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第109話

Author: 雨の若君
祐佳は言う。「前にも言ったでしょ?足が治るまで、私が面倒見るって」

素羽は淡々と返す。「別に、もう必要ない」

そう言い捨てて、素羽はゲストルームへ向かう。

祐佳はすぐ後ろをついてくる。「てかさ、お義兄さんと喧嘩した?今はもう別々の部屋で寝てるの?」

素羽は無言でバスルームへ向かう。祐佳も入ろうとするが、素羽はドアの前で立ちはだかる。「トイレに行きたいの」

祐佳は口を尖らせる。「何それ、女同士なくせに」

でも、結局は無理に入ってこようとはしない。

実際、素羽はトイレに用があったわけじゃない。ただ、静かに一人になりたかっただけだ。バスルームで30分ほどぼんやりしてから、ようやく外に出る。

気づけば、祐佳の姿はもうない。

夕食時、森山が素羽を呼びに二階まで上がってくる。

ダイニングには、すでに祐佳が座っている。

素羽が箸を取ると、すぐに祐佳が言う。「お義兄さん待たないの?」

素羽は野菜を一口、淡々と口に運ぶ。「待ちたいなら、あなたが待てば?」

祐佳はまた口を尖らせる。「ほんと、どうやって奥さんやってるのか不思議。お義兄さん、外で必死に働いてるのに、あなたは全然気遣いとかしないんだね」

素羽は急に話題を変える。「今年、おばあちゃんのお見舞いに病院行った?」

祐佳は一瞬、動きを止める。「なんで今、その話?」

素羽は静かに言う。「おばあちゃん、あなたの本当のおばあちゃんでしょ」

血の繋がった家族には冷たいくせに、今は他人のことで必死になっている。その皮肉が、痛いほど伝わる。

祐佳はその意味を理解し、素羽を睨みつけるだけで、それ以上は何も言わない。

食事を終え、しばらく休んだ後、素羽は書斎で少し仕事を片付けてから、自分の部屋に戻る。

深夜、外で車の音がする。司野が帰ってきた。

素羽は布団を引き寄せ、背中を向けて眠ろうとする。

しばらくすると、梅田が部屋のドアをノックする。「旦那様が酔っちゃって……お世話してあげてください」

以前の素羽なら、すぐに飛んでいった。でも今は無視して、寝たふりを決め込む。

家には使用人が何人もいる。自分一人いなくても、司野は十分に手厚く世話される。もう、骨折り損のくたびれ儲けはごめんだ。

賑やかだった別荘も、時が経つとすぐに静寂を取り戻す。

素羽は横向きから仰向けになり、三十分ほどしてから目を開けて、た
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