Masuk結局ミニボアを3匹ほど倒し、心臓が動いてる間にできるだけ血抜きをしながら進んできたので思ったより時間がかかった。30分で間に合う道に40分かけて歩き、何とか2匹は血を抜いたが1匹は血抜きをしないままアイテムボックスに入れて持ってきた。
これはちょっと減額されるかもしれないな。でもまあ、セルフィが綺麗にさばいてくれたおかげで毛皮にもほとんど傷はついていない。肉の味にどうかかわってくるかだけが気がかりだな。
北門に到着して門で冒険者証を見せて通り抜ける。
「素人質問で恐縮なのだが、北門だけ他の門と違う理由で通り抜けが可能だったりしないのか? たとえばダンジョンから帰ってくる奴は魔石の袖の下で通れるようになるとか」
すると、意外な一言が返ってきた。
「北門はいつでも開いてるぜ。夜中にダンジョン行き帰りしたりする奴もいるし、ダンジョンの中じゃ時間もわからないからな。それが理由でダンジョンによりつく奴が減っても困るからな」
何それ今知った……行きがけに聞いていればもうちょっと頑張れたかも……いや、でもこれはこれで夜の食事と湯に間に合ったんだからいいことにするか。
冒険者ギルドに立ち寄って、ダンジョンへ行ってきたので換金を頼む、とざらざらと魔石を取り出す。種類ごとに分けて渡したのでちょっと不思議そうにしていたが、全部で銀貨2枚と銅貨56枚分になった。かなりの稼ぎだな。二日分とまではいかなくても、一日半ぐらいの稼ぎにはなったか。今夜は……白いパンが食べられるな。
「よし、今夜は白パンの定食にしよう。自分たちに頑張った御褒美だ」
「やった! 今日は顎が痛くならないんですね! 」
セルフィでもやはり黒パンは顎に来るらしい。ちょっと帰りも早かったとはいえ、今の自分たちには十分な稼ぎといえるだろう。
続いて、ギルドの解体場にミニボアを三匹、うち二匹は血抜き済であることと、一匹は殺して血抜きせずにそのまま持ってきたことを伝える。すると、血抜き無しは2割引きらしい。つまり、この一匹は銅貨8枚、残り二匹は銅貨10枚の支払い、ということになる。それの解体結果書を受け取って、もう一度受付に行って解体結果書を渡し、銅貨28枚を受け取る。
一日で銀貨2枚と銅貨84枚。一泊で銀貨1枚、ご飯夕食豪華で64枚、お湯で4枚……まだ、装備品代が稼げてないな。とりあえず今日は良いとして、明日は何するか……
「セルフィ、明日は何したい? 」
「明日は……稼げたのは今日のほうが多かったのですよね? 」
「確かにそうだが、昨日は短い時間であれだけ稼げたからな。もしも朝から東門で作業してたらかなりの儲けになったはずだ。こっちは血抜きさえしてしまえばどんどん倒していけるし、血抜き無しで2割引きでも、数を稼げば行けるともいえる。血抜き無しでもミニボア35匹倒せれば今日と同じぐらい稼げる。35匹で済むと言えばそれなりに楽に見えるな」
「ご主人様は計算速いですね。すごいです」
そういえば、計算が速くなるスキルも知らないうちに取ってたんだったな。どうやらこっちの世界では誰でも持っている、というわけではないらしい、高速計算スキル。
「さて……明日のことはともかく、今日の贅沢の話をするか。今日は美味しいものを食べてしっかり眠って……それから明日何をするか考えよう。むしろ、他に何ができるかを考えることもできるからな。探索や冒険以外でも何かしら金を稼ぐ手段、仕事をする手段があればそれに越したことはない」
冒険者ギルドの掲示板を見ながら、どんな仕事があるかも見る。冒険者にはいろいろな仕事があるらしい。猫探しから特定のモンスターの討伐依頼、それから常設依頼でも、常設の中の特設依頼というものもあるらしい。
ミニボアを30匹集めてほしいとかそういうのもあるようだ。どうやら料理の品評会があって、その品評会向けのミニボアをまとめて仕入れたいとかそういうものらしい。料理か。マヨネーズとか作ったら需要あるんだろうか。ちょっと夕食時にリンカちゃんに聞いてみるか。もしかするといい宿と食事の恩返しに何かできるかもしれないしな。
さすがに調味料開発という依頼はなかった。まあ、そんなものがあるとしたら料理の品評会の前に完成させなきゃいけないだろうから、今更募集することもないだろうな。
