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2.招かれる

ผู้เขียน: 桜立風
last update ปรับปรุงล่าสุด: 2026-02-01 17:28:20

「ここは俺だけのスペースだから、気にするな」

連れて行かれたのはやたら高い塀の向こうに建つ、大きな屋敷。

門を抜けた目の前にある大きなドアからは入らず、脇にあるドアから中に入った。

「シャワーを浴びて、砂利を落としてきな」

「はぁ…」

連れてこられた以上、言うとおりにするしかない。…それに、傷を負ってばい菌でも入って、万が一にも病院に行かなければならなくなったら困る。

保険証は家だ。逃げたことを知ったら、きっと父親がアパートに来る…

…裸のような格好で走り回って雨にも濡れ、冷え切っている。体を温めなければ、風邪を引いてこじらせないとも限らない。

案内されるまま足を踏み入れたのは、バスルームというより温泉…と言った感じの広いお風呂だった。湯船に並々とお湯が沸いている。

呆気ないほど簡単にミニドレスを脱ぎ、シャワーを浴びながら、逃げ出す前に店長にやらされたことを思い出した。

…汚い…欲望にまみれた男の体…力まかせに、手に石鹸をなすりつけた。

あの店は…店舗型の風俗店だ。客を取る前に腕前を見ると言われ、店長の体をモデルに、言われるままローションを塗りつけてマッサージさせられた。

「…痛っ!」

手に残る感触を洗い流したくて、つい力を入れてゴシゴシ洗おうとした。するとピリっとした痛みが走り…手に擦り傷ができていることに気づく。

「…やだ、私、あちこちすごい…」

擦りむいていたのは膝だけではなく、足のスネも肘も太腿の外側も…薬が必要なほどの傷。

シャワーの熱さに飛び上がった。

「ねーちゃん、バスローブ羽織って出てきな。傷の手当てをしてやるから」

ドアの向こうから声がして…ゾッとした。

…ここに来たということは、この後…店長にさせられたことと同じこと…いや、もっと屈辱的なことをさせられるのだろう。

「顔が…レベチだけどね」

私を担いだ男は、ため息が出るほどの美男だったが…男なんてどうせみんな同じ。

小さくつぶやいて…言われた通りバスローブを羽織った。

「…怪我ってのはな、ばい菌を排除して、侵入させないこと。…それだけだ」

フローリングの広い洋間。

フカフカのラグにテーブルがあり、そこに包帯やガーゼが置いてある。

「とは言っても、ここでやるのは昔ながらの応急処置。絆創膏を貼ってじっと待つ…なんてことはやらねぇぞ」

自分の前に座らせて、消毒薬がしみて飛び上がる私を薄く笑いながら…薬をつけ、ガーゼを当ててくれる。その手つきはどこか慣れていて、安心して眺めていられた。

「あんた、名前は?」

「…え?」

思わず、男の顔を見上げた。

「…顔も擦りむいてんな。…どういう転び方したんだよ」

男は眉間にシワを寄せ…唇の端の傷に薬をつけようとした。

「あ、これはちょっと前のキズなので」

近づいてくる手を軽く避ける。

「あっそ。じゃ…こっちか」

明らかに赤い傷に消毒薬、そして薬をつけ…ガーゼを当てて、男の手が止まった。

「紙テープ貼るんだけどよ、いいのか」

「…は…?」

「テープにかぶれるとか、ないのかって聞いてんの」

「別に、ないです」

手足の傷より慎重な手つきに…意外な気持ちになった。…この人、裏社会の人だよね。たかが通りすがりの怪しい女の顔に…こんなに真剣になるなんて。

こちらからも…間近で男の顔が目に入り、遠慮なく観察する。切れ長のまなざし…高い鼻は先が尖って、綺麗な肌に無精ひげが妙に似合っていた。多分こういう人をイケメンっていうんだと思う。

