

「明日は……稼げたのは今日のほうが多かったのですよね? 」

「確かにそうだが、昨日は短い時間であれだけ稼げたからな。もしも朝から東門で作業してたらかなりの儲けになったはずだ。こっちは血抜きさえしてしまえばどんどん倒していけるし、血抜き無しで2割引きでも、数を稼げば行けるともいえる。血抜き無しでもミニボア35匹倒せれば今日と同じぐらい稼げる。35匹で済むと言えばそれなりに楽に見えるな」

「ご主人様は計算速いですね。すごいです」

 そういえば、計算が速くなるスキルも知らないうちに取ってたんだったな。どうやらこっちの世界では誰でも持っている、というわけではないらしい、高速計算スキル。

「さて……明日のことはともかく、今日の贅沢の話をするか。今日は美味しいものを食べてしっかり眠って……それから明日何をするか考えよう。むしろ、他に何ができるかを考えることもできるからな。探索や冒険以外でも何かしら金を稼ぐ手段、仕事をする手段があればそれに越したことはない」

 冒険者ギルドの掲示板を見ながら、どんな仕事があるかも見る。冒険者にはいろいろな仕事があるらしい。猫探しから特定のモンスターの討伐依頼、それから常設依頼でも、常設の中の特設依頼というものもあるらしい。

 ミニボアを30匹集めてほしいとかそういうのもあるようだ。どうやら料理の品評会があって、その品評会向けのミニボアをまとめて仕入れたいとかそういうものらしい。料理か。マヨネーズとか作ったら需要あるんだろうか。ちょっと夕食時にリンカちゃんに聞いてみるか。もしかするといい宿と食事の恩返しに何かできるかもしれないしな。

 さすがに調味料開発という依頼はなかった。まあ、そんなものがあるとしたら料理の品評会の前に完成させなきゃいけないだろうから、今更募集することもないだろうな。

 一通り依頼を眺めてから銀の卵亭に戻る。こっちへ来る前に読んできた「これだけ詰め込め! 異世界に行ったときにチートできる知識100選」の中にあったもので実現できそうなのはマヨネーズと石鹸、リンスと香水、ぐらいか。ジャガイモの普及とかは普通にしてそうだからな。ここでは食事に出ないだけで、市場に買い物に出かけたら普通にありそうなものではある。

 部屋に戻って夜の鐘が鳴り始めるまでまだ少しあるので、まだ明るい今のうちに武具の手入れをしてしまおう。剣先を水で洗った後オイルを軽く塗って、なじませて錆びないようにしていく。そういえば、植物油がこうやって手に入るということは、石鹸も作ろうと思えば作れる、ということか。苛性ソーダがなくても灰の上澄み汁を使えば作れるが……問題は完成するころには俺は旅立っているということだな。

 やはり手軽で即日効果があるものとしてはマヨネーズが一番だろうな。リンカちゃんに聞いてみて、そういう食品がなければパンのお供に一さじどうだい? と売り込んでみよう。酢はあるのは確認しているし、後は卵が手に入るかどうかだな。あとできれば隠し味にはちみつも欲しい。高価だが、高級マヨネーズにははちみつを入れて甘みとコクのある一品に仕上がるだろう。

 と、鐘が鳴ったのでいつも通り二人分湯を用意してもらう。さて、今日もしっかり動いた分、体には赤が溜まり、汗をかいた分だけ服には汚れが溜まっている。そろそろ服も洗濯の時期かな? 

 昨日と同じくセルフィとお互いの背中を拭き合った後背中合わせになって、自分のあちこちを拭いて綺麗にする。ふと、子供特有の甘い乳酸菌発酵のような香りと混じって、女性が発する特有の香りがする。

 まだセルフィも子供ということなのか、それとも女性に変わりつつあるお年頃なのか……どっちにせよ、まだぎりぎり同室寝が許される年ごろではあるってことだな。

 少しもやもやしたものを残しながらも、綺麗に体を拭き終わって髪をそれぞれ洗うと、やはりシャンプー代わりになるものが欲しくなるな。しばらくはまだいいとして、段々髪の毛が重くなってくることだろう。

 RMTのレベルが上がってネットショッピングでも使えるようにならないかな? そうなればどこからともなく商品を取り出す怪しいおじさんにはなるものの、一大ムーブメントを巻き起こして王侯貴族にも売れる商品として並べ立てることもできるだろうに。できないことを嘆いても仕方ないが、ネットショッピングスキルを思いついて申し出なかった俺の落ち度だな。

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