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最古のダンジョン『零』
これはボクの育った場所だ。
そして『リュウ』、ボクの名が決まった場所でもある。ここはとても良い。
食べ物だっていっぱいあるし。
「グワァァァ――――ッ!!」
「おっ! ちょうど食料がっ!」
目の前には自分よりも何倍も大きいドラゴン。
強固な青い竜鱗で体全体が覆われている。 父は『ワイバーン』と呼んでいた。ヤツは大きな翼を広げ、こちらへ迫ってくる。
徐々に距離が縮まりもう間も無く直撃する、そんな瞬間、「硬化っ!」
そう唱えた後、ボクの全身はワイバーンと同じ青い竜鱗で隙間なく埋め尽くされる。
ドガンッ――
ワイバーン決死の突撃はリュウのその手によって止められることになった。
そう、ボクは今、片手でヤツの頭を押さえつけている。
「ガァァ……?」
こいつはこの94層のモンスター内で敵なし。
今まで動きを止められる経験なんてないだろう。 ワイバーンが混乱している一瞬の隙に、バコンッ――
硬化した拳を脳天に向かって振り下ろす。
「ァァ……」
泣き叫ぶ暇なくワイバーンはいつも通り絶命した。
「ふふっ。今日もご馳走だっ!」
早速ワイバーンをひっくり返し、腹部を破る。
中の身がとても美味しいのだ。「本当にここのモンスターは学習しないなぁ〜。んー美味い――っ!」
いつも倒し方は決まっている。
なんなら他のモンスターもだ。 こうやって食べても食べても別の個体が出てくる。ここはダンジョンって言うらしいけど、不思議だね。
ようやく食べ終わり、
「よし、この後はデザートだっ!」
ボクはいつも通りポケットから転移結晶を取り出し、
「転移結晶! 48層へ!」
さすが転移結晶。
唱えた瞬間、目的の階層に一瞬で飛べる。 もちろん一度自分が訪れた階層じゃないとダメらしいけど。 この転移結晶には『零』の全階層が保存されてある。 これも父のおかげだからボクが威張れる話じゃないけど。48層、そこはモンスターがいない特別な階層。
それに草木が生い茂り、綺麗な湖がある、そんな階ここにしかない。 そして唯一『青いマンゴー』が成っている場所でもある。 これがまた甘くて美味しいのだ。「今日もあるかな〜マンゴーちゃんっ! ……あ、またいる」
ボクの目に入ったあれは『人間』というらしい。
かくいうボクもその『人間』とやらみたいだけど。父は「人間に出会ったら仲良くね」と言っていた。
でも実際見ると、なんか怖い。 何をしているのか分からないから。だからスッと草陰に隠れるのだ。
◇ 「はいっ! 今日は最近解放された最古のダンジョン『零』48階に来ていますっ!」 "始まりましたっ! レナちゃんのダンジョン配信っ!" "さっそく最近開放された48階を配信してんだな" "こんな早く自分の転移結晶に登録できるなんてすご" "そりゃレナちゃんの護衛ハンターってみんな強いじゃん" "さすがハンター養成学校の社長令嬢" "今日も可愛いレナちゃんを観に来ました" "レナちゃん好き" "俺の方が大好き。結婚してくれ" "小生の方が大大大好き。