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第91話

Author: 雨の若君
素羽は、自分の魅力を最大限に引き出せる服に着替え、香水をひと吹きしてから、果物の盛り合わせを手に書斎の扉をノックした。

司野は物音に気づいても顔を上げなかった。この家で彼の書斎に入れるのは、素羽だけだからだ。

彼が書斎で仕事をしていると、素羽はコーヒーか果物を届けてくるのが日常で、司野もすっかり慣れていた。

最後の書類にサインを終え、ようやく司野は顔を上げた。「家には使用人もいるんだ、わざわざ持ってこなくても……」

言い終える前に、予想外の顔が目に入り、司野の眉間がわずかに寄った。

「お前か?」

果物を持っていたのは、素羽ではなく、祐佳だった。

祐佳は、場の空気を読んですぐに素羽を理由に使う。

「お姉さん、足が悪いから、私が代わりに持ってきたの」

その言葉を聞いても、司野はすぐには眉を緩めなかった。何か思案するように、目に影が差す。

「そこに置いて、もう下がってくれ」

冷たい声に、祐佳は逆らえず、素直に果物を置いて退出した。

正直、彼が怖い。今まで出会ったチャラい金持ちの二世とは格が違う。司野は本物のビジネスマンで、彼女の父親よりも遥かに威厳がある。

本当は、
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