一通り依頼を眺めてから銀の卵亭に戻る。こっちへ来る前に読んできた「これだけ詰め込め! 異世界に行ったときにチートできる知識100選」の中にあったもので実現できそうなのはマヨネーズと石鹸、リンスと香水、ぐらいか。ジャガイモの普及とかは普通にしてそうだからな。ここでは食事に出ないだけで、市場に買い物に出かけたら普通にありそうなものではある。
部屋に戻って夜の鐘が鳴り始めるまでまだ少しあるので、まだ明るい今のうちに武具の手入れをしてしまおう。剣先を水で洗った後オイルを軽く塗って、なじませて錆びないようにしていく。そういえば、植物油がこうやって手に入るということは、石鹸も作ろうと思えば作れる、ということか。苛性ソーダがなくても灰の上澄み汁を使えば作れるが……問題は完成するころには俺は旅立っているということだな。
やはり手軽で即日効果があるものとしてはマヨネーズが一番だろうな。リンカちゃんに聞いてみて、そういう食品がなければパンのお供に一さじどうだい? と売り込んでみよう。酢はあるのは確認しているし、後は卵が手に入るかどうかだな。あとできれば隠し味にはちみつも欲しい。高価だが、高級マヨネーズにははちみつを入れて甘みとコクのある一品に仕上がるだろう。
と、鐘が鳴ったのでいつも通り二人分湯を用意してもらう。さて、今日もしっかり動いた分、体には赤が溜まり、汗をかいた分だけ服には汚れが溜まっている。そろそろ服も洗濯の時期かな?
昨日と同じくセルフィとお互いの背中を拭き合った後背中合わせになって、自分のあちこちを拭いて綺麗にする。ふと、子供特有の甘い乳酸菌発酵のような香りと混じって、女性が発する特有の香りがする。
まだセルフィも子供ということなのか、それとも女性に変わりつつあるお年頃なのか……どっちにせよ、まだぎりぎり同室寝が許される年ごろではあるってことだな。
少しもやもやしたものを残しながらも、綺麗に体を拭き終わって髪をそれぞれ洗うと、やはりシャンプー代わりになるものが欲しくなるな。しばらくはまだいいとして、段々髪の毛が重くなってくることだろう。
RMTのレベルが上がってネットショッピングでも使えるようにならないかな? そうなればどこからともなく商品を取り出す怪しいおじさんにはなるものの、一大ムーブメントを巻き起こして王侯貴族にも売れる商品として並べ立てることもできるだろうに。できないことを嘆いても仕方ないが、ネットショッピングスキルを思いついて申し出なかった俺の落ち度だな。
「それでは、お昼はごちそうになったのです。私はこの書類をさっそく提出しに行くので失礼するのです」 足早にイアンちゃんは去っていった。連絡係は忙しそうだな。これも俺のせいではあるんだが、定期的にチェックをする仕事、とすれば仕方がないのかもしれないな。「結局、どうなったのですか? 」 セルフィはまだ袖を握ったままだ。セルフィの手から裾を離させると、セルフィの目を見てしっかりと伝える。「どうやら、休みが17日延びたらしい。その間、こっちに引き続き長く滞在することになりそうだ。さらに延びるかどうかはわからないし、最悪逆に短くなることもあり得るらしいが……今のところは問題なし、ということになると思う」 そう伝えると、セルフィの目の輝きがあふれんばかりにまばゆくなった。「じゃあもうしばらく、ご主人様はご主人様でいてくれるのですね」「俺としては早くご主人様じゃなくてタカナシと呼ばれたいところではあるが……まあ、そういうわけだ、ちょっと長くなった程度だが、よろしく頼む」「はい! 」 セルフィと二人で喜び合って、迷いネコのスープ屋を出る。大銅貨3枚でうれしいことがあったと考えれば十分利益になるし、17日の延長の間に……ざっくり金貨2枚は稼げる。最終日にセルフィに残していく金額を除いて全部換金すれば、それなりの資産にはなるだろう。 現世に戻った後に税金もしっかりとられるだろうが、それでも十分な利益にはなる。こうなったら、こっちで資産家になってセルフィには満足なだけのお金を置いていって、それでもまだ俺の懐に利益が入るように稼ぎまくってやるか。 その為にはいろんなチート知識が必要だ。石鹸づくり、化粧品づくり、リンスづくり、ガラス製品の開発……をするにはビランザの町へ行く必要もあるか。一度行ってみたいな、ビランザの町。どこにあるかもまだわからないし、どのぐらいの旅費や日数がかかるかまではわからない。 訪れて、落としても割れない強化ガラスの製造方法なんかを伝授して、今度こそ春のパン祭りを開