子供は3人でおなしゃす" "マジで痛いファン多すぎて草" "最新のAI撮影ドローンが導入されてから、いろんな角度のレナちゃんが見れてちあわせぇぇ" "レナちゃん、変なファンは気にしないで配信頑張ってください!" "え、いつ脱ぐの?" "今でしょ" "↑通報しました" "さっそくコメ欄荒れてるwww" "ここの階ってオアシスって呼ばれてるんだっけ?" "湖の水は美味いし、ここで採れる青いマンゴーってのがクソ美味いらしい"「あ……あはは、今日も皆さん応援ありがとうございます。あ、あと……すみませんが、結婚とかは私も相手のことを知ってからじゃないとって思うので今はごめんなさいっ!」
"コメントにしっかり返答してるの草"
"↑テメェそこがレナちゃんの可愛いところじゃねーか" "レナちゃん、ほんとこういうガチの箱入り娘感あって好き" "シンプルに愛おしい" "待って、他に人がいるぞ?" "こんな最新の階層にいるってどんな強者よ" "待て待て、あの仮面見たことあるぞ" "……レナちゃん逃げた方がよくない?"「ちょっと待てよ、あれってダンジョン配信してるレナじゃねーの?」
「え? うわっ! 本物じゃん!」 「しかも配信してるぜ。ま、俺ら仮面被ってるし映ってもいいんじゃね?」3人の男は緑色の龍の仮面で顔全体を覆っている。
「えっ! なんですか? あなた達!」
"これヤバいんじゃない?" "誰か助け来ないのかよ" "さすがに最近ようやく開放された48階層に来れる人なんてごくわずかじゃ……" "てかあいつら誰だよ" "バカ、知らねーのかよ!? あの龍の仮面、非正規ハンターギルド『龍王会』メンバ―だって" "あ、たしかニュースでやってたような。ダンジョン内でハンターから金銭や素材を奪ってるって"「ハンターのことに詳しい東条家の令嬢様は俺達のこと知らねーんだってよ!」
「なら尚更都合いいな。せっかくだ、配信中に犯してやるってのはどうだ?」 「ははっ! いいじゃねーかそれ!」"俺達のレナちゃんがっ!"
"誰でもいいから助けてくれよ" "レナちゃん……"「だ、だれか……たす、けて……」
◇ あれは『人間』が『人間』を襲ってる?草陰に隠れたはいいけど、こんな光景は初めて見たな。
弱肉強食……ダンジョンの中だけじゃないんだね。それに襲われている子、父さんに教えてもらったことがある。
たしか女の子ってやつだ。あの子を見ると、父がいつも口癖のように言っていた言葉が思い浮かんできた。
「人間というのは、弱く醜い生き物だ。その中でもリュウ、お前が守らなきゃいけない人間が2種類いる。それは……」なるほど、あれが昔言ってた守る対象というやつか。
分かったよ、父さん。ボクはそう決めてすぐ地面を思い切り蹴り、一瞬で襲っている内の1人の元へ飛び出す。
「は!? お前なん……ブフッ!」
懐へ拳をぶち込むと、そいつは大きく吹き飛んだ。
人間は弱いって聞いたから手加減したのにこれか。
ならもう少し力を抜いた方がいいのかな? "今何が起こった!?" "速すぎて何が何だか……" "いや、あの銀髪の可愛い男の子が龍王会のメンバーをぶっ飛ばしてた" "あんなボロボロの服着た中坊みたいなやつがか?" "なんでもいい。レナちゃんを守ってくれ!!!!!!"ボクは襲われてた人に近づき、父の言葉である守るべき対象なのか改めて確認する。
「君は可愛い女の子? いや、確認しなくてもボクの本能がこう言っている。君は可愛いとっ!」
「……へ?」
あれ? ボクは変なことを言ったのか?
