تسجيل الدخولコボルトファイターは武器も立派な割に動きのほうがついてこれてない。それが分かっただけでも儲けだ。もし、こちらのほうが確実に早く動けるならば一方的にボコることができるので美味しいモンスターだと言えるだろう。
だが、コボルトスカウトは斥候と名前がついている以上、素早いモンスターである可能性が高い。ナイフも持っているようだし、それだけ危険であるかもしれない。苦手なのはこっちかもしれないな。
しばらくコボルトファイターを倒して三層をうろうろしていると、コボルトと同じぐらいの大きさでナイフを持った、コボルトっぽいものがタタタッと駆け寄ってきた。自然に出てきたので普通に見逃しそうになったが、こいつはモンスターだな。
これがコボルトスカウトか。確かに素早い動きをしてくるモンスターであることに違いはないだろう。そのまま近寄られてすれ違いざまに切りつけられるところだった。危ない危ない。
「こいつ……環境に溶け込んでいるな」
試しにショートソードを振ってみるが、ナイフに阻まれる。コボルトファイターよりやはり幾分か動きが早い。
「むむむ……戦いにくいぞ」
ショートソードを突き入れるが、なかなか当たらず再三躱され、やっとのことで一撃を入れる。しかし、コボルトスカウトはその分体が弱くできているのか、一撃入れただけで黒い霧に変わっていった。コボルトよりも弱いかもしれない。でも、戦闘力はコボルト以上だったな。
「やりにくいぞ、こいつは」
「もっと素早く動けばいいんですよ。がんばってください」
セルフィがちょっとだけ無茶を言う。剣聖さまレベル2だと今のでも十分ゆっくりに見えるらしい。コボルトファイターとコボルトスカウトが今の俺たちのぎりぎり余裕で戦える範囲だ、ということだろうか。ここより下はさらに厳しいし、Fランクならパーティーで四層まで、ということなので、二人っきりの俺たちには三層でもちょいと厳しめなのかもしれない。
「よし。今日はここで鍛えていくか。これ以上厳しい所で戦っても効率が悪いだけだ。ちょい厳しいか、ちょい楽ぐらいなところで数をこなしていくほうが大切だし、収入になる。あんまり上の階層で戦ってても回数の割に収入が寂しい、ということにもなりかねないし、ここで何とか戦えるならここでしっかり稼いでいこう」
「そうですね、ご主人様にお付き合いします。次にレベルが上がったらまた考えるということで」
「そういうことでよろしく! 早速……コボルトスカウトか」
「まずは苦手意識を取り去るところが大事かもしれません」
◇◆◇◆◇◆◇
しばらく三層で戦い続け、コボルトファイターのほうはかなり楽に戦える勝ち筋が見えてきた。こうなると、後はコボルトスカウトといかにして戦っていくかが問題になる。結局頑張って追いついて倒す、という脚力と瞬発力に全振りした体の動かし方になったが、40代の体ならまだしも、20代のこの体なら多少の無理も効く。もし明日筋肉痛になったらという不安もない。
なんて素晴らしい世界なんだ……ぎっくりへの配慮や頭皮へのダメージを気にしなくていいのは非常に助かる。さて、ところで今どのぐらいの時間なんだろう。ダンジョンへもぐると時間の感覚がなくなるから困るな。腹時計に聞くしかないのが仕方ないところだ。
今日は少なめのご飯にたっぷりの運動だから、普段よりちょっと早めに腹時計が動き出すかもしれない。早めに動いて早めに気が付く。町まで歩いて30分あるし、そのぐらいでちょうどいいんじゃないだろうか。
「時計がないと不便だな。せめて太陽の傾きぐらいは気にしたいところだが……ここじゃ無理だな」
「時計なんて高級品、持ってる人なんてまずいませんよ。あの服屋さんぐらいじゃないですかね、持ってるとしても」
サイバルさんは確かに持っていても不思議ではないな。それだけの事業を手掛けているんだし、違和感なく懐から時計を取り出していそうだ。
「さて、そろそろ早いけど帰るか。なんか腹減ってきちゃった。お昼が少なめなのもあったけど、移動時間を考えたら早めの撤収でいいんじゃないか? 」
「そうかもしれません。私はご主人様にお付き合いいたします」