「まず、軽いほうからですと、稼いだ金額の一定報酬の没収があるのです。それではせっかく稼いだ意味がなくなるのでこの刑罰だけは受けないほうが良いと思うのです」 たしかに。だが、最悪すべてのお金をセルフィに託して帰っていく、という方法も取れるから、これについてはそれほど重荷になる刑罰ではないな。「その次に、有給休暇を使って働いているならば有給休暇を使うこと自体が罰、ということになるので、極端な有給休暇の日数削減措置が取られることがあります。これは最近あった事例ですが、有給休暇中に長距離トラックの運転手のアルバイトをして儲けていた人が、50日の有給休暇減を言い渡された事例がありますね。タカナシさんの場合、100日ぐらい行くかもしれません」 有休休暇中に働いたら罰則……そういうのもあるのか。有休を減らされてその上罰金まで取られるとなると、かなりのマイナスになるのは間違いないな。そうならないようにイアンちゃんを抱き込んでおく必要があるか。「あとは最悪の場合、拘禁刑にまで発展する可能性はあります。これはよほどのことがない限りは適用されることはなく、現時点でも過去の事例では一件しか存在しないらしいですが、何をしたら拘禁刑を申し付けられるほどの罰則を命じられるのかはわかりません。充分に注意してくださいね」 有休中に働いたら罰則どころか懲役か。そこまでの物になるのはちょっと想像しづらいが、そういう可能性がある、ということは覚えておいたほうが良いだろうな。 セルフィは足をぶらぶらさせながらこちらの話を真面目に聞いている。おそらく固有名詞や拘禁についてはわからないだろうが、罰金なんかは理解していると思われる。「ほら、だから働きすぎると悪いことも起きるんですよ。ご主人様はもうちょっと真面目に休むべきです。せっかく不労収入を稼ぎつつあるんですから、それにあぐらをかいてもっとゆっくりするべきです」「真面目に休むってのも変な話だが……まあ、とりあえず今日は休日だ。今後はよく考えて休むことにする……が、やることもそんなにないからな。娯楽は必要だな。もっと娯楽を世間に提供していくことを考
「見つけました、タカナシさん」 商業ギルドを出たところで、イアンちゃんに捕まる。なんか前もあった気がするな。イアンちゃんから用事があるってことは、アザーワールド社がらみ、つまり有休がらみの話である可能性は非常に高い。「おはよう、イアンちゃん」「おはようございます。今日はお仕事ではないんですか? 」 イアンちゃんが確認をしてくる。お仕事だったらこの間みたいに付き合いながらお話をする、という流れになるのかもしれないが、今日は休み、しかも昼時。ゆっくり食事をしながら話し合いができる時間だ。「暇だから問題ないよ。むしろどこかでご飯を食べながらゆっくり話をするぐらいの余裕がある。どこかイアンちゃんのおすすめのお店へ行こう。お金も今日は稼いだし、俺のおごりでもいい」「なるほどなのです。では、たまにはお言葉に甘えるのです。おすすめのお店は……この近くにスープの美味しい店があるのです。そこに行くのがいいのです」 もしかして、「迷いネコのスープ屋」ではなかろうか。ちょうどいいな。セルフィのほうを向くと、コクリコクリと肯定をしている。どうやら、イアンちゃんのお勧めに外れなし、と思っているようだ。「じゃあ、そこで。イアンちゃんのおすすめならハズレは引かないだろうからね」「信頼されていて何よりなのです。いくのです」 イアンちゃんについていくと、やはり行く先は「迷いネコのスープ屋」だった。今日はランチじゃなくて普通のスープを頼もう。さて、何味があるのかな。「三人で」「テーブル席にどうぞー」 案内され、テーブル席に着く。久しぶり……というほど間が空いているわけではないが、割と最近来たのでまだ店の雰囲気も覚えている。「お二人は来たことあるのですか。なんだか慣れている感じなのです」「実は先日二人で来たところなんだ。だから今日はランチ以外の違う味を試すチャンスかなって」「なるほどなのです。ここはランチ以外もお勧めなのですよ」 ミニボア肉の豆スープと、ガルキン肉出汁入りスー