なんだかこの子、困った顔をしている……。翌日。 昨日は学校の寮というところで初めて寝た。 けれど朝起きて体を動かしてみると、龍王会と戦った疲れもほとんど残っていなかった。 地上のベッドってすごいな。 零で使ってた寝床よりずっと柔らかくて、最初は体が沈む感じがして寝にくかったのに、気づいたら朝だった。「リュウくん、こっちだよ」「うん!」 部屋まで迎えに来てくれた玲奈について学校の中を歩いていくと、しばらくして大きな扉の前に着いた。 中へ入ってみればかなり広くて、邪魔になりそうなものもほとんど置かれていない。「おぉ」「ここが訓練場だよ。広いでしょ?」「うん。これなら結構動けそう」 ダンジョンほどじゃないけど、人間同士で戦うなら十分そうだ。 少し離れたところでは、秦が一人で体を動かしていた。 昨日腰に差していた長い刀は、今日は訓練場の端に置いてある。 ボク達に気づいた秦は動きを止め、そのままこっちへ歩いてきた。 そして秦がボクを見る。「体調は?」「元気だよ。秦は?」「俺も問題ありません」「そっか」「でしたら予定通り始めましょう」 やっぱり硬い喋り方だなぁ。 ふと端に置かれている刀が目に入った。「今日は武器使わないの?」「使いません。リュウ君が普段素手で戦っていると聞いていますので、今回は俺も合わせます」「ありがとう!」「……いえ」 なんで今ちょっと間があったんだろう。「リュウくん!」 少し離れたところから玲奈の声がした。 玲奈の父さんと一緒に訓練場の端に立っている。「頑張ってね!」「うん!」 手を振り返す。 二人の近くには、昨日も見た配信用の飛んでるやつが浮いていた。「今日も配信するの?」「あぁ。今回は特例での審査だからね。実力を確認した記録も残しておきたい」「へぇー」 まぁ、ボクは秦と戦えればどっちでもいい。“シルバーきたあああ”“リュウな”“もうシルバーで定着してるだろ”“相手って前田秦?”“一級ハンターの秦じゃん”“新人の審査に出す相手じゃねぇだろw”“この人次の特級候補って言われてる人だぞ”“昨日の翼あってもさすがに秦じゃね?”“いやシルバーも普通におかしかったぞ”“ちょっと楽しみ”「それじゃあ二人とも、準備はいいか?」「うん!」「はい」 秦と少し距離を空けて向かい合う。 昨日から気になってい
「……眩しっ」 思わず目を細める。 なんだこれ。明るい。 零の中にも明るい場所はあったけど、なんか違う。 それに――「……上がない」「え?」「玲奈、上がないよ」「上?」「天井」「あぁ!」 玲奈は一瞬不思議そうな顔をして、それから笑った。「これが空だよ」「……空」 父さんから聞いたことはある。 絵でも見たことがあった。 でも全然違う。どこまで見ても青い。その中に白いものがいくつも浮かんでいる。「あれが雲?」「そうだよ」「へぇー……」 飛んだら触れるのかな。かなり高そうだけど、翼を使えば届くんだろうか。「リュウくん」「ん?」「気になるのは分かるけど、先にパパのところ行こ?」「あ」 そうだ。今日は玲奈の父さんに会うんだった。「学校ってここ?」「ううん。ここから少し歩くよ」「そっか」 玲奈について歩き出す。 地上には知らないものがいっぱいある。 空もそうだし、道の横に並んでるものも何に使うのか分からない。 それに人。 父さん以外の人間なんてほとんど見たことなかったのに、少し歩くだけで何人もすれ違う。「地上って人間多いね」「ここはまだ少ない方だよ」「これで?」「うん」「へぇー」 もっといるのか。 しばらく歩いていると、大きな建物が見えてきた。「これが学校?」「うん。私が通ってるハンター養成学校」「へぇー」 大きいな。これだけ広ければモンスターも何体か住めそうだ。 ここでハンターになるための勉強とか、訓練とかするらしい。 どんな人がいるんだろう。「それじゃあパパのところに――」「シルバーだ!」「え?」 声がした方を見る。「あ、本当だ!」「昨日の配信の!」「シルバー様じゃん!」「レナちゃんもいる!」「無事だったんだ!」 なんだ? さっきまで離れたところにいた人達が、どんどんこっちへ集まってくる。「シルバーくん! 昨日の翼もう一回出せる!?」「本当に九十四層に住んでるってマジ!?」「レナちゃん助けてくれてありがとな!」「あ、えっと……」 一気に言われても分からない。 誰に答えればいいんだ? というか、「ボク、リュウだよ」「リュウっていうんだ!」「でもシルバーの方が分かりやすくね?」「シルバー様!」「……」 言ったのに。 気づけば周りを人に囲