「じゃあ、帰ろう。今日もいっぱい戦ったし、むしろ数だけなら過去一頑張ったかもしれない。コボルトファイター30匹にコボルトスカウト12匹、これだけで銀貨1枚ちょっとになるなら、ダンジョンで稼ぐのも悪くないってことになる。やっぱりダンジョンは稼げるのかな」
「かもしれません。ダンジョンに潜る人が減ると魔石の供給源がなくなって町も商売がしにくくなりますからね」
「その辺がまだよくわかってないんだよな。今日の夜にイアンちゃんも見に来るって話してたし、その時にゆっくり話を聞かせてもらうことにするか」
帰り道を急ぐ。急ぐ深い理由はないが、もしも外に出た時もう暗かった場合、日暮れまでに戻るという約束を破ってしまうことになる。それは非常にまずいし、暗い中帰るのは足元が見えなくて危ないかもしれない。月が出ていたらまだマシだが、月の出ない夜だと普通に迷いそうだ。これから何か時間が計れるような……そんなスキルはないのかな。
今度探してみるか。もしかしたら身につくかもしれないし、神崎さんも自分で身に付けられるスキルもあると言っていた。24時間で……とはいかなくても、12時間、6時間、日の出てる間、とそれぞれ段階を刻んで学べるかもしれない。日の出とともに起きてきているのだから、体になじませていくことで人間時計、みたいなスキルを学べるかもしれない。
急いでダンジョンを出て確認すると、日は傾き、いい感じの時間になっていた。
「おお、悪くない時間に出てこれたな。もうちょっと遅くてもよかったが、ゆっくり歩いて帰ってギルドによって魔石を現金にしてもらって、それから宿に帰って一息ついたらちょうどお湯をもらう時間にちょうど良さそうだ」
「ですねえ。今日はお疲れさまでした」
「お疲れ様、セルフィもよく頑張ったな」
頭を撫でてやる。気持ちよさそうにむふーっと息を吐きながら、その手に気持ちよさそうに肌を寄せる。しかし、昨日の今日で仲良くなりすぎじゃないか? 俺とセルフィ。二日前は目のハイライトがなくなっていた子がこうだぞ? 何かセルフィの琴線に触れるようなことをしていたのかもしれないな。
とりあえず、町まで三十分。道中にミニボアでも居たら狩って帰るか。血抜き作業は町に戻ってからやることにすれば、減額こそされるものの買取拒否ということもないだろうしな。
side:アザーワールド社 イアンから提供されたアンケートはその日のうちに会議にかけられ、アザーワールド社内でも問題となった。即座に銀行口座に対して照会がされ、小鳥遊が金銭を稼ぎ副業として立派に稼いでいることと、その金額が十分に大きいことがクローズアップされ、話は更にややこしくなった。「ふむ、では小鳥遊氏は満喫していることは確かなのだな? 」「それは間違いないでしょう。ただ、休みに行ってるというよりは出稼ぎついでに休んでいる、という形になっている可能性が大きいと考えられます。本人満足度が非常に高いのが返って不思議なのですが」「有休を320日も溜める男なんだ、普通に休んでいる感覚で仕事をしているのか、もしくは仕事と私生活が不可分な御仁なのかもしれないな」 社内ではそれぞれ会議内で意見が出され合い、この事態をどうするかについての協議がなされた。小鳥遊が稼いできた金額は二十日で彼の平均賃金のおよそ三カ月分以上。 有給休暇中にこれだけの資金を稼ぐのは明らかに副業である、という判断ができるだけの金額になっているため、厚生労働省に問い合わせるまでもなく、彼の有給休暇時間は再考の上で延長される可能性は高いとみられている。「10日のうち、真面目に休んでいるのは2日だけ、ということか」「おそらくは、現地で生活するための資金を稼いで、その余裕を貯蓄の形で回したのだと思いますが、何をしたかまでは今回アンケートの内容に含まれていないため、抜け落ちや不足があるものだと思われます」「神崎君、現地監視員からの詳細報告を求めることはできるかね? 」 上司からそう質問された神崎は、正直に答える。「今回のアンケート結果について、場合によっては有給休暇の延長が認められる可能性がある、という話については既に小鳥遊さんも知っている、ということですので、それを前提としたアンケートを再度行って、正式な事実として積み上げることは可能ですが、この様子ですと、ここ19日の有給休暇、そして18日間の異世界行きの時間に対して、比率換算すると4日しか休んでいない、という計算に行き当たります」「ふむ…&hellip