商業ギルドに向かう。道中の、原料であるいろんな材木の香りを楽しみながら進む。木工工房も工房によっては作るものが違い、樽を作る工房、皿やフォーク、匙を作る工房、大工、荷車や車輪を作る工房、とそれぞれ作るものがある程度決まっている。 その中で徒弟に勉強をさせつつ、暇なときに他の仕事をさせるためにリバーシはちょうどいい小物らしい。あちこちの工房で作っているらしく、それぞれ工房の特色が出ているらしい。 それぞれ眺めてみたくはあるが、サンプルが商業ギルドにあるかもしれないな。商業ギルドで時間があればリバーシの台やコマの材質、ニスの厚み、触感などがそれぞれ違うものを用意されているのだろう。「さて、ラムーさんは何処にいるのかなっと……」 商業ギルドに到着して、カウンターでラムーさんを呼び出してもらうように頼む。居場所を探すのでしばらく待ってくれと言われたので、その間に商業ギルドの商品閲覧場所で、リバーシの台が何台か飾られていることを確認する。 銀貨数枚分の親方手作りの高級リバーシ台が並んでいるのを見る。値段は銀貨2枚から5枚ほどの価格帯が用意されており、数がそんなにないことを見ると、売れているのか、それとも参加している親方が少ないのか。その辺はラムーさんに聞けばわかるな。 やはり、底値は銅貨35枚というのが手習い価格らしい。このうち3枚は俺の取り分、ということだろう。木工工房の取り分がいくらになっているかはわからないが、ちゃんと金を払ってくれているのならいいな。 しばらくして、目の保養をし終えたぐらいでカウンターから呼び出しを受け、戻っていく。「申し訳ありません、ラムーは現在マヨチュッチュに行っているようです。急ぎの話でしたらそちらへ向かっていただけると助かります」「そうですか、わかりました。時間もありますしそちらへ向かおうと思います」「お手数をおかけします。よろしくお願いします」 受付を離れ、商業ギルドを出る。「セルフィは使ってみたいリバーシ台はあったか? 」「そうですね……綺麗な台はありましたが、使っている間
木工ギルドを後にして、モクロク親方のところへ向かう。木工工房が立ち並ぶ木工工房区までくると、色んな木材の香りがして、なんとも森に入ったような気持ちにすらさせられる。「このあたりへは初めて来ますね。いろんな木の匂いがします……あと、何かツンとした匂いもしますね」「おそらく、保護剤や接着剤だろうな。表面に塗ったりすることで長持ちさせたりする効果がある薬品だと思う」「よく知ってますねえ。さすがご主人様です」 二人でブラブラ木工工房をいくつかのぞき込みながら、モクロク親方の工房へとたどり着く。「おはようございます、タカナシです。モクロク親方いますか? 」 声をかけると、見覚えがある徒弟さんが顔を出す。「あ、タカナシさん。ご無沙汰してます。親方なら今特注品を作ってるので声をかけるのはちょっと」 徒弟さんが声を小さくしてモクロク親方に聞こえないようにしている。どうやらかなり集中して物作りをしている様子で、かなり細かい彫刻などを行っているのだろう。 徒弟さんがそれだけ神経過敏になっているということは、邪魔したらノミの一つでも飛んできそうな具合、ということかもしれない。俺も大声を出すのは控えよう。「実は徒弟さんに相談があってね。ちょっと木工ギルドでも確認してきた話なんだけど」 声のトーンを落として会話をする。セルフィと徒弟さんと三人で、膝を突き合わせて会話をする。「リバーシ用のコマを失くしちゃってさ。木工ギルドにスタンダード用のばら売りのコマがないか確認したら売り切れだって言われたのよ。もしかしたらこっちには予備がないかなと思ってきたんだけど」「なるほど、そういうことでしたか。確かに、バラ用のコマもこっちで作って木工ギルドに納品しています。いくつかでしたら融通が利くと思いますが、いくつ御所望ですか」 いくつか融通してくれるらしい。足りなくなるたびに木工ギルドかここへ足を運ぶのは面倒くさいな。まとめて五個ぐらい注文してしまうか。「じゃあ……5個いけるかな」「わかりました
