ログインside:セルフィ
奇妙なお兄さん……私のご主人様、タカナシさんとの生活も二日目になった。思えば、初日にいきなり剣を持たされてさあ、振ってみろと言われたのはかなり無茶だった気がします。
でも、剣を持たされた私は急に世界が広がったように見えて、そしてモンスターの動きもゆっくりに見えて。まるで剣が私を欲していたかのように動き出すことができました。
戦うのは初めてだったけれど、それでもこの上なくうまくいった気がします。これが剣聖というスキルの効果だったのでしょう。
私にそんなすごいスキルが付属していたのはびっくりですが、父の同郷の人間だったという理由だけで私を引き取ると言い出した、その度胸にもすごいものがあります。
おそらく、同郷なのはほんとうなのでしょう。父が黒髪黒目であったという話とも一致しますし、でも、父は遊び人だったそうですから、もしかしたらその尻拭いに現れたのかもしれません。
とにかく異世界? という別の世界から来て、あと300日ぐらいすればその異世界に帰ってしまうそうですので、それまでに私を独り立ちさせて、立派な冒険者として、もしくは一人でも暮らしていけるように色々と整えてくださるそうです。
しかし……私もその間に捨てられないようにとは言え、できるだけ友好的な関係を築こうとしなければなりませんね。いくら借金奴隷とはいえ、反抗的な態度やギリギリできる範囲での拒否を続けているようでは、また奴隷商に逆戻りさせてしまうかもしれません。
あそこにいるよりは、まだご主人様のそばにいるほうがいろいろと楽です。
なにより、三食きちんと食べられて体も拭けて、自分のベッドで眠れるという幸せに比べればそれぐらいたやすいことです。私も、きちんと学んで真似できるところは真似していかないといけません。
本人は気づいていないようですがご主人様はいくつもスキルを持っているそうです。
ひたすら歩き続ける能力や暇つぶしができる能力、高速で計算ができる能力、戦闘にすんなりなじむ能力、それから、まだまだ色々知っていることも多そうです。
きちんと生活費を計算しながら生活できているようですし、しばらく食べていくには困らないだけの計算はできる様子ですので、私ともども暮らしていくことはできるでしょう。
何より、ご主人様は私を奴隷扱いしていません。食事も一緒のタイミングで取りますし、その……着替えやお湯を借りるのにも一緒のほうが都合がいいとはいえ、同じ桶を使いますし、奴隷ごときがご主人様と同じ待遇で生活できると思うな、といった一般的な奴隷の扱い方を承知してないように思えます。
本来奴隷なら、よほどの理由や時間がないなんて話ではない限り、奴隷と共に食卓を囲むなんてことはあり得ません。一部の商人や時間がない役人なんかだとあり得る話ではある、とは聞いていますが、そのあり得ないことを普通にあり得る話にしてしまっているのがご主人様です。
何を考えているのか、それとも何も考えてないのか。もしかしたら、普通に奴隷から解放した気分になっているのかもしれません。
まだ私は名目上奴隷です。奴隷から解放するには手続きと奴隷から解放する理由、それから奴隷解放にかかる手続きの代金を支払わないといけません。そこまでの支払い能力があるんでしょうか。
まだそこまで稼げるかわかりませんけど、自分を奴隷から解放するためにも、そして私が奴隷のまま置いていかれてまた一人ぼっちになっても大丈夫なように、しっかり稼いで役に立って、みんなの役に立たなければなりません。
剣聖の力があるから、モンスター狩りはできる。体は勝手に動いてくれるし、どうすれば倒せるかも分かる。後は、こんな時間がずっと続けばいいなと思っている。ずっとは続かないのは最初の日に教えてくれているのに。
なんだろう。胸の中からフワッと浮き上がるような、温かい感触が自分の中にある。背中を拭いてもらった時も感じたような、その感触は人の温かみというものなんだろうか。
母のことはあまり好きにはなれなかったけど、それでも母の悪口は許せなかった。それが自分を仮にも育ててくれた恩と、この人から生まれたんだ、という生きているというありがたみからだっただろうか。