メリーさんのところへ行き、次の10日分の宿泊代金である大銀貨1枚を払う。「順調に稼いでるようで何よりだねえ。その調子でいつも通り長く居てくれると嬉しいね」 メリーさんがそろそろ更新日付だということを覚えていてくれたので、次の区切り日までの延長ということになった。メリーさんとしても、親父さんとしても、マヨを安く仕入れることができるということでメリットはあるはずだ。「あと、桶をいくつか借りるね。ちょっと今日は全身ピカピカにしてみたいもんで」「今の時間ならいいさね。お湯を沸かす時間までに帰してくれれば自由に使ってくれていいよ」 許可を得たので、井戸で水を汲んで部屋に持ち込み、部屋の中で火魔法でぬるい湯にまで温度を高める。気持ちいい温度になったところで、服を脱いで全身に水をなじませた後、石鹸で体を洗い始める。「うん、ちょっとビリッとくるが、このぐらいは許容範囲かな。レンモの香りもするし、泡立たないのはそれだけ体が汚れてるってことだろう。スポンジみたいなものがあればより良かったかもしれないな」「すぽんじ……とはなんですか? 」 スポンジを知らないのは当たり前か。ここの周辺には海もないし、海綿も珍しいものになるだろうから説明が難しいか。「泡を立てるのに便利なもの……かな。石鹸を泡立ててから体を磨いたほうが効率的に体を綺麗にできるんだがな。手ぬぐいより便利なものが今のところ手持ちにないから、諦めておくしかないかな」「ぬるぬるしますが、このぬるぬるが大事なんですよね? 」「ちゃんと水で溶いて、泡立ちを……と言いたいが、俺もセルフィも体がそれなりに汚れてるから泡立たないのかもしれないな。毎日定期的に綺麗にしてると、泡が立ってなかなかに気持ちいいんだが」「むぅ、そうですか。じゃあせめて全身綺麗に洗って、その後洗い流してレンモの香りがするようにしましょう」「それだけできれば十分かな。さて、そろそろ洗い流すか……って、桶を複数個借りてて正解だったな。垢で桶の中が凄いこ
どうやら、俺がゴブリンの耳を査定にかけた段階で第一報はフェリクスさんに伝わっていたらしい。そして、査定とカウンターで報酬の支払いと相談をしているうちに情報が伝わって、あらかじめ事前情報を共有。そこまではできているらしい。仕事が早いな。「えっと……このあたりで一匹、その後このあたりでもう一匹、それからここで一匹、この時点で戻ったのでこの先は不明ですね」「なるほど。つまり、この間には巣がある可能性は低い、というわけですね」 俺が通ったルートをたどり、フェリクスさんが書類の上に魔石を置いて場所を絞り込んでいく。「セルフィが一緒に居るので、もし巣に誘い込んで俺を引き離して襲おうとしていた場合、もっと早く仕掛けてくる可能性があったはずです。なのでここまでは安全ゾーンであると考えます」 アライ草を採りに行っていた範囲を丸っと安全圏ではないか? と判断する。巣があるとしたらその先の可能性が高いだろうと意見を具申する。「確かにそうですね。だとするとこの先にあるかどうか、探しながら行かなくてはなりませんね。本来ここにはゴブリンは生息していないんですよ。仮に住み着いたとしても、街に近すぎますので、駆除対象にしなくてはいけません。これがもっと遠くや、薬草群生地の近くでなければ問題はなかったのですが」 ゴブリンの発生場所について詳しく教えてくれている。今後も似たような場所にゴブリンが出た場合には参考にしろ、ということなのだろう。フェリクスさんのほうをちらっと見やると、こくりと頷く。そういうこと、ということなのだろうな。「一つ質問があります」 早めに聞いておこう。この後数日かけての作業になる可能性もあるからな。「なんでしょうか」「ゴブリンの巣の特定が必要になった場合、我々も特定のためにギルドの指示を仰がなければならないのでしょうか? 」「そうですね、手伝いをしてくれるなら一番ありがたい、というのが正直なところですね。やはり一度現地を知っている人物が追い込みや索敵、追跡をしてくれるほうがありがたいのが確かです」 こっちは初めて出かけた場所だから詳しくない
