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13.帳簿の閲覧

Penulis: 杵島 灯
last update Terakhir Diperbarui: 2025-09-13 20:20:29

 グリージアでの日々が過ぎていく中、ディーンという人物の存在を得られたのはマリッサにとって大いに心の慰めとなった。

 シーブルームの話をグリージアでできるようになった、という事実はもちろんのこと。

 ほかに「もしかしたらいつか誰かが、シーブルームのことを学んでくれるかもしれない」と思えるようになったからだ。

 シーブルームのことを知った人々が、マリッサや侍女たちに優しい言葉をかけてくれる。そう考えるだけでマリッサは心が浮き立つような気がした。

 だけどそれは他者に期待をすること、他者を変えようとすることだ。それはさすがに難しい。

(だからまず、私が動いてみなくてはね)

 マリッサ自身が受け入れてもらえたら、グリージアの人もシーブルームについてもっと学んでくれるのではないか。そんなふうに思っているのだった。

 実を言えばマリッサには以前から、やってみたいことがあった。

 先日、怪我をした侍女を医師の元へ連れて行くときに聞いて分かった。

 このグリージア王国では治療院や孤児院といった、いわゆる慈善事業が周辺国に比べて遅れをとっているようだ。

 マリッサの故国シーブルームでは慈善事業が国営化されていると聞くと、あの侍女はたいそう驚いていた。

 それで今日はグリージアの慈善事業がどうなっているか調べるため、財務をつかさどる役人を呼んでみることにしたのだ。

 マリッサが自分の侍女たちにそう言うと、

「こんな国のために殿下が何かなさること必要はないと思います!」

「私もそう思います!」

 皆は憤慨し、一斉に不機嫌になった。

 彼女たちを前にしてマリッサは改めて「お願い」と口を開く。

「あなたたちの気持ちが分からないわけではないわ。でもね、私はこの国の王太子妃なの。いずれ王妃として歩むのだから、国の現状を知らずにいるわけにはいかないでしょう? どうか協力して、役人を呼んでちょうだい」

 そう言われては断ることができなかったのだろう。侍女はしぶしぶのように財務役人を呼んできた。

 やってきたのは中年の男性役人だ。初めて王太子妃の部屋に入った彼の目は「何があったのだろう」と少し怯えているように見えた。マリッサが安心させるように微笑むと、ようやく役人は少し肩の力を抜いた。

「何かございましたか、王太子妃殿下?」

「慈善事業の状況を確認したいの」

 役人は少し驚いた顔をしたが、王太子妃
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