結局母は生活費を賄いきれずに私を手放す結果になったけれど、私は母を恨んではいない。恨むなら父だろう。私を作るだけ作って、自分の時間が切れたからって、おそらくご主人様と同じ異世界に帰って、今でものほほんと暮らしているのだろうか。
もし出会うことがあるならば今までの分のお小遣いと数発ぶん殴るぐらいは許される気がする。でもきっと、父にもこっちの生活以外にもあっちの生活があって、異世界というところには家族もいて、奥さんもいるのかもしれない。そう思うと……何しに来たんだろう。
ご主人様もそうだが、この世界に何をしに来たんだろう。暇つぶし? その割には暇なく働いている。今日も昨日も日暮れぎりぎりまで働いて、しっかり働いていらっしゃる。お休みとは何なんでしょうか。
本当にこの人がお休みをもらうために異世界まで来たんだとするなら、きっと普段はもっと重労働や奴隷労働というにはよほど口に出せないような厳しい環境に身を置いているのかもしれません。
ご主人様は私にはとことん優しいです。もしかしたら他の人にも優しいのかもしれませんが、少し歳の近い娘としてみてくれているのかもしれません。だとしたら、甘えていいんでしょうか。
甘えすぎて突然豹変して「奴隷の分際でいい顔をするな」とか言い出さないですよね。その辺の境目をうまく探っていく必要がありそうです。私の人生がかかっています。しっかり探って怒られないようにしたいですね。
今のうちは、どんな反応にもちゃんといい子だなって思ってもらえるようにしましょう。なでなでされたら嬉しそうにして、褒められたら素直に応じて、ご主人様の頑張りにはきちんと頑張りを褒める。この方針で行こう。
後は……あとは何をするかわからないご主人様ですから、変なことをし始めたらそれをしっかり見定めて、何を求められているかをはっきり受け取る必要がありそうです。
後300日ほど、もしかしたらもっと早く抜け出させるかもしれませんが、タカナシさんの奴隷でいる間は素直に求められるものを差し出せるようにしないといけません。でも、もし体を求められたらどうしましょう。さすがにそんなそぶりは見せませんでしたが……
そろそろ帰り支度も始めようかという頃、モンスターがなぜか少しだけ強くなったような感覚に陥る。不思議だな? と思い、コボルトバーサーカーの鑑定を試みると、斧術のレベルが3になっていた。夜が近づくとモンスターは強くなるのかな。 でも、そんな注意書きはパナメラのダンジョンの本にはなかったな。だとしたらほかの原因で強くなった可能性があるな。モンスター同士で戦い合った、とか? しばらくその違和感をぬぐい切れず、次々にモンスターの様子を見るが、どのモンスターも強くなっている。そして、強くなったモンスターに苦戦させられつつ戦っていると、見慣れないモンスターの影を目にすることになった。 少しだけ立派な胸当てに腰に布を巻き、ショートソードよりも長い剣と盾を持つ、コボルトだ。コボルトに似合わぬ体格を持ち、俺ほどではないが十分な背丈と服装を持つコボルト。書物で見た、コボルトリーダーが四層に出てきていた。 コボルトリーダーは五層にしか出てこないはず。それが四層にまで上がってきているということは……活性化か? でも、去年活性化したばかりで、パナメラのダンジョンはほぼ五年おきにしか活性化しないダンジョンだという前情報は仕入れている。 それが今日今ここで活性化するということは、何かしらの異変が起こっている、と考えるのが正しいのだろう。冒険者ギルドに報告しないとな。「どうしますか、戦いますか」「出会った以上は戦うのが筋だろう。他にモンスターもいないし、二人でかかれば十分倒せるはずだ」 前に俺が出て、剣と盾のどちらかをふさいでいる間にセルフィがもう片方を相手にして、二人で相手にする。いくらコボルトリーダーといえど、俺とセルフィの二人がかりなら倒せないことはないはずだ。 コボルトリーダーに向けてショートソードで斬りかかりにいくと、コボルトリーダーは余裕そうな動作でこちらの武器を剣で受けた。そして、そのまま盾を俺に向かって突き出し、シールドバッシュの姿勢で俺を弾こうとする。 おそらくは、弾き飛ばした後で俺にできた隙を狙って斬り込んでくるつもりなんだろう。しかし、その隙間には今回はセルフィがいる。
