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極道と、咲き乱れる桜の恋
極道と、咲き乱れる桜の恋
ผู้แต่ง: 桜立風

1.逃げる

ผู้เขียน: 桜立風
last update ปรับปรุงล่าสุด: 2026-02-01 16:14:58

「良かったよぉ…良かった。久々にマジになっちゃった!君、きっと売れっ子になれるよ」

あられもない格好で、奥のバスルームに消えていく店長。

………今だ!

シャワーを出す水音を聞いて…私は最初で最後のチャンスだと確信した。

そして次の瞬間…ピンク色のカーテンを翻して走り出した。

…暗くて狭い廊下を走り抜けると、それぞれの個室にかけられた薄いカーテンがはためく。ブルーやオレンジなど…色とりどりだったことに初めて気づいた。

誰にも会わずに受付にたどり着き、一瞬後ろを振り返ったが…走り抜けた私に気づく人はいない。ドアを開け、地上へ続く階段を勢いよく駆け上った。

苦しいほど上がる息が、さらに上がる。ハァハァと漏れる息、心臓の鼓動がこれでもかと早まって…やがて、止まるかと思うほど。

最後の一段を上がると、目立つことしか考えていない下品な看板が目に入る。上下する胸に手を当て、息を整えながら…それを蹴り飛ばした瞬間、駆け上がってきた階段の下から声が聞こえた。

「…おい!チェリー!どこいった?…トイレか?」

店長だっ…!

左右を確認し、人が少ない方に走り出した。

できるだけ遠くに…追い抜く人にギリギリぶつからないように…自分はこんなに足が速かったのかと、不思議に思った。2度とあの店に戻らないように…あの地下の部屋に、足を踏み入れないように…

…路地を曲がったのは、男のいやらしい目と女の軽蔑した視線がまとわりつくのを避けたいからではなかった。

確かこの近くに、痩せたおばさんがやってる店がある。名前は知らない…でもそこは、カフェなんて洒落た店ではなくて、コーヒーを飲ませる店だ。お酒なんて出さない、喫茶店。

なんかあったら頼ってきな…って、言ってくれた。そうだ…あのおばさんの店に行こう。

私は今、まさに助けを必要としている。これ以上暗闇に落ちていかないように…私をこの世に、引っかけておいてくれるフックのような人の助けが。

闇雲に走って、走って。…やがて覚えのある道に出た。そこの路地を曲がれば、確かおばさんの喫茶店に行ける…

「…きゃっ…!」

スピードを落とさずに曲がった小道で、ドンッと誰かにぶつかってしまった。

その拍子に、砂利を含んだアスファルトに投げ出される。

「…コラァッ!前を見て歩かんかいっ!」

野太い男の怒鳴り声がして、反射的に体を縮めた。

立ちはだかる数人の男たち。…あんまりかかわらない方が良さそうだと直感する。

「す、すいませ…いたっ!」

立ち上がろうとして、膝に焼けるような痛みを感じた。目をやると、無残な擦り傷と滲む血…

「あーあ…怪我しちゃったじゃん、大丈夫?おねーさん」

目つきの悪い男たちの間から、軽やかな声が聞こえてくる。…出てきたのは、黒い細身のスーツに身を包んだ長身の男…

顔を見て、ハッとした…

この人、今逃げてきた店で見たことがある。客なのか、それとも経営者なのかわからないが…女の子たちがまとわりついて騒いでいた。

「…すいませんでした」

痛みなんて悠長に感じている暇はない。もし自分のことを覚えていれば…あの店に連れ戻されるか、それとも通報されるか。

どちらにしても、ここから早く退散しなければ。

立ち上がり…よろめいて、近くの石塀に手をつく。体勢を整えるうち、間の悪いことに雨が振ってきた。

「…おねーさん、ずいぶん刺激的な格好をしてるじゃん?」

長身の男が、聞き心地のいい低音で言う。…言われて、気がついた。

客を取るよう言われ、直前の練習だから本番と同じにしようと…店長に渡されたミニドレス。

それは薄い生地で…肌が透けてしまっている。

あっという間に本降りになった雨に濡れ、肌の色はさらにハッキリと浮かび上がり…それを見た男たちからも、囃し立てるようなどよめきが起きた。

…悔しくて、唇を噛み締めた。

さっき店長にやらされたこともよみがえって…ずっと伏せていた顔を上げ…男たちを睨みつける。

「…え、」

目が合った数人から、不思議そうな声が上がった。ちょうど街灯の下で、怒りの感情がハッキリ見えたせいだろうか。…どちらにしても、長居は危険だ。

…もうすぐ、痩せたおばさんの店が見えてくるはす。それまでの我慢だと歩き出した私の前に、どこからともなく…別の男が立ちふさがった。

「…誰だお前」

「え…私は…」

言い淀んでいると、後ろから手下らしい男の声が聞こえた。

「…そこの路地から勢いよく出てきやがって、蔵之介さんに体当たりしてきまして」

「ほう…」

振りしきる雨を黒い傘でしのぐ男は、じっと私の目を見て、次は確かめるように…一歩近づいてきた。

目線が、遠慮なく体を這う。…両腕で胸元を隠してはいたが、濡れて肌が透けているのはそこだけではない。

「…姉ちゃん、覚えておきな」

掠れた低い声が、すぐ近くで聞こえる。いつの間にか、頭の上からシャワーのように振り注いでいた雨がやんでいる。…男の傘が自分の頭の上にあった。

「その道を入ってきたら…西龍会の敷地だ。…めったのことで、足を踏み入れちゃいけねぇ」

「あ、はい」

西龍会と言われても、正直ピンと来なかった。…それでもうなずいたのは、早く解放してほしかったからなのに、男性の視線は一向に止まらない。

「…おい、蔵…」

「んー…?」

「この姉ちゃん、ちょっともらってく」

瞬間、ふわりと体が浮き…抱き上げられたと気づいた。

どこかへ連れて行かれる…??さすがに恐怖を感じ、慌てて抵抗を試みた。

「…あの…下ろしてください!私、行かなきゃならないところがあって…あの…」

いつの間にか…黒い傘は投げ捨てられていた。

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