95層へ行く。 そう決めて立ち上がったところで、一つだけ気になった。「あ」「どうしたの?」「父さん、帰ってきたらどうしよう」「え?」「ボクがいなかったら、どこ行ったってなるんじゃないかなって」「あぁ……そっか」 玲奈も父さんが使っていた場所の方を見る。 地上には行ってみたい。 でも、父さんが帰ってきた時に何も言わずボクだけいなくなってるのは嫌だな。「あ、玲奈」「ん?」「地上に行っても、ここに帰ってこられる?」「うん。リュウくんの転移結晶に94層が残ってるんだよね?」「残ってるよ」「だったら大丈夫だと思う。地上からでも転移できるよ」「そっか!」 それなら帰ってくればいい。 でも父さんが先に帰ってきたら、ボクがどこにいるか分からない。「じゃあ書いておこう」「書く?」「うん。地上に行ったって」 父さんが使っていたところから紙と書くものを持ってくる。 昔、字を教えてもらってた時によく使ったやつだ。「……なんて書こう」 とりあえず書いてみる。『父さんへ。 ボク、地上に行ってきます。 玲奈っていう女の子と一緒です。』 そこまで書いて、手が止まった。「玲奈」「どうしたの?」「これじゃ父さん、どこに行けばいいか分からないよね?」「あ」 玲奈も紙を見る。「私と一緒ってだけじゃ分からないね」「玲奈ってどこにいるの?」「普段はハンター養成学校にいるよ」「ハンター……ようせい?」「養成学校」「何それ?」「えっ」 玲奈が目をぱちくりさせた。「知らない?」「知らないよ」「あ……そっか。そうだよね」 なんで玲奈が困ってるんだろう。「ハンターになりたい人が、勉強したり訓練したりするところだよ」「へぇー」 そんなところがあるのか。「玲奈もハンターになりたいの?」「うん。そのために通ってるの」「じゃあそこ書く」 聞いた通りに続きを書いていく。『最初は玲奈のいるハンター養成学校ってところに行きます。 帰ってきたら探しに来てね。 リュウ』「できた」「……うん」 玲奈が紙を見ながら少し笑った。「何?」「なんでもない。ちゃんと伝わると思うよ」「そっか」 なら大丈夫だ。 父さんが帰ってきたら絶対見るところに紙を置く。「よし」 これで行ける。「玲奈」「うん」「95層行こっ
「きゅ、94層……?」 玲奈は大きく目を見開いたまま固まっている。「うん。94層」「……ちょっと待って。94層って、この『零』の?」「そうだよ?」「でも『零』って、今は48層までしか解放されてないんだよ?」「そうなの?」「そうなのって……」 なんでそんなに驚いてるんだろう。 さっきから玲奈は何度も口を開こうとしては閉じている。「じゃあリュウくん、本当に94層に住んでるの?」「そうだよ」「ずっと……?」「ずっとだね」「94層って、どんなところなの?」「モンスターがたくさんいるよ。ワイバーンとか」「ワイバーン……」「あ、美味しいよ」「食べるんですか!?」「うん?」 食べないの? あんなに美味しいのに。「でもボクの家にはあんまり来ないよ。モンスターがよく通るところから離れてるから」「家……」「見る?」「え?」「ボクの家。ここから転移結晶ですぐだよ」「いや、でも94層だよね……?」「そうだよ?」 玲奈はまた黙り込んだ。 そこへ、さっき龍王会の人達を連れていった人の一人が戻ってきた。「東条様。こちらは間もなく地上へ戻りますが、一緒に――」「あっ、すみません! もう少しだけここに残ります」「え?」「リュウくんの住んでいる場所を少し見せてもらおうかなって……」「どちらに?」「……94層です」「94層!?」 この人まで玲奈と同じような顔をした。「ちょっとパパに連絡してきます」 そう言って玲奈は少し離れたところへ行くと、ポケットから薄い板みたいなものを取り出した。 なんだろう、あれ。 何度か指で触った後、それを耳に当てる。「パパ? うん、私」 パパ? あの板に話しかけてるの?「うん。もう大丈夫。怪我もないよ」 玲奈は誰もいないところに向かって普通に話を続けている。「それでね、ちょっとだけリュウくんの家を見てきたいんだけど……」 少し間が空いて、「……94層」 その瞬間、玲奈が耳から板を離した。 小さいけど、そこから男の人の大きな声が聞こえた気がする。 やっぱり誰かいるの?「分かってるって。家を見るだけだから。それに私も転移結晶持ってるし、何かあったら48層に戻るから」 またしばらく話した後、「うん。絶対無理しない。じゃあまた後でね」 玲奈は板をポケットへ戻した。「お待