カウンターへ行く前に、今度はモンスターの査定を行う。ゴブリン二匹分だけだが、金になるならこれもちゃんとした収入。それに、あんまりアイテムボックスに入れておきたいものでもない。 査定カウンターにゴブリンの耳を持っていき、渡す。「ゴブリンの耳ですね……これをどこで? 」 査定嬢の目がぎらつく。ゴブリンがすぐそばに繁殖しているというなら大ごとだろうし、そうでなくても街の近くにいたという話だけでも大事なことだろう。「西門から南西に30分ほど行ったところでゴブリンが最低3匹はいることは確認しています。その内の2匹の分ですね」「残りの1匹はどうされたんですか? 」「こちらを警戒して罠を張ってる可能性があったので、下手に会敵したり戦闘をしないうちに撤退してきました。できるだけ警戒して帰ってきましたが、付いてくる様子はなかったので気づかれなかった可能性のほうが高いですね」「なるほど。その話、帰ってきてから誰かにしましたか? 」 査定嬢が更に確認を重ねてくる。報告はしたか、ということだろう。「ここで話しているのが最初です。誰に報告したらいいのかもわからない新人なので、専門の部署があるならそこへ相談しに行くのですが」「わかりました……と、カウンターで支払いを受ける際にこれをついでに渡してください。担当部署への引継ぎのサインになります。細かいお話はそちらでお願いします」 査定嬢からは耳二つ分の査定金額が記された査定結果書をもらう。 ゴブリン 2 どうやら、シールドゴブリンと普通のゴブリンに差はないらしい。いくらになるかは受け取るまで分からないってところだな。まあ、ダンジョンのモンスターより安いということはないだろう。 カウンターへ行って薬草の査定結果を渡す。カウンターでは薬草査定結果を確認して、銀貨7枚と大銅貨1枚を渡される。これで今日の稼ぎは銀貨9枚と大銅貨1枚となった。最近の稼ぎからすれば多くはないが、7日分の宿泊代金と考えれば安いものだ。 ゴブリンの左耳はどうやら一匹当たり銅貨5枚と
ここまでで出てきたゴブリンは二匹。そもそも偶然ゴブリンが出現した、という可能性はまだ否定できない。初心者冒険者がゴブリン二匹と出会ったからと言ってそれを元に巣ができたかもしれない、と引き返してくるのはありがちかもしれない。 だからといって、このまま次のゴブリンを探して彷徨ってる間にゴブリンの計略にはまって囲まれて……という可能性もある。ここは深追いせずに、薬草採取のついでにゴブリンを探す、という方向を続けているほうが良いな。 もうちょっと街に近い位置にまで戻ってアライ草を探す。そして、そこでゴブリンがもう一匹出てきたら、これはゴブリンが街の近くで繁殖している可能性が高い、と冒険者ギルドに報告する流れのほうが良いだろう。 こっちは二人しかいないんだ、集団戦に持ち込まれたらあっという間にのされてしまうだろう。いくら剣聖だとしても、ゴブリンが十数匹、数十匹と現れてくるような状況では限界もある。まだ剣聖としてのレベルが高いとは言えないセルフィでは手に余るだろう。 そして、ゴブリンによって攫われてあーんなことやこーんなことに……うむ、許せん。ゴブリンはすべて殲滅しなければならないな。そのためにはきちんとした手順を踏まないといけない。 俺とセルフィの力をもってすればゴブリンなどたかが低級モンスター……と言い切れるほど腕に自信があるわけでもない。世の中の流れや手順、ルールにはできるだけ従うべきである。 もしも、ここで討伐をしなかったり巣を放置したせいで少なからず損害が出るんだとしても、街の西側なら何もないし、あえて言うなら採石場があるのみ。 ゴブリンが石に興味を示すとは思えないので、ゴブリンがより繁殖してから襲ってくるか、通りかかる民衆を襲うのがせいぜいだろう。 その前に短期決戦でゴブリン退治をする、というほうが期待に応えることができるだろう。その為には報連相、無理に自分たちだけで解決しようとせず、冒険者ギルドに報告する。 そして、俺たちより使える安全なパーティーが偵察を行い、ゴブリンの巣を発見して駆除の流れをきちんと作ってもらうほうが大切だ。