「桜…です」

「ん?」

「名前。滝川…桜です」

さっきも尋ねられたし、手当てもしてもらって、名前くらい名乗ろうと思った。…この人が、私の初めてを奪っていく人か。そう思ったら名乗りたくなった…と言ってもいいかもしれない。

「西門龍之介。33歳」

「あ…私は23です」

「若ぇな…」

フッと笑みを乗せた口角が上がって…そんな笑顔にハッとした。初めてかもしれない。男の笑顔に心が動いたのは。

…それに、私みたいな女に…極道が名乗るっていうのも、変なの。

「で、なんだってあんな格好で走り回ってたんだ?」

「そ…それは」

そうだ…この人は、逃げてきた風俗店の関係者。蔵…って呼んだ人と親しいみたいだから、間違いない。

「…あんまり安いお金で客を取らされるから、今日は休むって…出てきた」

「Black Roseの従業員か」

「…そう」

あらぬ方を見ている桜とは違い、龍之介は彼女の横顔を凝視していた。

…視線が痛い。穴が空くほど見られるとは、こういうことを言うのだろう。

「不満があって、今日は急遽休みにした。自分の判断で…」

「…そう、か」

クシャ…っという紙の音…ライターを点けるオイルの匂いがした。…チラッと龍之介を見ると、唇の端にタバコを咥え、目を細めて煙を吐き出していた。

店に連絡を取って、言ってることが本当か確かめるのてはないか…つい、その様子を伺ってしまう。

「…こっちへ来い」

連れて行かれたのは、洋間の隅のベッド。パーティションで隠されていてわからなかった。

「…ここで寝ろ」

「あの…」

ダメ元で言ってみようと、バスローブの胸元を握りしめた。

「…行く、ところがあるんです。だから、その…何か…ジャージでも貸してもらえませんか?そしたら、泊まるなんて迷惑かけなくてすむので」

「行くところってのは…どこだ?」

「あ…あの路地の先にある、アカシアって喫茶店…」

直前になって店の名前を思い出して、内心ホッとした。

「ユキのところか…お前、あいつが何者か知ってるのか」

「…え?」

「今そんなところに行ってみろ。…あっという間にBlack Roseの店長が迎えに来るぞ」

「…まさか…」

気さくに話しかけてくれて、誰にも言ったことがないことを話したら…私の代わりみたいに泣いてくれたのに。

「そんなわけ、ないです。困った事があったらいつでもおいでって…言ってくれたもの」

「残念だな。あいつもあの店も、うちの息がかかってる。これまでにもBlack Roseを逃げ出した女を匿うふりをして店に戻してるんだよ」

わずかな報酬欲しさでな…と付け加えられ、桜はその場に座り込んでしまった。

「…今日はこのベッドで寝ろ。体力を回復しないと、治る傷も治らねぇぞ」

腕を引っ張られ、あっという間に抱き上げられてしまう。

「…自分で、できます…!」

暴れる桜に笑顔を見せる龍之介。そっとベッドに下ろし、そのまま桜を…上から見下ろした。

「…す、好きにすればいい」

「…あ?」

「ここに泊めてもらうということは、そういうことですよね」

開き直った桜は、上から見下ろす男の

上着を剥ぎ、ネクタイを緩めた。

黒いワイシャツのボタンを外しながら、ベルトに手を伸ばす。

「慣れてるな。さすがは嬢だ」

でも…と言ってベルトに触れる桜の手を止める龍之介。

「震えてるぞ?…実はまだ、客を取ったことがねぇんだろ」

ガーゼを当てていない頬に指先が滑る。そのまま唇をなぞられ…端の傷に行きついた。

「おかしなことはしなくていいから…この傷はどうしたのか、言ってみな」

いつの間にか、桜を毛布に包み、隣に横たわる龍之介。

傷を見つめる視線が、なぜかとても優しい…

「父親に、殴られて…」

つい、本当のことを言ってしまった。あまりに壮絶で…誰かに話したくもない。できるなら…すべてなかったことにして、生まれ変わりたかったのに。

あの日…

また私は、父親に騙されたんだ。

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