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第231話

Author: 霧乃吟
征司は澪の横顔をゆっくり一瞥し、感情の読めない笑みを浮かべた。

「そうか」

すると、また沈黙が落ちた。

もともと二人には話すことなどない。気まずさを紛らわせるために、無理に話題を探す気もない。

車がアカリ製薬のビルの前に着いた。

車を降りると、澪は窓越しに征司を見た。

「おばあ様には、ちゃんと話をしておいて。このことは本気で考えてほしい。先延ばしにはしないで」

澪は遠回しにせず、返事を急かした。

征司は澪を見て何か言おうとしたが、そのとき、スマホが鳴った。

画面には、紗耶からのビデオ通話が表示されている。

征司はためらわずに応答ボタンをタップし、澪の頼みに何も答えないまま、運転手に車を出すよう命じた。

マイバッハは澪を残して走り去っていった。

朝からビデオ通話をつなぐほど熱々なカップルだこと。

七年も人妻をやってきた澪ですら、思わず目を丸くしてしまうほどだ。

恋人というのはこういうものなのか。

征司の妻として七年過ごしてきたのに、澪は恋人らしいことを何ひとつ知らず、ただ待つだけだった。

澪は我に返り、そのままビルに入った。

知之も、澪の離婚がそう簡単に
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