引き続き四層を回る。楽にバーサーカーとフェンサーを倒す方法を見つけてからは、三層と同じぐらいのペースでモンスターを倒せている。 モンスターの生息数は少しだけ少ないが、この層でもらえる魔石が一個銅貨四枚だと考えれば、一時間に25匹倒せれば銀貨1枚分の仕事ができることになる。実際はもう少し多いので、銀貨1枚よりは稼げてるかな。「順調ですね。四層でこのまま回っていていいかもしれません」「三層でしっかり稼いだのと、これまで戦ってきた分だけレベルも上がってるしな。レベル二つ分の成長は伊達じゃないってことだな」「私も剣聖レベル……いくつなんですかね? そういえば覚えてないです」 セルフィが指で何個かを数えている。鑑定で観察し、セルフィの剣聖レベルを確認する。セルフィの剣聖レベルは6のままであっているようだった。「6で合ってるな。俺の鑑定がそう教えてくれている」「ご主人様の鑑定はレベルまで分かるのですか? 」「なんかわかるようになったらしい。ちょこちょこと鑑定使ってるから知らないうちにレベルが上がって使えるようになったのかもしれないな。鑑定もレベルがあるって話も初めて知ったが、まあ便利に使えるようになったのは間違いないな。しっかり細かく使って鑑定レベルも上げていこう」 そろそろ剣聖レベルも7になるんじゃないか? 今日中に上がる可能性は高いな。よし、まじめに戦っていくか。 この階層も他の階層と同じく、複数匹で出てくるパターンが少なくない。三匹出てくる場合はうまく二対二の状況を作ってささっと倒し、残ったもう一匹が戦いに参加する前に素早く倒す必要があるため、結構な時間勝負になる。 時間勝負になる分、素早くモンスターを倒すことになる。結果として周回効率も良くなる。二時間ほど集中して戦ったところで、セルフィの剣聖レベルが7に、そしてまた一時間ほどして俺の剣術レベルも7になった。 どうやら、剣聖レベルと俺の剣術レベルにはそれほどの経験値量の差はないらしい。火魔法をレベル3まで上げた影響は、ほぼ誤差の範囲に収まってくれているようだ。こうなったらあとは気になるのは一つ。レ
午前中めいっぱい、肩慣らしと称してコボルトスカウトとコボルトファイター相手に思い存分戦い尽くした。レベルもまた一つ上がり、これで剣術レベルが……6になったかな。 自分で自分を見て鑑定したので間違いない。セルフィは剣聖レベル6のままらしいが、6から7に上がるにはそれなりに時間がかかるらしい。俺が剣術レベル6と火魔法レベル3の間ぐらいだから……結構かかる感じか。 そういえば、いつの間にか鑑定でスキルレベルまで見られるようになっているな。これも鑑定レベルの上昇の影響とかだろうか。午前中の仕事を終えて、一層の安全地帯に戻ってそこで食事。今日は黒パンのサンドイッチだ。ちゃんと両面を軽く炙ってくれてある。 冷えたそのままのパンを硬いまま食べることはせず、アイテムボックスの効力で温かく辛うじて柔らかい食感を残しつつも、焼いた肉と野菜の味わいもそのままに食べることができている。「今日のは食べ応えがあります」「さすがに少ないと言ったら一個分多めに入れてくれるようになったみたいだ。後でお礼を言っておかないとな」「そうですね、催促したみたいでなんだか悪い気分です。でも、リバーシでお客さん読んだりマヨで儲けさせたりしてますからそこはイーブンですよね」「むしろ、マヨで儲けさせてる分だけ向こうのほうが美味しい思いをしているはずだ。その分昼食でサービスしてもらっていると思えば悪い気はしないな」「……これにもマヨが塗られているみたいですね。なんか高級っぽいお味になってますよ。酸味があって美味しいです」 焼いたパンの内側に塗ったマヨ。そしてお肉の汁とまじりあってこれがなかなかにイケている。イメージ的にはウサギ肉のマヨレタスサンドイッチなのだが、ウサギ肉に塗られたソースがまたマヨと混ざり合って美味しさを引き立て合っている。「次はどんな食べ物にするかな……」「まだ何か美味しいものが出てくるんですか? ご主人様の頭の中にはどれだけの食べ物への情熱が詰め込まれているんでしょう。楽しみです」「まあ、思いついたらちょこちょこと作って出す……程度のものかな。まあ、材料があるかどうかはわからんからな。また市場調査して作