いつもの朝が来た。昨日は大変だったが、今日もいつもと変わらぬ風景を与えてくれている太陽に少しだけありがとうの祈りを込める。 セルフィはいつも通り寝ているので、今日も先に起きて、ドアをきっちり閉めて身支度に井戸のところへ。昨日はしっかり体を動かしたし、ゴブリンとも戦って多少服に臭いが残っている。今日は戦闘服を洗ってしまおう。 どうせ今日は着ないのだ、洗ってドライヤーで乾燥させて、綺麗にして、また明日からの仕事に使うでも問題ないだろう。 顔を洗って歯磨きをして、戦闘服と肌着を石鹸で洗い始める。しばらくするとメリーさんが通りかかったので挨拶。「おはようございます、メリーさん」「おはようございます、タカナシさん。セルフィちゃんは? 」「まだ寝てますよ。もう少しすれば起きて……あ、今起きてきましたね」「おあよーございましゅ」 いつも通り寝ぼけたセルフィが水汲みにきたので井戸から水をとりだし、寝ぼけた顔の横に置いてやる。セルフィは寝ぼけた顔に水をぴしゃりと何度かかけて顔をごしごしとこすり……そして、眠気の取れたいつもの顔に戻った。 セルフィが顔を洗って房楊枝で歯磨きをしている間に洗濯を終わらせ、部屋でドライヤーをかけ始める。しばらくすると、セルフィも洗った服を持ってきたので、同時にドライヤーをかけてまとめて乾かしてしまう。「……そろそろ乾いていると思います」「そうか、どれどれ……まだ端っこが湿ったままだな。端っこを集中的に乾かしていこう」 脇の部分と裾の部分を集中的に乾かし、触って湿っぽさがなくなるまでドライヤーを使い続けて、服を乾かし終わったところで朝食を取りに食堂へ。「おはようリンカちゃん、朝食二つね」「おはようございますタカナシさん、朝食二つー! 」「あいよー」 親父さんの反応を聞いて席に着く。お通しこそ出ないものの、今日は白パンがあるかどうかは悩ましいところだな。 しばらくして、親父さ
教えたがりのおじさんから情報を得て、食事も無事にし終えた。どうやら四層ではコボルトフェンサーやコボルトバーサーカーなど、より戦闘意欲と武器の鋭いモンスターが襲ってくるらしい。とりあえず三層に降りてみて、そこで戦えるかどうかを確認したほうがいいだろうな。「さて……二層の地図も出来上がったし、三層まで行ってみるか」「大丈夫ですか? 三層のモンスターはより強いとさっき聞きました。ご主人様はまだいけますか? 」「二層でも大丈夫だったし、三層もきっと大丈夫だろう。とりあえず行くだけ行ってみて、ダメそうなら戻ればいいさ。今
次のコボルトを探す。探さなくてもその辺にうろうろしているが、この中で一番近いコボルトを探す。できれば同時に三匹以上の集団には出会いたくない。こっちは二人、同時に相手にできるのは二匹が限界だ。 もっとこなれてくれば複数モンスターにも対処できるようになるかもしれないが、こちとら戦闘はまだ三日目なんだ。そこまで手慣れたベテランでもないし、もしかしたら戦闘開始三日目でダンジョンに潜るというのも無謀な話だったのかもしれない。しかし、実際にできてしまっていることを考えたら決して無謀な策ということでもないらしい。 さて、俺の番だ。コボルトは決して大きい体格をしていない
パナメラのダンジョンに入場する。入った先では人が幾人もいて、臨時パーティーの募集やそれぞれの持ち物の確認、今日の探索予定などを確認していたりする。ダンジョンの中で確認していてもいいのかとも考えたが、どうやら第一階層はモンスターが出てこないらしい。さすが初心者向けダンジョン、緩いものだな。 実際に活動するのは一層の途中から、ということらしい。楽しみにしすぎて地図も何も持ってこなかったおかげで、自分で地図を作りながら進まなくちゃならないな。「とりあえず奥へ行くか。この辺はまだ安全というより何も出ないらしい。モンスターが出るところまでまず行こう。戦ってみてから
朝が来た。相変わらず日の差し込みやすいこの建物の一室は、俺の目を直撃するように日が入ってくるので、目覚ましとしては中々に性能がいい。 ふともう一つのベッドに目をやると、セルフィが丸くなって眠っているので、もう少し寝かせておいてやるかと一人起き出し、トイレと顔洗いを済ませる。ボットン海綿トイレにも三日目にして慣れた。二日目は気になった、服に染み付いた自分の匂いも気にならなくなった。やはりこういうところではいかに早く慣れるかが大事だ、と神崎さんも言ってたっけ。 井戸から水を汲んで顔を洗うと、口もすすいで後は磨き砂でも口に含んで歯のほうも綺麗にしておく必要があ