西門にたどり着き、外に出る。出るときに衛兵がいつも通り話しかけてきた。「冒険者が西門に用事があるのか? 」「薬草を採りに行くんですよ。西門からのほうが近くて」「そうか、夜の鐘には遅れないようにな」 納得したらしく、そのまま見送ってくれた。ちゃんと仕事をしていてえらい。そのまま西門から南西方向に道を外れて、採石場とは道を挟んで反対側に行く。 まだ採石場として稼働していないが、今稼働している採石場から石を取り切ったら、こっち側が今度は採石場になるんだろうな、というようなイメージの岩場を歩く。道はないので適当に岩に昇って……そして、岩陰にこっそりと生えている草を鑑定する。 草からは「僕アライ草です、こんにちは。良く育ってます」と返事が返ってきた。アライ草はこんなに近くでも取れてくれるのか。ただ、鑑定で調べる感じ……と、お? 今ので鑑定のレベルが上がったらしい。 範囲鑑定ができるようになって、周辺の地形の中にどんなものがあるのかが遠距離でもわかるようになってきた。ついでに、さっきの鑑定結果のアライ草の返事を見る感じ、状態変化も把握できるようになったらしい。「セルフィ、鑑定のレベルが上がったぞ。これで離れててもどこに薬草が生えてるのかわかるようになった。いちいち近づいて見たり抜いて観察しなくていいのは楽だな」「おめでとうございます。これで楽に稼げますね」「そうだな、しっかり育ったアライ草だけを抜いていくことにしよう。アライ草の育ち具合も見られるようになったからそこも楽になった」「鑑定だけで食べていけるようになったんじゃないですか? これでお休みを増やしてもいい感じになりましたね」 セルフィはニコニコと嬉しそうにしている。お休みが増えるのを楽しみにしているらしい。確かに、自分の自由になるお小遣いも増えたし、お休みに買い食いするとか楽しみたいことはそれなりにあるだろう。「それだと鑑定やってる婆さんの商売敵になっちゃうしな……鑑定で飯を食っていくつもりはないよ。それに、レアなスキルを持っ
奴隷商で茶を出される。ちゃんと商売をしている以上飲み物に何かを混ぜられたりはしていないし、鑑定で鑑定してもただの茶葉……といってもそれなりに値段はするらしいので、これは客だ、と見込まれて出されたことになる。普通なら水か白湯、というところだろう。「さて、まずは奴隷を探しに来た理由を聞こうか」「知り合いの子が昨日奴隷として売られていたのを見た……では理由として薄いか? 」 知り合いではないし、一方的に知っているわけでもない。ただ、出自は俺と同じだろう、ということだけがわかる。そんな微妙な
翌日、朝日の出とともに目覚める。角部屋で窓にカーテンがないためだが、それにしてもまぶしい部屋だなここ。誰だこんな部屋借りたの……俺か。 二度寝を決め込もうとも考えたが、今日は大事な日だったな。これは寝てはいられないし、微妙に日当たりが良すぎて暑くもなってきそうだ。よし、起きるか。 昨日履いたパンツを、井戸の横に設置されていた、桶と洗濯板で洗う。ここで洗い物していいんだよな……? パンツだけは毎日替えないと気分悪いからな。洗ったパンツは後で干しておこう。 パンツの洗濯が終わったところで
ちゃんと日が落ちる前に南門から街中へ帰る。「お、ちゃんと帰ってきたな、えらいぞ」 門番からはちゃんとお使いできてえらい! と褒められた。40過ぎのおっさんが、だ。でも、新人冒険者には違いないからな。言われたことをきちんと守るのも冒険者の務めなら、今日一日は立派に過ごせたということになる。 にしても、腰を痛めなくてよかったな。最近は歳のせいか、ぎっくりの気配が近寄ってくると、察知できるようになってきたが、今日は中腰仕事を半日してもいつもなら現れるであろうぎっくりの気配がかけらも来なかった。これも異世界転移特典だったりしてな。わはは。
30分待つことなく、武器だけ買いそろえた俺は南門へ向かった。その場で先に待っていたイアンちゃんと合流する。イアンちゃんはさっきより一枚二枚多く着込んだような服装で、頭には軽めの帽子をかぶっていた。 腰にはしっかりナイフを持ち、戦う準備は万端という感じだ。 実際にはもっと重苦しい装備もできたんだろうが、薬草採取ならこのぐらいで大丈夫だろう、という感じだな。「早かったですね。そういえば、武器も持たせずに待ち合わせに来てしまいました。今から急いで武器だけでもそろえに行きますか? 」「いや、アイテムボックスに入れてある。この通り」