パナメラのダンジョンの本っぽい何かを読み終わり、元の位置に戻すと冒険者ギルドを後にして、そのまま北門へ向かう。北門では今日も門番が暇そうにしつつも、まじめに出入りする人間の身分確認を行っていた。「おつとめご苦労様です」 探索者証を見せてそのまま通り抜けようとする。……が、Eランクの探索者証を見せたとたん少し顔色が変わり、こちらに少しだけ圧をかけ始める。「ん? お前たち、この前までFランクだったんじゃないか? 気をつけろよ、Eランクになってすぐに怪我をする奴が多いんだ。パナメラのダンジョンへ行くんだろうが、無理に五層へ行こうとせずに体を慣らしていくんだぞ」 普通にいいおせっかいだった。ここは素直にお礼を言っておこう。「ご忠告どうもありがとうございます、気を付けます」「うむ、無事帰って来いよ」 門番もこうやって適度にコミュニケーションを取っておかないと暇なんだろうな。それでも、誰も守っていなかったらモンスターが大発生したりした場合の対応が遅れることになる。先日のようなミニボアやワイルドボアの大発生に対応するときも必要だろう。「暇なんですかね。もしくは新人冒険者には一言かける決まりでもあるんでしょうか」「さあな。さて、三十分歩く間にミニボアを狩りながら行こう。何もしないよりは金になる」 パナメラのダンジョンまで片道30分。セルフィとのんびり話をしながら行くのも悪くないが、それでは金にならない。 それに、30分も語るほどのネタはお互いにないのはわかり切っているし、思い出話はセルフィのトラウマを刺激する可能性があるので危険。だから、モンスター退治をしているほうが合理的といえるだろう。 草原部分からちらちらと見えているミニボアに軽く水魔法や土魔法で刺激を与えてやり、こっちを向いたところでミニボアを仕留めては、アイテムボックスから半分だけ出して血抜きをしながら歩く。そしてそのうちに血抜きが終わり血が止まると、完全にアイテムボックスの中にしまい込む。 これを繰り返してミニボアをできるだけ綺麗な状態でアイテムボックスにしまい込み、冒険者ギルドに
銀の卵亭を出て、まず冒険者ギルドへ。カウンターへ行き、受付嬢へ簡単な質問をする。「パナメラのダンジョンの地図とか、出てくるモンスターの特徴を知りたいんですが、まとめてある資料みたいなものはありますか? 」 受付嬢もその手の質問には慣れているのか、すんなり頭の中から知識を披露してくれた。「二階部分の書物棚にパナメラのダンジョンという名前そのままの本がありますので、そちらを参照されると宜しいと思います。事前に知っておけば怪我のリスクも減りますし、モンスターの強さにも対応しやすくなりますからね。無謀にもいきなりダンジョンへ行ってしょんぼりして帰ってくることに比べればかなり賢い行動だと思いますよ」 笑顔でちょっとハートに刺さるセリフを言ってくる。確かにそうだが、初日二日目と二回も何の情報もなしにダンジョンに突っ込んでいったことは間違いないので言い返せない。 早速二階にある、本棚二つ分ぐらいの書棚を調べて……あった、パナメラのダンジョンとだけ、本当に書かれている簡素な本……本というより、厚紙に挟んである紙束だな。それを取り出して、破らないように丁寧に扱って読む。 待ってる間セルフィも暇だろうし、ここは図書館と違ってお静かにとも書いてないので、読み聞かせて情報を共有する。 パナメラのダンジョンがいつからあるのか、という話と、商用利用されるようになった話やダンジョンからモンスターがあふれそうになった時期があるのかどうか。それから活性化……ダンジョンが活発にモンスターを出現させる時期がいつ頃になるのかなどが記されている。 ダンジョンも活性化という、いわゆるモンスターの繁殖期みたいなものがあるんだな。最近の活性化の時期は……どっかに載ってないかな。後ろのほうにとか……お、あった。 どうやら昨年度に活性化し、その前は5年前、さらに前は10年前と、ほぼ5年おきに発生しているらしい。ということは、しばらく活性化の可能性は薄そうだ。少なくとも俺がいる間に活性化が発生することはないだろう。
