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第24話:三層でもまだなんとかなる

Author: 大正
last update publish date: 2026-05-06 07:00:37

 教えたがりのおじさんから情報を得て、食事も無事にし終えた。どうやら四層ではコボルトフェンサーやコボルトバーサーカーなど、より戦闘意欲と武器の鋭いモンスターが襲ってくるらしい。とりあえず三層に降りてみて、そこで戦えるかどうかを確認したほうがいいだろうな。

「さて……二層の地図も出来上がったし、三層まで行ってみるか」

「大丈夫ですか? 三層のモンスターはより強いとさっき聞きました。ご主人様はまだいけますか? 」

「二層でも大丈夫だったし、三層もきっと大丈夫だろう。とりあえず行くだけ行ってみて、ダメそうなら戻ればいいさ。今の自分の実力を知っておくことも大事だからな」

 さっきと同じ道順をたどって二層へ向かう。道中のビッグラットの動きにはもう慣れたので、一刀のもとに切り伏せて、魔石を着実に回収しながら歩いていく。二層ではコボルトが相変わらず襲ってくるが、さっきの昼前に比べて冒険者の人数も増えてモンスターの密度が薄くなったので動きやすくはなった。

 倒し慣れたコボルトだが、少し時間がかかるのは仕方なし。動きによってはこっちにダメージを与えることもできるだろうし、こっちは無傷で多少時間がかかっても問題なく倒したい。それゆえに俺の時だけ時間がかかる。だがセルフィがコボルト相手だと、セルフィはグイグイ押していき、コボルトが攻撃を始める隙を狙って後の先をバシバシ決めてコボルトを倒していく。すると、途中でセルフィの動きがさらに鋭敏になった。

「なんか、レベルが上がったと言われました」

「誰に? 」

「わかりません。頭の中に声が響いたので。ですが、なんか強くなった気がします」

 レベルといっても一口に何のレベルが上がったのかはわからない。スキルレベルなのかベースレベルなのか、それとも人間としてのレベルなのか。俺もそのうちレベルが上がるだろうし、その時分かるだろう。

 二層から三層へ行く途中で、俺もその声を聴くことになった。

「ケンジュツレベルが上がりました 2」

 どうやら、セルフィが聞いた声というのはこれのことらしい。俺もレベルが上がって剣術レベルが2になった、ということらしい。

「セルフィ、俺もレベルが上がったらしいぞ」

「おめでとうございます御主人様。これでレベル2仲間ですね」

「そうだな、でもそっちが剣聖レベル2で俺が剣術レベル2だからものすごい差があることは明白だな」

 剣術と剣聖の間に他に刻むようなスキル……例えば剣士だとか剣豪だとか、そういうものもあったりするんだろうか。今度スキルについてゆっくり調べる機会があれば調べてみよう。

 三層へ向かう。ここからはコボルトファイターとコボルトスカウトというそれぞれ刃物持ちが襲ってくるらしいからな。刃物って意味ではビッグラットやコボルトの牙もそうだったし、ミニボアの角もそうだったが、明確に殺しに来る、という意思を見せてくるのが三層から、ということらしい。

 まあ、スキルレベルも上がったし多少は……できるようになっていると思う。へっぴり腰でセルフィに笑われないようにしないといけないな。

 三層に降り立つと、すぐに目の前にコボルトにしては大きめな剣、こちらのショートソードと同じぐらいの長さの武器を持つコボルトが現れた。鑑定によると、こいつがコボルトファイターらしい。よし、さっそく戦ってみるか。

 コボルトファイターはその体格も他のコボルトよりも一回り大きく、きちんとショートソードを振り回せるだけの体重を有しているらしい。が、若干武器に振られているような感覚も見受けられるので、もしかしたら体重移動を誘発してやれば案外簡単に倒せるかもしれないな。

 早速、コボルトファイターに向かって近寄り、誘うように剣を振り回して向こうにショートソードを振らせる。振らせたところを絡めとり、足元へ落とすように誘導してやると、面白いようにコロンとショートソードを転がす結果になった。そのままがら空きの体へ一閃加えると、さすがに一撃では殺しきるまでに至らなかったのか、体から黒い霧を巻き上げながら噛みつこうとすり寄ってきた。

 ここで剣を拾いに行ってくれたらより楽に戦えたのだが、そうはならなかったので噛みつきを回避して、再度剣をするりと差し込む。剣術レベルが上がったおかげか、さっきまでよりも体の動かし方が楽になったというか、無理な姿勢を取らなくなった。その姿勢のままもう一度コボルトファイターに切りかかり、袈裟懸けに切り込んでそのまま力で押し切る。

 コボルトファイターはそれで力尽きたのか、そのまま黒い霧になって消え、後にコボルトよりさらにちょっとだけ大きい魔石を残していった。これで銅貨3枚か。50匹ぐらい倒せれば今日の稼ぎはかなり大きいものになるな。

「うん、俺はなんとか行けそうだ。セルフィも次やってみよう」

「はい。でも、見ている限りだと余裕だと思います」

「セルフィ、岡目八目と言ってな、横から見ていると楽に見えるものなんだぞ。実際に戦ってみて、それから感想を言うほうが安全だ。油断はしないようにな」

「気を付けます」

 まあ、俺で何とかなったんだからセルフィならなんとかなるだろとは思う。でも、油断はそれだけ危険につながる。俺のできることは注意をして、そして楽勝だったら楽勝といっていい、と太鼓判を押してやることだ。

 次のモンスターは……またコボルトファイターだ。セルフィに戦ってもらって、様子を見る。

 セルフィはすたすたと歩いていき、コボルトファイターの射程距離内に入るとコボルトファイターが振りかぶったその攻撃が降ってくる前に自分のショートソードを振り抜き、コボルトファイターの両腕を切り落として、攻撃そのものをできなくしてしまう。そして、そのまま首に自分のショートソードを添わせると一気に振り抜いて首を切断する。剣聖レベル2だと今の攻撃のほうが早いと思います。

 あっさりと勝ち、魔石を拾いこっちに持ってくると、俺に向かって一言。

「さすがにちょっと振りかぶられてからのこっちからの攻撃は怖いですね。先に切り飛ばせなかったらあれが降ってきていたかもしれないと思うと……もうちょっとなんとかします」

 俺からは余裕に見えたんだが、剣聖だからと言って精神的に鍛えられるものでもないらしい。一つ剣聖スキルについて知れたな。技術的なサポートはしてくれるが精神面でサポートしてくれる分には限界があるらしい、ということがわかった。

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