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第5話

Auteur: 小豚狐
四人の男たちは、一瞬にして美玲のそばから離れた。

隼翔の冷たい眼差しも瑠花に向けられると柔らかく、慈しみに満ちたものへと変わる。

「美玲、お前の容態は大したことはないだろう。宴が終わってから、みんなで一緒に行こう。時には楽しく過ごした方が、体にもいい」

颯真がそう言って結論を下した。

彼らは結局、瑠花と美玲の間で――瑠花を選んだのだ。

「要らない」

美玲は背を向けた。施しのような愛情など欲しくはなかった。

ホテルを出ると携帯が立て続けに鳴った。

三人の兄からは「病院に行け」という念押しの連絡、そして隼翔からは病院の予約票。

一文字ずつに込められた「心配」を目にして、美玲はただ笑いたくなった。

――いったい何の芝居をしているの?

この体がこうなったのは、まさに彼らのせいなのに。

三か月前、美玲と瑠花を襲ったのは星野家のライバルだった。

誰もが知っていた。奴らは死を覚悟しており、美玲と瑠花に良い結末などあるはずがないと。

犯人たちは二つの住所を残し、星野家が戦力を分散させるよう仕向けた。

だがそれは誤算だった。

全員が瑠花のもとへ向かい――美玲を助けに来る者はひとりもいなかった。

犯人たちは憤りのすべてを美玲にぶつけた。

彼女は冷たい床に引きずられ、刃物で少しずつ皮膚を切り裂かれた。

容赦のない拷問の果てに、彼女は流産を強いられた。

希望は恨みへと変わり、やがて希望すら消え失せるまで――美玲にとっては、半月という短い時間で十分だった。

だがその時間はまるで一生にも等しかった。

半月後、警察に救い出された。

その時には、すでに人の形をとどめないほど痛めつけられていた。

それでも美玲は星野家に戻った。

だがそこで彼女が見たのは、無傷でただ怯えただけの瑠花を取り囲む人々の姿。

誰一人として、美玲が半月も行方不明だったことに気づきもしなかった。

彼女が子を失ったことなど、なおさら。

頬にねっとりとした感触を覚え手で触れた瞬間、顔中が涙で濡れているのに気づいた。

――あの子に、申し訳ない。

数か月前の美玲は、まだ隼翔と星野家に希望を持っていた。

けれど瑠花の帰還によって、二人の間に溝が生まれた。

隼翔を狙う女は少なくなかった。だが以前は美玲が常に彼の傍にいたため、誰も行動には移せなかった。

あの日の舞踏会で、隼翔は朦朧とした意識の中美玲に電話をかけてきた。

駆けつけた時にはすでに彼は部屋で倒れて意識を失いかけていたのだ。

盛られたのは強烈な薬で、病院に運ぶ時間すらなかった。

隼翔は美玲の腕の中で、何度も何度も彼女の名を呼び、「愛している」と繰り返した。

美玲は結局、耐えきれなかった。彼の顔を両手で包み込み、生涯でただ一度だけ彼に強いて言わせた。

「隼翔は永遠に美玲を愛してるって、言って」隼翔は仰いだまま、うつろな目で答えた。「隼翔は美玲を愛してる。永遠に美玲だけを」

その夜、二人は狂ったように求め合った。

隼翔は力尽きるまで美玲を抱き続け、彼女はベッドから降りる時さえ震えを隠せなかった。

美玲は夢見た。隼翔がすべての重圧に抗い、自分に求婚してくれることを。

だが現実は――隼翔は瑠花を抱きしめ、星野家の前に跪き、彼女を妻にと望んだ。

それでも美玲の頭には、隼翔が「美玲を愛している」と繰り返した姿が焼き付いている。あの意識が朦朧とした中でさえ、嘘を言うはずがない。

きっと何か事情があるのだと信じていた。

その三か月後、美玲は自分の体に命が宿ったことを知る。

他の男と関わったことなどなく、時期もぴたりと合っていた。

――あの子は、隼翔の子だ。

喜び勇んで美玲は電話をかけた。この子がいれば、結婚への道も自然に開けるはず。

だが隼翔は電話に出なかった。

街頭に立ち尽くし、何度も何度も発信し続けた。

そして――犯人たちに連れ去られた時、地面に落ちた携帯の画面は、まだ発信中のままだった。

美玲は結局、隼翔に伝えられなかった。二人の間に子どもがいることを。

その子は――失われたのだ。

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