「ちょっと寄り道してから帰るか」「寄り道ですか? いいですけど、あてはあるんですか? 」 セルフィに少し話をしてから商業ギルドに立ち寄ってみる。すると、商業ギルドの入り口に大きく貼り出しがしてあった。「マヨ専門店、マヨチュッチュ、本日開店! 容器持ち込みで容器代サービス! 」 ネーミングセンスぅ……商業ギルド内で適当に決めたんだろうなという気がするが、しかしマヨチュッチュしたいほどのマヨ中毒者がいた、ということにはなるか。 場所は……ちょっとだけ離れたところになるか。食品を扱う店舗に近い場所にはあるので、各種の食事店や宿屋からのアクセスは悪くない場所ではあるな。ここで今後マヨを販売していくことになるんだな。「どれ……朝早くから開いてるかどうか確認しに行こう。自分が原因でできた店だし、どのぐらいの人や人気が出てるかは気になるしな。それが自分の収入に直結するならなおさらだ」「ご主人様のマヨがもう売られているんですか……これからは毎朝作らなくても、マヨチュッチュに来るようになればマヨが気軽に買えるようになる? 」「そういうことになるな。それを確かめにお店のほうに寄ってみるんだ。もしかしたらもう並んでたりして」「どうでしょうね……昨日の鳥騎士にも来ていた通り、マヨを配っていましたから、もしかしたら話題になっているかもしれませんね」 早速商業ギルドの案内図に従って……そして、途中から列ができていたので、すぐに店の場所はわかった。なかなかの長蛇の列。そして、入れ物を持っている人たち。入れ物は千差万別だが、同じような容器を持っている人も多いので、もしかするとマヨを配った容器なのかもしれない。「多いですねー……でも、順調に進んではいますからペースは悪くなさそうですね」 並ぶ列の先を見ていくと、食品店街に近い一角にそこそこの広さの店が営業を始めていた。どうやら急ぎで店を改装して、一刻も早く食事処に
今日は東門から出るらしい。東門から出るほうが草むらに近く、また薬草の採取場からは離れているうえにこちらはモンスターが出やすい方向だということらしい。東のほうに行けば行くほどモンスターも強く、ゴブリンの巣なんかもできやすいとのことで、戦闘を行う冒険者は大体東門から出ていくらしい。「さて、では行きますよお二方」 イアンちゃんが先頭に立って歩みを進める。「はい、イアン先生」「なんですかタカナシさん」「このあたりには何が出るんですか? 」「このあたりにはスライム、ホーンラビット、ミニボアの三種類が出
「とりあえず、冒険者として恥ずかしくない格好はしないといけないな……着たままの服一着だけでは洗濯もできないだろうし、サイバルさんのところへ行くか。服は……俺も一着しか持ってないけど、セルフィは女の子だし、洗濯して乾かしてる間の服も必要だろう。よし、まずは服、その次に装備、それが終わったら……時間があればお金を稼ぎに行こう」「はい、頑張ります」「とりあえず武器は……これを持っててもらうか」 アイテムボックスからショートソードを取り出
食事を終えた後、宿の部屋に戻る。メリーさんにはちゃんと今日から二人になるけど追加料金が必要かどうかを確認しておく。 どうやら一部屋いくらの計算らしく、よほどうるさくしたり人数を詰め込んだりしない限りは人数としてカウントしないらしい。それにセルフィはまだ子供でもあるし、子供で一人にカウントするのは問題だ、ということのようだ。ここはメリーさんの温情に感謝だな。 部屋に戻り、まだ何もない部屋に移動すると、さっそくセルフィと正面に向かって話し始める。こっちは椅子に座って、セルフィはベッドに腰かけて、足をブランブランさせながらこっちに向いて話しかけ始める。
話し合いが終わり、さっきまでいた店員を呼びに奥へ顔を出す。「すまない、話し合いが終わった。この子を買い取ることにしたい。いくらだ」「そうですか。お決めになりましたか。この子は……正直なところ性格も暗く、まだ幼いのでこれから育つ分も考えると……金貨4枚というところでしょうかね」 指を4本、差し出してきた。「ちなみになんだけど、人が一年間生活するのにいくらぐらいかかる? 」 小声でイアンちゃんに確認する。「そうですね、家がある前提だと金貨2