「【竜翼】!」 ボクがそう唱えると、背中から左右に大きな竜の翼が伸びていく。 久しぶりに出したなぁ。 普段は重たいから仕舞ってるんだけど、今はそんなこと言ってられない。「ば、化け物かよっ!」「化け物じゃないよ。ボクも人間だって」「そんな人間いるわけねぇだろ!」 男は両手に持った銃をこっちへ向けた。 さっきの雷を飛ばしてきたものとは少し形が違うけど、多分あれも同じように玉を飛ばすものだ。 それが二つ。 ボクだけなら避けてもいい。 でも今は腕の中にこの子がいる。 だったら――。 バンバンバンッ――! 音と一緒に大量の玉が飛んできたので、ボクは左の翼をぐるっと前へ回した。 カキンッ、カンッ――。 翼に当たった玉が弾かれ、そのまま地面へ転がっていく。「え……?」 腕の中から小さな声が聞こえた。「大丈夫?」「は、はいっ! それより、シルバーさん……その翼……」「これ? 重たいから普段は出してないんだ」「そういう問題なんですか!?」 なんかびっくりしてる。 でも説明してる場合じゃない。「くそっ! なんで効かねぇんだよ!」 男はまだ撃ち続けている。 ボクの翼には効かないみたいだけど、このままずっとここにいたら何も終わらない。 それなら、こっちから行くしかないよね。 ただし左の翼はダメだ。 今、この子を守ってるから。「【炎竜の翼・右翼】!」「ひっ……!」 右の翼だけが一気に炎へ包まれる。 左まで燃やしちゃったら腕の中の女の子まで危ないからね。 これならいける。
あれ? ボクは変なことを言ったのか? なんだか彼女、困った顔をしている……。"え、あいつ何言ってんだ?""新手のナンパか""これきっと助けたら体を求めるやつだ。そんなやつに助けてもらうな""いや……でも彼が助けてくれないと……""そうだ、あのシルバー髪の男の子に頼るしかない""おい、シルバー! お前の感性は間違ってない! レナは可愛い女の子だ!""可愛いって言われてレナちゃん照れてる""そんな君も可愛い""シルバー、助けてくれ""頼むシルバー""シルバー! シルバー!"「え……えっとシルバーさん?、助けてくださいっ!」 彼女はボクの手を握り、見つめてきている。 相当危ない場面だったのか彼女のその手は汗で滲み、少しばかり震えていた。 それにしてもこんな近距離で女性という生き物を初めてまじまじと見た。 実際、父さんが見てたマンガ?やえろ本っていう紙に載っていた女の子しか見たことがないのだ。 この子はそれと同様……いやそれ以上に端整な顔立ちをしており、ボクたち男にはない華奢な割に起伏のあるボディラインが女性としての魅力を掻き立てる。 さらにはボクの銀髪と違った艶のある短めの黒髪が彼女の顔の小ささや可愛さを引き立たせているように感じた。 父親から淡々と女の子という生き物の素晴らしさを指導されたボクからしても、『可愛い』とは彼女のために作られた言葉なんじゃないかと思ってしまうほどだ。 こ、これが……可愛いってやつか……。 どんな武器よりも凶器だね。 父さんが守れって言った意味が分かったよ。 ボクは気合いを入れ直し、 「わかった。君を守る。父の言葉に従って『女の子は守れ! 可愛いなら尚更な!』」 再びボクは地面を強く蹴り込み、敵へ高速で向かっていく。 今度は相当強く踏んだのか、地面がめり込む感覚がした。 相手の目の前まできたが、ボクの動きが見えてないみたい。 なので、すかさず上に拳を振り抜くと相手の顎に命中。「グハッ!」 大きく宙を舞っている。"今シルバーの動き見えたやつ""いないだろ""気づけば男がぶっ飛んでました""合成とかCGじゃ……""いや、リアルタイム発信でそんなことできるかwww""てかぶっ飛ばす前にあいつなんか言ってたぞwww""父の言葉に従って""女の子は守れ""可愛いなら尚更